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アホな料理しかできない

洗い物は好きだが、料理をするのが億劫になってしまった。
新入社員の頃、数ヵ月だけ一人暮らしをすることがあって、そのときは毎週何かしら料理をしていた。
ラジオを聴きながらひたすら野菜を切って作り置きの料理を作ったり、皮をむかなくてよいナスとピーマンを愛用して、いろいろな肉野菜料理を作ったり、こまめにごはんを焚いて冷凍ごはんをストックしたり、誕生日にはパスタを茹でて合いそうな白ワインを用意したり、時には冷凍食品を活用して簡単などんぶり飯を作ったり、はじめての一人暮らし、はじめての自炊というクオリティではあるが、一人だからこそ料理を楽しんでいた。
ところが今は、仕事場の関係上実家へ戻っているため、とことん料理をしなくなってしまった。たまに料理をしたくなるときもあり、それなら料理をすればいいのにやらないのは、実家という環境に甘えているせいか、母が管理する台所に足を踏み入れるのが忍びないのか、料理している姿とそのごはんを家族(とりわけ両親)に見られるのが嫌なのか。

そんなこんなでウダウダと休日を過ごしているうちに、いろいろなタイミングが重なり、ついに今日、夕飯のおかずを作った。
少し油が多く、味が濃いめになったが、ごはんのお供になった。我ながら、自分を褒めてあげたい気持ちになる味だった。
というのも、たったの一品(10分ちょっと)作るまでに、とてつもなくしょうもないミスを重ね、一度は料理をする気を削いでいたからだ。

まず、作った料理は「ズッキーニとウィンナーのガーリックマヨソテー」というものだ。
だが本当は、「ナスの味噌バター」を作ろうと思っていた。めちゃくちゃ違う。
料理をしてみようと思った私は、わざわざ買い物しに出かけたくなかったので(その心意気はなかった)、冷蔵庫の中身を確認し、半透明の袋に入ったナス2本を見つけた。
「そういえば、仕事の関係ででっかいナスをもらったんだった」と思い出した私は、袋のシルエットからナスだと判断し、上述の味噌バターを作ろうと決めた。作る料理が決まれば、こちらのペースになるもので、とりあえず今ハマっているバチェロレッテの続きを観る。
キリがいいので、腰を上げて台所に立ち、野菜室からナスを取り出す。

そこで、ナスではなくズッキーニだったことに気付く。色がナスっぽいけどナスじゃない。これズッキーニだ。え~~~~~~~~~・・・
ここで私は料理のやる気を一旦削がれた。ちゃんと袋の中身まで確認しなよ・・・という声が聞こえてきたが、確認したとてナスを買いに出かけたかと問われると答えはノーだったろう。
もう、料理はできない・・・・・・お茶漬けにキムチ入れちゃお・・・・・・と意気消沈した私だったが、その様子を見て、笑いながらも「ズッキーニで何か作ればいいじゃないか」という父の言葉を素直に受け止め、レシピを調べ直し、「ズッキーニとウィンナーのガーリックマヨソテー」という名前からして和えきれずに単独で味わうことになりそうな料理を選んで、たったの10分で作り上げたのだった。

早すぎる。いや、完成までが長すぎる。というか、アホだ・・・・・・
だが、必要だったオリーブオイルがないことに途中で気づいてごま油に替えたり、必要なきざみにんにくの代替でにんにくチューブでもなくガーリックオイルを使ったたり、気転を利かすことは出来るのだ(これは果たして評価されるエピソードなのか)。

そういえば、小学校4年生のときの家庭科の授業で、コンロの脇にあったボトル(お好み焼き屋さんの鉄板サイドに並んでるマヨネーズのようなもの)を見て油だと思った私は、それをフライパンに入れて火にかけた。そのあとすぐにそのボトルが液体洗剤だったことが発覚し、フライパンを洗うことになったのだが、見た目で判断して中身が何かを検証しないあたり、全く成長していないのだなと思った。アホすぎる。

このままアホではいられないので、またタイミングを伺って料理をしてみようと、今の時点では思っている。

(ヘッダーは、長時間フライトの後でやっと着いたホテルにて、持参したインスタントのミネストローネがめちゃくちゃ美味しかったという写真)