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藤枝順心:言語化の本質

中学校にあがり、広島女子ユース蹴命FC(けんめいエフシー)という、いかにも仁義なき戦い的な、保護者からは大ブーイングのチーム名で、初の全国大会を経験しました。それからチームは変わって、毎年全国には出場するものの、所属チームがグループ予選を突破することは一度たりともありませんでした。

それもあってか、卒業後の進路の話になった際、母に"あんたは県外行くんじゃろ?"と言われ、私も素直に"あ、そうなんだ"と納得。そのまま進路希望調査票にも県外とだけ記入し、提出しました。

父が藤枝順心高校と日ノ本学園の練習会に連れて行ってくれて、無事に両校から奨学金の提示を受けたうえで、どうせなら少しでも知らない人が多い、自分を追い込める環境と順心を選びました。

順心での3年間は、ちょうどグランドを人工芝に張り替える工事と重なったこともあり、間違えて陸上部に入部したのかと思うくらいに走っていた記憶がありますが、それと同じくらいに記憶に残っているトレーニングが言語化です。

週に1回、練習着にも着替えず、視聴覚室に集合。GKを含む守備陣、MF、FWにわかれて、対戦チームの映像をみながらの分析。最初はグループで意見をまとめ、最終的にはチーム全員で意見を擦り合わせて戦術を練ります。

誰かに勉強を教えるときもそうですが、"なんだか分からないけど"という程度の理解で説明することは難しく、言語化をするという作業は互いの理解度の確認に繋がります。また、チームとして戦う以上はグループとしてどれだけ同じ絵を描けるかということが大切で、言語化はその精度を高めるキーだと思っています。

パーソナルをするときにも気をつけているのですが、シンプルかつ、その一言で互いが同じイメージを共有できるような言葉をキューイングとして使うこと、またそのための意味づけの作業が必要です。言語化の作業を通じて、理解度はもちろん、お互いに同じイメージを持てているかの確認をし、また言葉を統一することでチーム間で混乱することも防げます。

サッカーの見方なども教えてもらえるし、数を重ねる度に戦術理解度もあがるよいトレーニングだと当時からも感じてはいましたが、ようやくその本質的なところが最近になって見えてきたのかなと思います。

本当はアメリカに行くことになったきっかけをさらっと書くつもりが、試合を見ながら脱線してしまいました。思うに、最後に勝つチームというのは、自分自身を、お互いを信じ合い、どれだけ同じヴィジョンを描けるかという点において優れているように感じます。試合を見ていても、迷いはなく、そのための準備はしっかりできてると感じるので、一発勝負で緊張することもあるかもしれないけど、そんなひりひりした空気も最高の仲間と全力で楽しんでほしいなと思います。



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