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ゾウがいる部屋

自分の人生のなかで、自分の思っていること、持っている意見を声にしたくてできないことが何度あったでしょうか。

他人を気にすぎる、機嫌を伺いすぎるのは自分の性格なのか、習性なのか。
思えば、そのせいで損してきたこともたくさんあった気がします。

わたしは昨年から外資系の会社で働き始めました。
海外出張が多いこの会社で、ビジネス旅行のアレンジをすることがあるのですが、世界中でコロナが猛威をふるい続ける中のアレンジは時に困難の連続です。

最近ある海外出張の話が持ち上がったときです。期日までにVISAが下りず、絶対にスケジュールに間に合わないことを、みんなが知りながら、誰も何も言わず強行突破するがごとく出張のアレンジを進めているとき、わたしは思いました。
ああ、部屋にゾウがいる。
そんなことわざが英語にあったけどまさに、きっとこの状態のことなのだろうと思いました。でもこのまま進めれば、ゴールデンウイークを返上してPCRやらなんやらで飛び回り、最終的に旅行はキャンセルになるのは、目に見えている。でも、自分からははっきりいうことができない、、、。言うしかない。今言うか、もう少しタイミングを見て言うか、どういう言い方であれば穏便に波を立たせず、、、などと、ぐるぐるぐちぐち考えていると、今回出張に行くはずだった、2人のうちの1人のドイツ人の同僚からチーム全体にメッセージが来ました。

計画を進めてくれてありがとう。
でもこの時点でVISAが下りないのは明らかだと思う。
とにかく僕はPCRを受けにどの病院にも行かないよ。
もうこれ以上、僕の休日を短くしたくないからね!

わたしは彼のそのメッセージをみて、あまりの率直さに少し驚き、
とても感謝しました。
そして、”ゾウがいるよー!”と大声で叫べるようにならないにしても、せめて意見を臆せず言えたらもっと楽にシンプルに生きられるのに、、、と、少しむなしい気持ちになりました。




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