企画仕事の引継書 vol.1
自分なりに、SECIモデルで言うところの暗黙知を表出化する為の第一歩を踏み出したく、noteに纏めていきます。
動機:なぜ書くのか
企画職にジョブチェンジして、じきに3年になります。
“後進の育成を”と言われてきたけれど、なんせ“新しい案件”ばかりを手探りで進める仕事が多い為にマニュアルが作成しにくいことと、手順書で引き継ぐよりも“考え方やマインド”を伝えた方が良いようにも感じていました。
いつか、案件を分割しながらOJTで育てられる日を夢見つつ、今のうちに、自分なりの考え方や仕事の進め方を言語化しておくことにします。
※他の業種や組織では通用しないことも、それはもう多々あると思います。
こと企画職は、その組織のナラティブに依る仕事が大きいと感じています。
ですのでこのnoteは、あくまで「私が所属する組織において、企画仕事をやる為には」という前提のものです。
目的:何の為に書くのか
自分のNotionに纏めても良かったのですが、noteに書く方が、ある程度の緊張感が保った文章作成ができるので、この場を使います。
明文化できていないナレッジを言語化する為のトライアル&トレーニング
作業手順書よりも「考え方」をトレースしてもらう必要がある為、まず自分自身の言語化が必要であること
OJTで「背中を見せて教える」的な余裕が無い可能性がある為
前提:私の仕事
所属は「営業企画」ですが、“営業活動に関わる企画っぽいこと”はなんでも放り込まれるので、ルーティン業務はほぼ持っていません。
“新しいことを企画して運用フェーズに持っていく”的な仕事が多く、かつ1人で企画・進行するケースがほとんどなので、組織にノウハウを共有できていない課題感があります。
私自身は、人材系の企画営業の経験が長いだけで、企画職にジョブチェンジしてからは特に師事する人もいない、野生の企画人間です。
ただ企画職への転職後、一緒に仕事をした上司が、Diversity & Inclusionの権化のような人で、自由に企画仕事を任せてくれました。
いろんな挑戦機会を与えてくれたことが、短期間で様々な経験値を積むことができた要因だと思っています。
この上司が居なければ、企画を具体化するチャンスが1/2程度には減っていた可能性が高いです。
(そういう意味で、後述の「味方になってくれる上役」が必要、と考えています)
考察:企画人間に必要な素養とは
ここ最近、いくつかの仕事をメンバーにトライアル的に引き継ぎしてみて、気付いたことが多々ありました。自分が処理してきた仕事が、実際は何種類かの知識やノウハウの層の上に成り立っているのだという発見です。
営業企画において、規格化されていない「企画」が必要な仕事を行うにあたり、企画職に、どんなスキルや能力が必要なのか?を考察してみた結果を図案化しました。
こんな感じの、ピラミッド的な層になってるんじゃないかと考えました。
ひとつずつ、紐解いてみます。
1.コミュニケーション力&ITリテラシー
企画案を手書きで書いたものを、資料化するようなアシスタント業務に従事してもらうならば、コミュニケーション力は特段必要でないかもしれませんが、そんなに人件費にゆとりがある部門でもなく(きっと何処もそうですよね)。
チーム外の様々な社員、あるいは社外の関係者とのやりとりが必要になるので、自分で考え、発信できる程度のコミュ力は必要だろうな…と感じています。
社内外の関係者と折衝できるレベルのコミュニケーション力
自分の考えを、筋道立てて伝えることができるプレゼンテーション力
情報を集め、整理して、必要な時に取り出せる収集力(≒ITリテラシー)
ある程度のExcel・PowerPointを使えるスキル(仕事をしながら習熟できる程度でいいと思う)
2.営業活動の知識
営業企画であれば、ターゲティング〜アプローチ〜提案〜クロージング〜受注〜納品・フォローの一連の営業活動のプロセスは、実感を伴う理解が欲しいところです。
発注者(営業部)とのやりとりとアウトプットに、格段の差が出てくる為。
営業経験がない人に、営業のプロセスやノウハウについて“芯から”理解して貰うことの最適解が、私には正直まだわかりません。
営業企画の仕事にジョインする人には、できれば、3ヶ月でも良いから営業を経験してほしい。もしくは営業アシスタントをするか、新規営業担当者に張り付いて営業同行させてもらうか。
それ無しでは、営業ツール作成においても、教育においても、解像度を上げるのはなかなか難しいのではないか…と思います。
アプローチから契約に至るまでの営業プロセスの理解
自分たちが、どんな顧客に対して、どんな価値を提供できるのか?顧客にとっての自分たちの価値(強み)とは何か?どうすれば選んでもらえるのか?という一般的な営業活動の本質への理解
営業現場の苦労への理解
3.トレンド(業界知識・アイデアの源泉)
インプットが苦でないというのは大事だなと思います。
本(文字)を読むのが苦痛、仕事時間以外は“仕事の匂いがするもの”とは一切タッチしたくない…と言われると、結構辛いです。
この辺は個人の成長意欲やキャリアビジョンにリンクするのでしょうね。
個人的には、オンオフ問わず、日常的にインプットすることが苦でない方が、知識量を早く積めると思います。
得られる知識量に、圧倒的な差がつく為です。
自主的に学びを深めていける知的好奇心
トレンドをキャッチできる嗅覚(情報感度の高さ)
情報収集の習慣
目の前の案件だけでなく、長期的/高い視座で必要となる情報を収集したがる貪欲さ
