見出し画像

新卒・中途 候補者からの内定辞退を巡る企業側の事情

内定辞退がTwitterのトレンドに上がっていました。

どうやら朝ドラで主人公が内定辞退をするシーンがあったことで話題だったようです。新卒の内定辞退は昔から色々なことが語られています。内定辞退を告げるとコーヒーを掛けられるなどの伝説がある企業もあります。

基本的には各人の人生なので思うようにすれば良いとは思うものの、企業側の事情なども踏まえると色々な思惑を知っておいて欲しい気持ちがあります。採用に携わる一人として内定辞退についてお話ししていきます。

内定に至るまでの意味

選考ステップは企業が候補者と価値観をすり合わせてお互いに時間を共有できるか確かめていく課程です。その結果、企業側からの内定が出ます。熟考した結果としての辞退は尊重しますが、関係性はある程度構築できている状態だと少なくとも企業側は思っている状態であるため、きちんと連絡を頂きたいところです。連絡がつかなくなったり、退職代行を利用して内定辞退をする方の話も耳にしますが、それは避けて頂きたいところです。

内定辞退

複数内定が出た場合には避けられない話です。新卒採用でも中途採用でもこの決断をされる機会は多々あるでしょう。避けられないこと故に、真摯に対応したいところです。

企業はフィードバックが欲しい

候補者からの声として、いわゆる選考に落ちた際の「お祈りメール」が要らないという声があります。「熟考の結果、今回は採用をお見送りさせて頂くこととなりました。○○様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。」というものです。情報がまるでないので今後の改善のしようがないという点で候補者からは不評です。個人的にはそのようなメールが来た場合、深掘りして食い下がるようにし、次回の他社に活かすようにしています。

逆に候補者による内定辞退(選考辞退も含む)もインターネットに転がっている定型文が送られてくることがあります。これも同様に企業側に何も学ぶものがなく、非常に辛いです。企業側としては下記のような情報を欲しいと思っています。

  • どこに行くのか

  • 自社との差は何なのか

    • 待遇?

    • 業務内容?

    • 選考過程に不備があった?

    • 何か悪い風評を聞いた?

  • 交渉の余地はあるのか

ある程度選考が進み、関係性ができたところでの辞退であれば、是非企業側に残して上げて欲しいポイントです。

内定承諾後辞退

企業側からすると精神的に厳しいのが、内定承諾をされた後に辞退されるパターンです。中途でも稀に遭遇しますが、新卒ではより5名に1名くらいの割合で起きる印象です。就職活動の方向性を変えたい、大学院に進学したい、実は内定を持っていた他社に行きたいなどいくつかのものがあります。

中途採用の場合、第二新卒を除くと何かしらのスキルレベルに対して給与を決定し、内定を出すというジョブ型的な採用が行われます。しかし在学中から既に現役社員と机を並べて働いているようなごく一部のITエンジニア新卒を除くと事情は変わってきます。

新卒一括採用としての側面

一つは新卒一括採用としての側面です。多くの企業において新卒採用と中途採用は予算が分かれています。入社時期やスキルセットが異なる中途とは違い、新卒一括採用ではある程度まとまった計算と予算取りを行います。計上された費用に対し、採用できた人数で割る「一人あたり採用単価」が揺らぐため、人事に動揺が走りやすいです。

予算に出てきにくい工数の側面

もう一つは工数の側面です。多くの新卒採用において「自身は何をやっていきたいのか」といういわゆる「就活の軸」を探すところから始まります。その軸が自社に合っているのかどうか、多くの採用担当者は候補者と膝をつき合わせながら面談をし、軸を一緒に探したり、軸の整理をしていきます。

面談に立つのは人事採用担当だったり、エンジニアリングマネージャーだったり、現場のエンジニアが面談に立ったりするわけですが、この工数の見積がかなりかかりやすいのが新卒採用です。内定承諾後辞退が発生すると、選考フローでこのような自体を回避できなかったのかという反省会になりやすいです。結果、「業務をしていた方が良かったのでは」となりやすく、工数を掛けすぎると社員のエンゲージメントに影響するようなやりとりをすることもあります。新卒採用で波乱になりやすいイベントが内定承諾後辞退です。そういう事情もあることを、頭の片隅に置いておいて頂けるといくらか救われます。どうしても辞退しなければならない場合、こうした面談に関わった人たちにお礼の言葉を頂けるといくらか救われます。

これだけは覚えておいて欲しいこと

内定辞退、内定承諾後辞退をするにあたり、覚えておいて頂きたいことを記載しておきます。

世間は狭いので変な不義理は避けるべき

私自身、2000年からIT業界をうろうろとしていますが、驚くほどIT業界というのは世間が狭いです。発注先や受注元に当時の面接官が居たり、何かしらのイベントで面接官にお会いすることもあります。内定承諾後辞退をした方とサシでご飯を食べたことも有りました。今後のことを考えると変な不義理は避けるべきです。特に将来的に独立したり、SES、SIerやコンサルとしてのクライアントワークに関わるケースだと、非常に気まずい取引現場に遭遇する可能性はあります。

選択した先の正しさは分からず、自己責任

基本的に現在のキャリアはどこまで行っても自己責任です。過去に内定承諾御辞退した方からコンタクトがあり、面談したことがありますが、「マーケティングを学ぶ決意をし、こちらを辞退して門戸を叩いたところマルチまがい商法だった。入ってから気づいた。」ということもありました。よく調べてよく考えてくださいということくらいしかできませんが、そういうこともあります。ご注意ください。

執筆の励みになりますので、記事を気に入って頂けましたらAmazonウィッシュリストをクリックして頂ければ幸いです。


頂いたサポートは執筆・業務を支えるガジェット類に昇華されます!