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#41 2024年4月26日

田辺聖子の「私的生活」を読み終えた。
なんとも言えない、田辺聖子の本を読み終えた時にしか感じられないこの揺らぎと暖かい気持ちをそのまま言葉にしたくて、たまらずnoteを開いた。書き始めたところ。左手には田辺聖子の、「私的生活」を握りしめたまま。

陸橋を渡る。ここいらでは唯一、田辺聖子に1番ちかづける場所だから嬉しくなる。今ごろお空で何してるのかしら。

今日は1人で舞台を観にいった。
一人でなにかをするというのは、たまらなく好き。
自分の脳みそと体がそのまま真っ直ぐ、繋がってる感じがするからかもしれない。思ったままに、体を動かしてもいいから好き。私みたいなわがままで、多動で、衝動に駆られやすい女こその嗜みかもしれない。

舞台は、かなり前に支払ってあったもの。
今、うつし世を生きる方の中では一番、風貌の惹かれる俳優さんだったから、実際に会ってみたら一体どんな気持ちになるのか、半ば私への実験のような気持ちで足を踏み入れた。

この間電車の中で、「本を読んでえらいね」と声を掛けられてからというものの私は本を読むことがやめられなくなり、その度私の心の中であの叔母様の言葉がこだまする、偉いね、たまらなく私は自分が偉い気がした。
だから舞台が始まる前にもずっと本を読んでいたし、すると、周りも本を読んでいる人が多くて、そうか、舞台を見に行く趣向のお方々は、こうして本に触れることも好きなのね、なんて思いながら、少し座り心地の悪い椅子で、ひたすら読み進めた。

音楽が鳴り止み、暗くなり、舞台が始まる。
足音が聞こえ、パタンと止み、明るくなると、私の会いたかった人。でもなぜかしら、初めてあったのに、画面の中の彼を見つめていた時に感じていたときめきを感じられなかった。
ビビッと来る、の意味をなぜかここで理解した。本当にたまらなく好きな男が現れた時に感じられるビビッとは、今ではなかったみたい。俳優さんに恋したかった、とかではなく、ああ、私のタイプじゃないんだなぁ、なんてポツリとこぼしてしまいそうなくらい、ちょっとショックだったの。

画面で見ていたよりもガッチリとした体つき。大きな肩幅。「ああ、男の人だ」と思う。ただそれは、私の好きな感じの「男の人」ではなかった。
それに、上半身があらわになるシーンもあった、当の本人は、ふざけたシーンだったから必死に演じていたけれど、私の目には「ぽちゃ」といった感じのあの体つきにショックを覚えて、私が立っていたら後ずさりしていたなぁ。

本編はとっても面白かった、ずっと笑って、来てよかったなぁ、と思った。ただ、私の中には心残り。1番心を揺さぶられる風貌だったはずの男性が、思った通りではなくて、何か私の中の大切なものが無くなってしまった気分。

ヘッドフォンで、「ともだち」ばかり聞く。宇多田ヒカルの。
田辺聖子のえがく、ちゃらんぽらんな女性像が好き。私もそうなりたい。

夏が近いな、虫の声が聞こえ始めた。

#創作大賞2024
#エッセイ部門

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