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他人と縁を結ぶということ―里親と社会との連携①学校・幼稚園・保育園

2023/6/7(水):特別養子縁組㉕

はじめに


 特別養子縁組、里親について考えて行く水曜日。
 先週までに引き続き、里親と里親子、養子縁組親子を取り巻き、支えている社会の制度について触れ、考えて行きたいと思います。

 今日のテーマは、その中でも子どもが通うことになる教育機関との連携について。
 子どもの成長において避けることができないのが教育機関。子どもにとっては生活の大半を過ごし、価値観や人生観に影響も与えてしまう場所であり、慎重にかかわり情報開示をしていかないと、周囲の露骨な差別やトゲにさらされる恐れも伴った場所でもあるのが現実ではないでしょうか?

なぜ連携が必要なのか?

 教育機関に連携を求めることの必要性は、何となく「必要だろう」とは思うでしょうが、もう一度、「連携ができていなかったら…?」という目線でみることで連携について考えて行きましょう。
 私たちの普段何気なく過ごしている社会は、それぞれの「当たり前」というフィルターを通して捉えられ、知らず知らず誰かを傷つけているもの…その当たり前フィルターを外して子どもの現状を理解、寄り添ってもらうことで「一緒に守る当事者」を増やすことになり、子どもを守り育てる環境も育っていくのではないかと思います。
 

協議すべき内容とは何か?

・里親制度についての理解を求めるための説明
→里親というシステムについて知識はある教師は多いものの、実際に直接かかわる経験をもつ教師はまだまだ少なく、「自分事」として問題意識をもって考えもらことが必要となってきます。
 教師自身の「普通の家庭像」「普通の親像」が無意識に子どもを傷つけることもある…という現実を認識し、「当たり前に疑問をもって発言する」という癖をもってもらえるようにすることが里親としての子どもにできる第一歩ではないでしょうか。

・子どもの状態(生い立ち、健康、発達、問題行動、配慮事項)
→ひとえに「里親」「養親子」といっても、子どもの成育歴の背景はさまざまで、配慮すべきことも個々によって全く別の物になってきます。子どもの人生を尊厳を傷付けることが生じないように担任はもちろん周囲への理解を図ることも大切ではないでしょうか。
 「入所・入学の時に伝えればそれで終わり」ではなく、都度都度の連絡と情報の共有が大切かと思います。
 また前回までにも書きましたが、子どもの実親の元の養育環境は望ましくないものも少なくない為、発達や行動に問題を抱えていることがあります。預ける教育施設にも正しく状態と要因を理解してもらい、適した対応を教えてもらうことも必要となってきます。
 
・実親との関係(面会通信の制限、秘匿事項、保護者との交流)
→例えば面会をする場合、その前後の子どもの心理状態への配慮見守りなどが特に必要になってきます。
 また実親との関係や実親の状態によっては里親の住所を秘匿している場合があります。伝達ミスなどによって守られるべき情報が実親に伝わってしまうことがないように互いに配慮することが大切です。

・学校での呼び名
→子どもの学校での名前を実親の物にするのか、養親の名字を名乗るか…という問題です。
 実親の本名の場合は「帰る家の名前が違う」「親と違う名字」と周囲に分かることでの弊害が生まれ、養親の名字を使う場合は里子の「自分の親と違う名前になる」ということの辛さが生じる可能性があります。どちらにしても十分な配慮が必要なことなので、教育機関にも把握してもらったうえでの対応が必要です。

・里親の呼び名
→養親のことを何と呼ぶか…という問題です。「おとうさん、おかあさん」なのか「おじさん、おばさん」なのか共通理解が大切です。

・学習面の配慮
→実親の元での通学、学習環境と本人の学力の把握なども大切です。

・友人関係での配慮
→クラスの子どもたちへの情報開示や理解への連携です。直接的な里子自身への理解や対応だけでなく、そのような家族の形をどのように扱うのか…といった社会的問題、社会養護の教育・説明をどのようにしていくのか…といったことへの連携も不可欠であるといえます。

伝えておくべき内容

 緊急時、不慮の事故等の場合に、緊急時の連絡方法について日頃から確認しておくことが必要です。緊急時案が起こった時に誰にどの優先順位で伝えるのか、かかっている専門機関などについても認知してもらっておくことが必要となります。

 まずは子どもにかかわるプロたちへの正しい理解をしてもらうことで、共に学ぶ子どもたち、その親たち…と理解と支援の輪を広げ優しい見守りの目と理解のある環境を育てていきたいですね。

今日はここまで!
最後まで読んでくださってありがとうございます。


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