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大企業←→ベンチャー・中小企業転職におけるアンチパターン

ここのところミドル(50代)のベンチャーへの転職が話題となっています。私自身、ベンチャーばかり50-100名(上場)、1,000名(非上場)、200名と3社変遷してきました。会社側が年齢上限設けていない時はフラットに採用イベント、面談、面接お会いしているので色々と思うところがあります。うまくやっている人もいる一方で、うまくいかないケースもあります。今回は後者のアンチパターンに関するお話です。

ミドルの大企業→ベンチャー転職を巡る議論

まずは黒田真行さん。黒田さんの著書は前職で人材紹介業の教育をしていた際も推薦図書にしていました。特に以前にも紹介したこの2冊はお勧めです。

ミドルの転職にも多く寄り添ってこられた黒田さんのコメントがこちら。

2社、3社と続くというのが含蓄が深いのですが、キャリアの途中にある大手企業の威光を元にある程度は内定が出ることもあり、段々社格を落としながら点々とされる方が居られます。元気な方は途中で起業されるケースもあります。

士業から転職も例外ではありません。野瀬さんのお話がこちら。

続いて50代のリストラが深刻化しているというお話がこちら。

冒頭の45歳定年説は本コンテンツでもお話しましたが、より現実的な足音となって聞こえてきているようです。

大企業>>>ベンチャーという謎ヒエラルキー

せみやしんさんの考察はかなりあります。是非スレッドをご覧下さい。大手有名企業からベンチャーに面接に来られる方は何故だが自信満々です。

しかし入社後に見聞されるのはパフォーマンス問題です。どうしてそのようなことになってしまうのかいくつかお話していきます。

【うまくいかない背景】企業フェーズ・社格の互換性と守備範囲/パーツとASSY

大企業とベンチャーで求められる差をお話する際、私は「パーツとASSY」に例えています。ASSYとはAssemblyの略で、パーツの集合体となります。車やバソコンなどで故障が発生した場合、故障したパーツだけでなくひとまとまりとなったASSYごと交換するのが一般的です。

「組織の歯車」などという表現がありますが、歯車だけやれば良いのは大企業だけです。ベンチャーの場合はメンバー層のみです。ベンチャーは仕組みもなく、人も居ないので任せられた歯車としての仕事だけでなく、その周辺の業務も引き受けなければならなくなります。

この状況は上場直前になって変わりやすいです。単一人物が幅広い業務を担っていることは監査上リスクになるので分散され、ASSYは非推奨となります。

反対にベンチャーから大手企業に行くと今度はパーツとしての精度が求められます。この精度が出なかったり、守備範囲の狭さに食傷してベンチャーに戻る人も少なくありません。

【うまくいかない背景】期待値とハロー効果

これは年齢問わず起きる話なのですが、ベンチャーに招き入れられる理由として、背負ってきた看板の大きさというものがあります。前職のハロー効果です。

前職に関するハロー効果が内定に与える影響は非常に大きいものです。元GAFA、元メガベンチャーのようなものはITエンジニアではよく発生します。CXOなどだったりすると企業サイズを小さくしながらの天下り現象もよく見られます。受け入れるベンチャー企業のなりたい企業像や開発チーム像と、当該候補者の出身企業が一致していると決まりやすいです。

しかし前項のように企業フェーズが異なったり、企業体力が異なったり、部下の数や優秀さが異なったりすると期待値と異なったりします。

当然ITエンジニア以外でもこの現象はあり、H社に代表される営業職、大手ゲーム会社などの企画職などもハロー効果がよく見られるポイントです。

少なくとも身のなりふりを決めてから辞める宣言をするべき

ベンチャーで活躍できるミドルは居なくはないのですが闇雲にお勧めはしかねます。企業数は多いものの、これまでお話してきたように企業サイズが小さいからと言って楽だったり、大手企業に居たときの手法が通用するわけではありません。

しかしそれ以上に次のキャリアを決める前に希望退職に応募してしまうのは厳しい傾向にあります。思ったように決められないことで変な妥協や虚勢を張りやすくなり、冒頭のような露頭に迷いやすいものです。よく見かけます。お気をつけ下さい。

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