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特別な一冊 受け継いでゆくこと

娘の小学校の図書ボランティアを昨年からしているのですが、司書さんが紹介してくれた絵本です。

『ルリユールおじさん』
いせひでこ
講談社

少女が大好きな一冊の本。大好きだから、読んで、読んで、ページがバラバラになってしまった。
街の人に、ルリユールおじさんのことを聞き、ドキドキして工房を訪ねてみると、コブのような手で静かに仕事をするルリユールおじさんがいた。
ひとつひとつの工程を丁寧にすすめ、本に新たな命が吹き込まれていく。

丁寧な仕事
「名を残さなくていい。いい手をもて」
本への想い
人への想い
生まれること
受け継いでゆくこと

登場人物の顔も、どんなお話なのかも全然わからない表紙。
絵本棚にあっても、なかなか人の手が伸びないであろうことも承知の上でこの表紙なんでしょう。
いせひでこさんの作家さんとしての「あり方」が滲み出ているように感じます。

そして、この表紙のさりげなさが、裏路地にあるルリユールの工房にそのまんま違和感なくつながっていきます。(いせひでこさん、札幌ご出身の方だったのですね!)

ルリユールとは、フランス語で、製本や装幀を手作業で行う職人さんのことだそう。
その伝統的な糸かがりの製本工程そのものを指す言葉でもあるようです。

昔のフランスでは、仮綴の本を購入したのち、気に入った工房へ本を持ち込んで、自分好みの本になるように職人に製本を依頼していたのだとか。
なんと贅沢で素敵なんでしょ✨

好きな色の革
紙選び
金箔で打たれたタイトル

お気に入りの一冊をルリユールに製本してもらえるとしたら、どの本を持ち込みますか?

うーん。
絞るの難しい。

少ない言葉ながら、絵と余白が語りかけてくる、とても素敵な絵本でした。
本や手仕事が好きな大人にこそおすすめの絵本です。

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