他人と縁を結ぶということ:養子縁組―縁組の種類
11/16(水):養子縁組③
前回、里親の種類について書きましたが、今回はその中でも「養子縁組」について。
「普通養子縁組」と「特別養子縁組」は、似て非なるもの。それぞれについての特性を挙げていきたいと思います。
(今回取り上げるのは、未成年の養子縁組についてです。いわゆる婿養子のような成人同士のものは含んでいません。)
共通点
・個人同士の同意に基づき、家庭裁判所に申し立て、親子関係を結ぶ。
・親権は養親が持つ。
・里親手当の支給はなし(生活諸費等は支給)
「普通養子縁組」
・親権:養親だけでなく実親ももつ。
(実親の親権も継続するため、親子関係は二重に生じる)
・戸籍:「養子」「養女」と記載される
・期間:養親と養子、互いに同意があれば縁組の解消ができる
※もともと家の跡継ぎをつくるために作られた制度である。
「特別養子縁組」
・親権:実親の親権は無くなり、養親のみに親権が渡される
・戸籍:実子と同様に「長男」「長女」などと記載される
(身分事項の箇所には「民法817条の2」と記載される)
・期間:原則として親子関係を解消することはできない。
※こどもの為に社会福祉の観点から作られた制度。
また、基本的に6歳児までの幼児が養子の対象となる。
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そして次に、「どんな人が養親になれるの?」ということについて触れておきたいと思います。
養親(里親も同様)になるには、一定の条件が定められ、厳正に適性を図られることとなります。
里親研修(いわゆる座学の研修と、実習が行われます)については次週以降に触れていこうと思っていますが、上記の要件は、研修を受けた後に面談や書類の提出、家庭訪問などを経て適正が図られることになります。
また里親として登録ができても、養親になれるまでにはハードルが高く、長期のスパンでの取り組みとなり、いろいろな事情で諦めざるを得ない夫婦も少なくないようです。
日本の政策として、「施設での養育・保護から家庭での養育・保護をすすめる」ことを目的として養子縁組の件数を増やそうという動きは出ていますが、コロナ禍の現状もあり、なかなかすすんでいないのが現状のようです。
そして以前受講生だった私は「これはすすまんわ…」という感想を抱いたもの本音。
また、アメリカなどの諸外国と違って、まだまだ「特別養子縁組」「里親」などが身近にできていないのも日本の課題なのではないかな?と考えています。
日本の文化は「他人に迷惑をかけてはいけない」「家制度」「家系を守る」の意識が根強く、それら意識が「養子に出される子」への差別感情を強固なものにしているのではないでしょうか。
また、シャイなのか何なのか、「良いことをしている人を遠巻きに見ようとする」例えば「ボランティアする人をどこか『よくやるよね…』と嘲笑するような空気感。」これって何なのだろう…「その他大勢」をヨシとする日本の風土のせいなのでしょうか?
これらの空気感から、養子縁組家庭を遠ざけたり、視界に入れたがらない人、どうしても避けて通ろうとする人など、色眼鏡を外せない人が多いのが実情ではないでしょうか。
正直、かく言う私も自分の心の奥底に無意識の差別意識があるのかも知れない…不安は尽きず、夫婦で「自分たちの感覚は差別ではないだろうか」と話したりしています。
思い込み、価値観を変えていくこと…とっても難しいですね。
今後、里親研修の内容やシステムについて考えながら何かできることはないかな…考え続けていきたいと思います。
一緒に考えて下さる方がいらっしゃったら、とっても幸せです。
お知恵を拝借できれば…
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