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いやです

「いやです」と言うのがずっと苦手だった。こんな私に関わってくれるだけでもありがたい。こんな私は、頑張らないと受け入れてもらえないにちがいない。こんな私にとって最後のチャンスかもしれない。そういう“こんな私”信仰が根強くあったのだ、それは自覚している。がんばることで愛してもらえるなら、受け入れてもらえるならなんでもないと思った。だからいやだと思っているのに引き受けてしまう、押し切られてしまう。「これも勉強かもしれない」と無理やり自分に言い聞かせて、いいように使われてみじめな気持ちを味わうことがあろうとも。

そして「いやです」となかなか言えないまま年齢を重ねてーーものすごくいやな目にあった。この世から消えてなくなりたいと思うほど、私は損なわれたのだった。

ほんとうはずっといやだったのだ。でも言えなくて「いやだなあ」で毎日が埋め尽くされて、挙句の果てにドチャクソいやな結果になってしまった。いやなことを我慢し続けたのにこれである。なんてみじめなんだろう。んもうメチャクチャいやな気分になり「もう二度といやなことは引き受けるものか」と私は決意した。

かくして私は最初はおそるおそる、そしてだんだん堂々と「いやです」と言うようになった。意外なことに、そう言っても私が大好きなまわりの人たちはまったく変わらなかった。「だよねwwwww」と笑ってもっとよい提案をしてくれたり、「ブフォッw正直www」とウケてくれたりした。そしていやな経験をすることが明らかに減り、いやじゃないーーううん、好きなことが増えていった。「いやです」とずっと言いたかった人たちとの縁は、びっくりするほどあっけなく、切れた。

気づくのに随分かかってしまったけれど、いろいろな経験を経て今、こう言えるようになったことにも意味があるのだろう。「いやです」を拒絶ではなく、自分が欲しいものを手に入れるための言葉として使えているからそう思う。もっと若いときに「いやです」を乱発していたら、きっといろいろなものを排除していた。そしてとてもうすっぺらい人間になっていたと思う。「いやです」を拒絶にしないためにーーというより、楽しいほうにしたいから「そのかわり、こうしていこうよ!」と言える今の自分を、誇りに思う。


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