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04_邂逅

少年には、二人の恩師がいた。
一人は、東大阪市の荒川小学校で、四年生の時の担任だった川見先生。もう一人は、俊徳中学校の美術の岩本先生。こちらは、後日紹介。

川見先生は、とてもユニークな先生で、教科書はほとんど使わず、オリジナルのガリ版印刷で作ったプリントが教材だった。学級新聞も面白く、とにかく創作・表現することの面白さを実践してくれました。とにかくこの先生は、生徒のすることに肯定的で、それは少年のような個性的な子供には、とても有り難かったのでした。小学四年生と言えば、10歳。おそらく自我が目覚め、人としてのベースが出来上がるんだと思います。そういう頃に、この先生に出会えたのは、本当に幸運でした。

さて、そろそろこの川見先生が、読み聞かせてくれた本を紹介します。それは、古田足日氏の「水の上のタケル」でした。内容は「指輪物語」に近いもので、ごく普通の少年が、異世界で伝説の勇者になるような物語でした。その挿絵も含めて、少年は夢中になりました。少年が、絵だけでなく文章そのものにも興味を持つきっかけになったのです。表現手段の幅に「文章」が加わったのでした。
その後、少年は、自分でも図鑑から模写した絵に文章を加え、冊子のようなものを作って、みんなに貸し出して読んでもらうと言う、なんとも風変わりな遊びに没頭するのでした。

この頃の少年に大きく影響を与えたものに、テレビ番組があった。「野生の王国」と「生き物バンザイ」である。この番組は、昆虫や、動物好きな少年には、毎回夢のような番組であった。少年は、他の生き物に対し、興味の対象だけでなく、畏敬の念を抱くようになったのです。しかし、その反動もあった。当時は公害や、環境破壊が問題になっていたこともあって、人間そのものへの憎悪も生まれてしまったことでしょう。生き物は好きだが、人間は嫌い。残念ながら、これは今も引きずっているのです。
実は、その他にも「兼高かおる世界の旅」も大好きでした。その後、少年は大人になって、国内外へ一人旅することとなるのですが、明らかにこの影響です。単純ですね。

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