あの日の僕(第4話)━熱

あの日の僕(第4話)━熱

なんだか、楽しい事を書きたくなった。ブログでは楽しい事ばかり書いているのに、この日記ではあまり書けていない気がする。しんどい事ばかりではないし、僕の人生はそれがメインなんかではない。楽しい事あるしあったし、メインは楽しい事、熱中している事だ。あの日の僕にもそれはあった。これを読んでくれている君の様に。

熱中した遊びは、今でもスラスラと列挙出来る。テレビゲーム、将棋、蟻の観察、読書、空想。ゲームも将棋もよくお兄ちゃんと一緒に遊んでいた。僕の兄は2つ上。今は喧嘩なんてもうないけど、当時はよく喧嘩をしていた。その原因はささいなものばかりで、ほとんどお兄ちゃんがキレて僕が困る、という図だった。2つ下に妹もいて、妹とも喧嘩をした。その図は兄と同じで、僕が怒る事はほとんどなかった気がする。喧嘩はあるけど、基本的には二人と仲は良かった。今も仲良しで、僕は二人が兄と妹で良かったと思っている。大切な存在だ。

将棋はお兄ちゃんと勝負していたけど、僕が勝ちそうになると、よく兄はいきなり将棋盤をひっくり返して勝負を無効にした。考えなくてもひどい話だよね。そこで怒ってもその倍以上に怒られるから、その後もくもくと散らばった駒を拾った。それが続くと、ついに駒が1つ、2つとどこかに消え、代替えとしてオセロの駒を使う様になっていた。テレビゲームでも将棋のゲームを買ってもらい、僕は一人その将棋ゲームにはまった。僕はひたすらAIの相手と勝負を続けた。そのAIは難易度を選べて、徐々に強くなって行く相手に果敢に挑んでいった。最初は勝てたのに、レベルが上がるとどうやっても勝てなくなった。子供の僕にとっては強敵過ぎた。ただ、そこで僕はあきらめなかった。

思えば、あきらめないという経験をした原体験かもしれない。そのゲームには、「待った」というボタンがあった。そこを押すと、なんと一手戻る事が出来た。過去に戻れるという、革命的なアクション。過去に戻れるなんて、きっと普通は無理。だけど、このゲームの中では可能になっていた。子供ながら、革命的な体験が出来るこの凄さに驚いた。未来にいけるとしたら何がしたい?と考える前に、僕はこの中で過去を遡る体験をしていた。その魔法を最大限活用した。将棋のルールを知っている人ならわかると思うが、一手戻れるというのは、とにかく最強だ。しかし、AIも負けていなかった。考える時間がどんどん長くなりながらも、最善の一手を次々と繰り出してきた。ワクワクしっぱなしで、僕は時間を忘れて将棋ゲームに熱中した。はまったテレビゲームは他にもある。夜遅くまでやるのは無理だけど、可能な限り様々な種類のゲームをした。

楽しい事を書こう、として書いてみたら将棋ゲームをひたすら一人でやっていたエピソードになったけど、これでいいのかな?と思いつつ、ありのまま書くと決めているから、これはこれでいい。僕の中では楽しかった時間だ。

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