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推し映画31-「香川1区」

昨年12月24日の緊急公開以降、なかなか地元の映画館では掛からず悔しい思いをしていましたが、遂に!
昨日からオンライン限定配信が始まり、やっと観ることができました。

期待を遥かに超える「得られたものの多さ」に感服しています。このドキュメンタリー映画の“結末”を、私はよく知っていた筈なのに、こんなに深く新鮮な驚きが得られるものかと。
密着モノ、ドキュメンタリー映画ってやっぱり凄いなと、大島監督の手腕に恐れ入っています。

このnoteは「政治とか選挙とか、よくわからんし面倒くさい」と思っている人にも読んでほしい、いち映画ファンがつづる、映画感想noteです。
小川淳也という議員のことも、与党と野党の違いもよくわからない…という方にこそ、読んでいただけると嬉しいです。


“組織で生きる人”すべてに見てほしい映画です。
組織に居るとどうしても「きれいごとばかりでは立ち行かない」と、事情を鑑みて信念を曲げなければ難しい局面が来る。自分の常識(ナラティブ)が変わってしまう。
政治や、地方の選挙戦って、その煮凝りのようなものだと思うんです。
その渦中にあっても、信念を貫き通す!という覚悟を持つ人が、どう周囲を変えていくのか。変えていけるのか…が可視化されています。
個人の信念を貫き通すことを、敢えて正義と言うならば、“諦めずに闘えば、正義は必ず勝てるんだ”と希望を持てる。そういうドキュメンタリー映画だと思っています。

映画「香川1区」

3/13(日)23:59までの限定配信で鑑賞できます!オンライン上映後のスペシャルトークもめちゃくちゃ面白いです、勉強になる…!
前回の「なぜ君は総理大臣になれないのか」はNetflixで視聴できます。未見の方は是非!

前作を観るまでの私は、政治や選挙に対して「よくわからないから」と置いておきつつ、そんな自分に後ろめたさを感じていました。
けれど何を取っ掛かりにすれば「わかる」ことが出来るのかすらわからず、ただなんとなく選挙のたびに(わからんな…)と思い悩みつつも、投票だけはしていました。

前作を視聴して、はじめて「わかるかも!」と思え、前作の映画レビューを読み、そこから政治や選挙の入門的な本を読んだり、政治ドキュメンタリー映画を積極的に観るようになりました。小川議員の著書も読みました。
そこから、ちょっとモノの見方が変わったし、暗鬱たるイメージしか持てなかった日本の未来に、希望が持てそうな気もしています。

2021年秋の第49回衆議院議員総選挙で注目を集めた選挙区の香川1区に焦点を当てたドキュメンタリー。
衆議院議員・小川淳也氏の初出馬からの17年間を追った「なぜ君は総理大臣になれないのか」が大きな話題を集めた大島新監督が、同作の続編的位置付けの作品として手がけ、香川1区の選挙戦を与野党両陣営、双方の有権者の視点から描く。
2003年の初出馬から1勝5敗と闘いに窮し、比例復活当選を繰り返してきた小川氏。香川1区で彼の前に立ちはだかってきたのが、自民党の平井卓也議員だ。四国新聞と西日本放送のオーナー一族にして3世議員の平井氏は、前回2017年の総選挙で小川氏に辛勝。その後、小川氏は統計不正についての国会質疑や映画で注目され、その知名度は全国区に広がっていく。
2020年に菅政権が誕生すると、平井氏はデジタル改革担当大臣に就任。保守地盤である香川の有権者にとって「大臣」の肩書は絶大で、小川氏の苦戦は免れないと思われたが、平井氏はオリパラアプリに関する不適切発言などでマスコミの標的となっていく。
映画.comより

「香川1区」を鑑賞して、いろんなことを考えています。大きくみっつ、思うことを綴ります。

1.特殊な世界の話ではない

2021年の総選挙で闘う政治家と有権者の姿を追ったドキュメンタリーですが、決して特殊な世界ではないんですよね。私たち“普通の人”と地続きの世界で、私たちは当事者の1人なので。

加えて、渦中にいる小川議員を取り巻く環境は、政治のことに限らないのだと思うようになりました。
大なり小なり“組織”の中に居ると、いろんな事情や状況に直面し、忖度を迫られ、いつしか自分自身も(…それなら、もう仕方ないかな)と引くことを覚え始めてしまう。
私は曲げない、と強く思っていても、お世話になった人を困らせる位なら…とか、家族が居るし稼がねば…と、(ここだけは折れておこう)と“思ってしまう”ものだと。

でも小川議員は、それを“良し”としない。
出馬取り下げ要請問題”について政治ジャーナリスト田﨑氏に嗜められて、感情的になるシーンがありました。観ていた私も、田﨑さんの言葉に、半分同意していました。
けれど一方で「そのままで居てほしい」とも思うのです。真っ直ぐなままでいていただきたい。損得ではなく、未来の自分が後悔しないか(自分の信念に沿って、正しく行動できているか)が、判断軸のままで居てほしい。
正しいと思ったことを貫いて、その結果、周りを変えることができるんだと、証明してほしい。

