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同人誌の値段は"販売"価格ではなく"頒布"価格と呼ぶ

初めましての方もそうでない方もこんにちは。
初めましての方は一度牧の自己紹介noteをぜひお読みください。

牧の自己紹介note

先日、質問箱の方にこんな質問が届きました。

「グッズを作って販売する行為は利益に該当しないか心配で…」
とのことですが、この辺曖昧な方も多いので、改めてまとめておこうと思いました。

ちなみに950円×参加サークル数は記念制作費の予算です。
レイトンは行って10sp程度の登録だと思ってますので、9,500円で何ができるかな…と今からドキドキハラハラしています。あまりご期待なさらないようにお願いいたします。

著作権侵害についてですが、まず、結論から申し上げますと、そもそも二次創作はグレーな行為です。


よく「こっからここまでならOK」みたいな議論が繰り広げられていますが、基本的に他人のふんどしで売名行為等を行うことは、ふんどしの持ち主に“おめこぼし”されている状態に他なりません。ふんどしの持ち主が一言「おめェ、目に余るな」と言った瞬間からアウトになる訳です。そんなのOKも何もねェだろ。

私達は、ふんどしの持ち主の目に余らないように、ほどほどに、迷惑にならない範囲で、独創性高く作品を応援していくというのが基本スタンスになります。

まず著作権法ですが、平成30年に改正されて非親告罪となり、権利者がわざわざ訴えなくても処罰が適用されるようになりました。

これは何を取り締まっているのかと言うと、基本的に違法アップロードや海賊版横行の抑止として制定されています。
以下の3項目に該当するものが対象になります。

  1. 対価を得る目的または権利者の利益を害する目的があること

  2. 有償著作物等(有償で公衆に提供され、又は提示されているもの)を原作のまま譲渡・公衆送信またはこれらの目的のために複製すること

  3. 有償著作物等の提供・提示により得ることが見込まれる権利者の利益が不当に害されること

どうして二次創作がおめこぼしされるのかと言うと、

  1. 対価を得る目的じゃないから

  2. 公式の利益を害さないから

  3. 公式の著作物をそのまま使わないから

ということです。もちろんこの範囲を超えてしまった場合は、過去に何度か起訴されて、刑事事件になった案件もありました。
「あんたんところ、二次創作で利益取ってるし、うちの利益侵害してるよね?」って公式に言われた時点で、裁判に勝つか、賠償金を支払わなきゃなんない訳だ。

「同人誌即売会は実際に利益を取ってるじゃないか!」と思われがちなのですが、同人誌というのは基本的に"会報誌"という位置付けになります。

同好の士で集まった、ファンクラブで発行された読み物・もしくは記念品になる訳です。
ファンクラブの代表が、作品を応援する為に夜なべして発行した会報誌を、会員がお気持ち分制作費を負担して分けてもらってるという概念です。

なので我々は、"販売"という言葉を使わずに"頒布"という言葉を使います。
値札に書かれた金額は、「最低限これだけお支払いただければ、この会報誌をお配りしますよ」という価格になります。
だから"お客さん"ではなく、"一般参加者"という呼び名が使われている訳です。
お分かりいただけただろうか。

ちなみに同人誌即売会の初期では、自作発行の本との物々交換で行われていました。
そうすると、本が発行できない人は貰うことができないので、しょうがなく金銭でも交換してあげますよとしたのが始まりです。

一般参加者というのは、特別にお金でも会報誌を分けてもらっている立場な訳です。
高いだの何だの文句言う奴はマジで買うな。

「とは言えお金もらってるじゃないか」と思われる方もいるのですが、同人誌制作は基本的に利益にならないです。

二次創作サークル参加者の基本スタンスは、元作品に対する"応援"活動であり、自己の資金や時間を"投資"して活動しているからです。

大量の時間とお金を掛けて頒布物を制作し、交通費を掛けて、あるいは前泊しながら、ファン活動に勤しむ。これに利益を取ろうと思ったら、20~30万では安すぎます。

「好きでやっていることだから、印刷費程度の負担でお分けしますよ」と言ってくださっている慈善活動に対して、高いだの何だの文句言う奴はマジで買うな(本日2度目)。

頒布価格は、サークル活動においての互助会費です。活動を助けたいサークルへの互助会費は、喜んでお支払ください!
ちなみに私は頒布価格を計算したことがないので、いつも破産寸前です!!

ついでに頒布価格の設定で相談されることが多いので残しておきます。

頒布価格には、一応相場価格というものがあります。
<B5サイズ>
ページ数×10+フルカラー表紙の場合+100円
<A5サイズ>
ページ数×70~75+フルカラー表紙の場合+100円

これ以上の仕様は"自己満足"の世界へ突入していく訳ですが、「うちの本は装丁豪華にした方が、みんな喜んで応援してくれる!!」と思うなら頒布価格に上乗せしたら良いと思います。

ちなみに相場価格は、基本的に100部以上の頒布が捌けるサークルへの適応になると思います。
個人的には、50部以下の頒布が難しいジャンルやサークルへは「印刷価格の5掛けで頒布しろ」とアドバイスしています。

製作数の半分が頒布されれば、頒布者の印刷費負担がゼロになる計算です。これは頒布者の心の負担を軽減します。
参考までに一般的な業者の販売価格と言うのは6掛けが基本です。
印刷費は仕入れ値とは違うのですが、参考までに覚えておいてください。

以上のことから、二次創作でもお金を取ってもいいんだよ!と言うことがお分かりいただけたでしょうか。
だけど、やりすぎて公式に怒られた日には目も当てられないよ!ということです。

最近は二次創作ガイドラインを制定してくれる公式も増えてきましたので、ルールを守って楽しく、そしてみんなで公式を盛り上げていきたいところですね。


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