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香水の歴史① - 起源から近代香水まで

はじめに

今回の記事は完全に趣味の記事です。五感のうち原始的な感覚と言われる嗅覚ですが、ではそれを刺激して楽しむ香水はどのような歴史を辿ってきたのかをまとめたいと思います。

原始的と言われるのは嗅覚が大脳辺縁系を直接刺激するものだからです。一般的に理性と呼ばれるようなものは大脳新皮質と呼ばれる鳥類・哺乳類以降で発達した部分を経由して大脳辺縁系に刺激が入ります。

一方で嗅覚から直接刺激のいく大脳辺縁系は魚類・両生類・爬虫類からある場所であり、最も本能的な反応をする場所になります。
睡眠欲や食欲、性欲、喜怒哀楽をつかさどる場所になります。

長い歴史を通じて人間の嗅覚に影響を与えてきた香水には、どのような歴史があるのでしょうか?
今回は香水の起源から近代香水までをまとめたいと思います。

メソポタミア文明以降(紀元前3000年)〜ギリシア文明(紀元前460年)
香りが宗教から生活へ

最初から今の形の香水ではありませんでした。
一番最初はメソポタミア文明の神へ捧げられた薫香から起源がきていると言われています。
邪気を祓い、心身に良い影響を与えるための神殿の雰囲気づくりから始まったようです。

香りのする木を焚くことで出る、香煙が死者を来世でも生き存えさせると信じられていました。

古代エジプト(紀元前2800年)でも樹脂を加工した軟膏として広がりました。樹液を乾かして赤褐色となった樹脂のことをミルラと呼ぶのですが、ここからミイラの由来になったと言われています。

メソポタミア文明においては焚く必要があったのに対し、古代エジプトでは軟膏として用いられ始めたことで、現代のスキンケア製品のように手軽に香りを楽しむ文化が生まれました。

さらに時代が進み、ギリシア文明(紀元前460年頃)では植物由来の香り高いオイルをエジプトとの交易で広がったので香りのバリエーションが増えます。
現在のフローラルノートの代名詞ともなるバラの香りが流行します。またユリの香りが出てきたのもこの頃になります。

ギリシア文明といえば医学のヒポクラテスですが、植物由来の香りを医学に使い、伝染病の予防や治療に使っていたようです。この時代になって現代の調香師のような職業が出てきて香りが広がり始めました。

古代ローマ(紀元前50年)〜中世ヨーロッパ(15世紀)
香水の原型が出来上がる

時代を風靡したクレオパトラがバラの花びらをミルクバスに浮かべて毎日入浴した逸話が有名ですが、香りを使った生活が美のシンボルとなりました。ここからローマ人は男女共に香料を使うようになりました。
宗教儀式や医学など一部でしか使われなかったものが一般的に使われ始めた瞬間です。そしてその香りが権力誇示の手段や快楽のために使われるようになりました。そしてこの広がりはローマ帝国の後、イスラム圏(7世紀)まで広がります。その後ヨーロッパに再び逆輸入される15世紀までに医学とハーブがイスラム圏では発展します。医学者であるイブンシーナーはハーブから精油を取り出す「蒸留法」を発見しました。

蒸留法により現在のオーデコロンのような濃度は低いが香りを凝縮したものが生まれます。大量にバラやハーブを必要とする形から香りを取り出し効率的に楽しむことのできる技術となりました。

その後中世ヨーロッパ(15世紀)になると、アルコールの蒸留が始まります。もともとアルコールも医学的な万能薬として使われていましたが、ハーブ類や砂糖を混ぜることでリキュールが生み出されます。

そして香水の元になったと言われるハンガリーウォーター、「若返りの水」が作られます。ローズマリーをアルコールに漬け込んだ痛み止め薬として作られ、リウマチや痛風のような病気を緩和した上で元気と若々しさを取り戻したことが所以になります。これが香水の原型になったと言われています。

これがベニスの商人によりさらに広がります。この頃ジャスミンやオレンジ、バラが東方貿易によりもたらされます。これにより商業化が進み当時作られたヴェネツィアグラスにそれを詰め保管がされるようになりました。

フランス絶対王政(18世紀)〜ナポレオン時代(19世紀)
近代香水のはじまり

時代がさらに進み、イタリアの調香師がフランスに訪れます。そしてフランスで香水を推し進めたのは、ルイ14世の時の財務長官コルベールだったと言われています。もともと香料は皮のなめしの時のにおい消しとして使われていました。皮のなめしが盛んだったグラースは現在、香水の都と言われています。

このフランスの絶対王政時代に産業化した香水は、マリー・アントワネットによりファッションアイテムとしての地位を占めていきます。自然な香りや花の香りを好みました。特にバラを好んだようです。

その後ナポレオン時代(19世紀)のナポレオン・ボナパルトも香水を愛用し現在のオーデコロンの原型になったと言われています。ちなみにオーデコロンの語源は「ケルンの水」のフランス語読みであったとされます。

これがさらに進みオーデコロン「4711」が生まれました。この「4711」は最古のオーデコロンと呼ばれており、数字は当時ケルン市では全ての建物に番号が振られました。オーデコロンの元のレシピを作ったヴィルヘルムミューレンスの仕事場の番号が4711から来ています。この「4711」をケルンに駐在していた兵隊たちが母国に持って帰ったところからヨーロッパ全域に香水が広がりました。

ナポレオンもこの「4711」を愛用していたと言われています。そしてナポレオンが香水をブーツに差し込んで常に携帯できるようにこのころアトマイザーが生まれたと言われています。

そして現代香水の父とも言われるゲランはこの頃に「皇帝の水(オー・インペリアル)」を作り献上したと言われています。

この時代にさらに香水を推し進めたのが合成香料のクマリンです。世界初の合成香料でした。クマリンは元々そのままでは香りがしないので、合成が必要なのですが、ここから生まれたのが合成香料です。諸説ありますが、貴族がシダ植物を育てており、クマリンが豊富に取ることができたので、加工法をあとで作ったと言われたいます。シダをモチーフとした香りを作っていく形は、19世紀以降の現代香水の特徴である物語を作り香水を合わせて作っていく現代香水の作り方へ繋がっていきます。

ちなみにこのクマリンからできた香水、フジェール・ロワイヤルは現代のフゼア系の香水の語源となっています。ここから科学の進歩と共に合成香料が開発され、香水産業は発展していきます。

おわりに

香水のイメージが強かったですが、香料としての利用から始まったのでメソポタミア文明まで歴史は遡りました。その中で最初は木を焚くところから、次にオイルを混ぜ軟膏にする。その後蒸留法が生まれるにつれ、医療の治療薬から日常のファッションになっていきました。

そして近代で合成香料出たあたりから、現代の香水へと繋がっていったようです。
かなり歴史が深くそれぞれの時代の工夫が見ることができるため、香水をより奥深く楽しむことができるかと思います。

今回の記事は起源から今の香水ができるまでをまとめたので、今後近代から現代香水の歴史もまとめたみたいと思います。
現代香水でも老舗となるブランドや新興ブランドまで現代では溢れています。

時代と共にどんなブランドがどんな香水を作ってきたのかをまとめてみようと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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