たとえばこういうTweet(Post)。
「こういったチームの仕組みは自チームに取り入れられるだろうか?」とか、オフの時間も思考を遊ばせていると、近しい場面に出会った時の「自分の引き出し」となる瞬間に、何度も出会えました。
人事系の話も同様に、最新かつ実践的なトピックスの宝庫です。
こと、組織やキャリア系のテーマは、SNSで最新のトピックスを得られやすい気がします(SNSは採用活動と親和性が高いからでしょうか?)。
4.組織のナラティブ
自社特有の常識や事情…という意味合いです。これはふたつの筋があると感じています。
ひとつ目は、自社のサービス知識。また、競合と比較した際の強み(いわゆる3C分析)と弱み。
確立できていなければ、これは事業部によっても、立場に寄っても違うアウトプットになる可能性が高いので、様々なユニットから情報収集することが大事だと感じています。
ふたつ目は、企画を社内で通す為の社内調整に必要な知識やノウハウ。
それなりの人数がいる組織であれば、例え「正しく、やるべき企画」であっても、様々な事情や状況により、ストレートに承認されるとは限らない為です。
実践的な自社のサービス知識
これは営業成績が良い新規営業担当者の営業を“見せてもらう”のが早い。ロープレをしてもらうのも良い
営業資料を、トップ営業の意見を聴きながら(実際に使っている資料も収集しながら)作るのが一番早く習得できる社内で企画を通す為の企画力
必要なのは“相手目線”。判断する人達の気持ちを妄想して企画書を書く
企画書を書く時は目的・目標・戦略・具体策を整理して書くが、もう一本「この企画を通すための目的・目標・戦略」のシナリオも描く。それは「企画の可否を判断する人」をターゲットとする企画を通す為の社内調整に必要な知識
いつ、誰から、誰に、どのように企画を出せば通るのか?を考えて提案し、関係者に動いてもらえるよう働きかける為の“組織の事情・常識”の理解
(外部から改革系の企画を通しにくいのは、ここを貫くのが難しいからだろうなと、組織の中に入ってみてつくづく実感しています)
5.やる気(やりがい&ビジョン)
ピラミッドの一番上にもくるし、ベースにもあるものだと思います。
どんなにスキルを積んでも、素養があっても、気持ちがついてこないと続けられない。どんな仕事もそうですが、結局「好きこそものの上手なれ」なんだろうと。
自分の仕事の延長にあるものが、自分自身が歩みたい道(キャリア)に綺麗に重なると、毎日を頑張る原動力になりますよね。それが早く見つかると“楽になれる”んでしょうけど。
とはいえ、どんな仕事であっても、未来の自分から「あの時、あの時間を一生懸命に過ごして良かった」と感謝される筈だと思っています。今日の自分の延長線上に、未来の自分が居るので。
企画人間への育成には、営業のようなわかりやすい数値目標を立てづらいだけに、そういうエンパワメント的な要素が必要不可欠なのかな、とも思います。
“今、自分が取り組んでいる仕事が、誰かの役に立っている筈だ”という実感を得る→一次情報に当たる(現場の人の声を聞く等)経験
今の仕事が、未来の自分に役立つはずという納得感(ビジョンとの連結)。それには自分の将来を見通す為の知識が必要
しみじみ、こういうことだなと頷きしかないTweet(Post)。
素養も重要です。
知的好奇心と知的謙虚さは、めちゃくちゃ大事だと思います。
けれどそのふたつが無いと全然ダメか?と言われると、案外これは「習慣」で変えられるかもしれない、とも思います。
たとえば「文字を追うのが辛いので、本は読まないんです」と言われてしまうと心が挫けそうになりますが、それは本や新聞を読むことで得られる喜び(新しいフィールドに踏み出せたと自覚した時の興奮)を、まだ知らないだけなのかも、と思ったりもします。
6.スポンサー(味方になってくれる上役)&時の運
「味方を作れ」という親からの教えをよく思い出すようになりました。
どんなに良い企画(と自分が思っていても)でも、上役がNOと言うと通らないし、自分のモチベーションも下がってしまいます。
けれど、一方ですぐには通らないケースもままあります。(もうこの組織では無理なんだ)と、企画自体を投げ捨てたくもなるけど、案外“まだその時ではなかった”というだけかもしれません。
“時の運”を虎視眈々と狙い、ここぞと言う時に仕掛ける我慢強さも必要なのだろうと思います。
適当にせず、スポンサーにこそしっかりプレゼンして、企画意図と価値を共有する→オーナーシップ
無限の熱意、情熱
スポンサー経由での承認が降りなくても、自分は諦めない強い気持ちを持ち続けること→決意、覚悟
チャンスを待ち続ける粘り強さ
あと、企画ポジションにつくのであれば、ソリューション営業に必要なスキルや視点を持っておくと、成果を出しやすい(≒間違ったアウトプットにはなりにくい)のかなと思います。
ここは次回、改めて紐解いていきたいと思います。
最後に、大好きなテキストを。
PARTYの中村 洋基さんのコラムです。
上記5,6の“やる気”や、“スポンサー(を捉え続ける為の情熱)”に通じるかなと。
ひとつひとつの仕事に、自分の意思を込め、こだわりを貫くことが大切だと感じています。
こうしたアウトプットは初めてですが、言語化を試みることで新たな発見も多々ありますね。
次は営業ツールの作り方か、役員会議で通す資料の作り方について、言語化してみようかなと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?