夢みたいにきれいなお菓子をもらった

長い付き合いの友人から、夢みたいにきれいなお菓子をもらった。香川の「おいり」というあられで、指先ほどのまんまるで七色のものが箱にぎっしり詰まっている。渡されておどろいた。その箱は確かにあるのに、何もないかのように軽かった。冬のやわらかな日差しの中、ほんとうに夢みたいだとしばし見とれた。

夢みたいなお菓子をそっとバッグにしまい、友人と池のほとりを歩く。冬枯れの蓮が見事な池にはスワンボートが浮かび、その頭に水鳥が止まっているのを見て笑った。キンクロハジロが鯉にタックルされているのを見てまた笑う。鴨にユリカモメ、大きい子は多分ウミネコかな。近くに行ってもまったく動じない鳥たちとのひととき。池を撮ったら、夕日を反射して天国みたいな写真が撮れた。いや天国行ったことないけど。

春浅き桜並木では1本だけ満開で、通りかかった誰もが足を止めて梢の先を見つめていた。日なたではチェリストがアヴェ・マリアを弾いていた。茂みに足を踏み入れると、枯れ葉のなつかしいにおいがした。明るいうちからちょっとお酒をのんでたい焼きを食べて、ハグして手を振りあって、友人と別れた。

部屋に戻って、夢みたいなお菓子を前に思い出す。なんて多幸感に溢れた1日だったのだろう。池のほとりで、私はひさしぶりに深呼吸をした。肺がめりめりと音を立てて広がっていくような感覚がした。長いあいだ、深呼吸も忘れるくらい疲れ果てていたことに、今更ながら気づいたのだった。気づけてよかった。


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