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03_覚醒

絵に目覚めた少年は、おそらく小学校への入学祝いであったであろう「原色学習図解百科・全10巻(ネットで調べると出てくるもんだね)」が愛読書であった。
しかし、文字通り百科事典なので、その内容は、すべてアイウエオ順でした。それでも、普通の百科事典と違って、紙面の半分くらいは、写真や図説だったため、興味が湧いたものを、熱心に読みふけっておりました。少年にとって、その本の中にある情報は、普段、自分の目に見えている風景が、世界のほんの一部であることを教えてくれました。そしてそれは、無限に広がる想像力を育んでくれたと思っています。
さらに、独立していた9巻「楽しい音楽と鑑賞(クラシック音楽の解説・レコード付き)」と10巻「新しい造形と美術」は、特にお気に入りでした。この2冊は、確実に少年の感性に影響を与えたことでしょう。

そしてもう一つが「学研の図鑑っぽいもの(記憶があいまい)」。これは、分野ごとに巻が分かれていたために自然と愛読する巻が出てきました。特に「昆虫・動物・花・宇宙」などは、他の子供たちにも見られる傾向でしょうが、この他にも「人体・名所旧跡・寺社」への興味は、確実に神仏の絵を描くルーツになってたのではないでしょうか。

ちなみに、この頃の少年たちの心を掴んでいたのは「スーパーカー」でした。そのブームは、ものすごくて、みんながフェラーリや、ランボルギーニのミニカーや、プラモデルに夢中でした。
でも、その頃、この少年が夢中で作ったプラモデルは「平等院・鳳凰堂」で、いつかは作りたいと夢見ていたのが「日光東照宮・陽明門」だったのです。

とにかく少年にとって、本と言えば「図鑑」でした。当時の読書好きと言えば、推理小説や、偉人伝が主流でしたが、少年は、まったくそんなものに興味が無かったのです。少年探偵団や、明智小五郎には、まったく憧れなかったのです。

しかし、ある日。

その後の、少年に大きく影響を与えた先生の一人。川見先生が、授業終わりに読み聞かせくれた物語に夢中になるのでした。

それは・・・

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