信念を曲げた方が、面倒くさくない。直面している問題は“とりあえず”クリアできるかもしれない。
でも自分の中の大事なモノが磨耗していく。心が濁って、汚くなる。
純なままで貫く“面倒くさい”人が、きっといつの時代も、いつでもヒーローだし、主人公なんだと思うのです。
折れないで欲しいし、そのまままっすぐ、突っ走ってほしい。

その結果、「香川1区」は変わりました。
次は政党で、国会で、日本そのものを変えられるのか。

作中に「どういうふうな結末を迎えるんだ、こんな人が?」という言葉がありましたが、小川議員の行く末を見届けたいし、自分に出来ることがあれば一緒に頑張りたいと思うのです。

2.若い世代が支える政治家

選挙期間中、小川議員のSNS展開をずっと見守っていました。企画や撮影のプロがボランティアで集まって(プロボノ)、小川議員の活動を増幅して全国に拡散していたのが、新時代の選挙の在り方という感じがしてエキサイティングでした。
「オガココ」という、若い女性達が中心のボランティアグループが居て。将来に不安を持つ人達がいたところに、小川議員のような“託せる”政治家が居る幸運を羨ましく思いました。
でもきっと、自分の地元にも居る筈なんですよね。話せばわかる人。共感できる人。壁を作っていたのは自分なのかもしれないなと、改めて思ったのです。

高校生達が、小川議員の遊説を見に来て「応援してます」と伝える姿を見て、胸が熱くなりました。
映画にはでてこなかったけど、何処かのスーパー前での青空対話集会の際に、学校帰りの小学生男子達が聴きに来ていて。あれは、思い出すたびにちょっと泣けますね…小川議員が「スタンド・バイ・ミーみたいやね」と仰っていた。ロマンを感じる。未来を感じる。

高校生にも、小学生にも、政治家の言葉は届く。自分達の未来を憂いて、今から良い社会に変えていくからねと宣言する人の言葉に耳を傾けている。

過去の20代、30代の自分が「まだ政治とか、そういうのはいい。自分には早い」と敬遠していたことを思い出して恥ずかしくなりました。

“まだ”ってなんやねん。そうして忌避している間に、どんどん社会の芯が腐っていって「政治家もメディアも信用ならない」と愚痴ばかり吐いている。
その間にも、下の世代へ回る“ツケ”はどんどん肥大していくのです。それはダメでしょう、大人として。

とはいえ、応援したい議員の事務所で、電話かけやチラシ配りを手伝う時間と余力もなく、後ろめたいような気にもなるのですが、いつか時機はくる筈と信じて、小川議員を追いかけながら勉強させてもらおうと思うのです。

3.選挙期間の熱気

作中では、小川陣営の出陣式の様子がごく短かったのですが(候補者、三者三様の陣営の様子を見れてよかったですけども)。
私は出陣式での、井手先生のスピーチでめちゃくちゃ泣きました(前回も、今回も)。
以下のnoteで文字起こしをされているので、未見の方は、ぜひ読んで、見ていただきたいです。

小川議員の選挙活動の中でも、毎日行われていた青空対話集会が、毎回“神回”だったのですが、SNS越しに見た、この方の発言▼はよく覚えています。めちゃくちゃ刺さって、泣いた。



小川議員を見ていると、いつも「諦めず、最後までこの国を見捨てずにやろう。」という言葉が思い出されるのです。(「シン・ゴジラより」)
正直者が馬鹿をみない社会に生まれ変わらせたい。そんな日本を、私も見たい。

…と、いち映画ファンによる、映画の感想を綴っているつもりが、ついつい映画の外側まで思いを巡らせてしまいました。
ほぼリアルタイムで、自分と地続きの世界を追う“参加型”ドキュメンタリーだから、いろいろ考えてしまいますね。
映画の全体像についていろんな感情が渦を巻く一方で、「香川1区」&「なぜ君は総理大臣になれないのか」ファンとしては、同志の方々と実況チャットをしたいくらい見どころ満載で、たまりませんでした!
うどん屋の店員さんとのやりとりとか、
マンションのポストを探して途方に暮れる小川さんの姿とか、
選挙最終日の自転車部隊の様子とか(「いいお天気ですねー」って笑)、
娘さん達の言葉や涙とか、
ご両親のやりとりの暖かさとおかしみとか、
青空対話集会の参加者の声の数々とか。
4年で変わったもの、変わらなかったものが、大島監督のカメラを通して明らかになりますね。
1シーンずつ考察やツッコミを入れたくて仕方ない…!
3/13まで、繰り返して観ようと思います!

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