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仕事ができる気になる映画~映画『AIR/エア』感想(ネタバレあり)~

(以下、映画『AIR/エア』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレがあります。ご注意ください。)


『AIR/エア』を見た。配信で字幕版である。
基本的に会議をしたり、商談をしたり、電話をかけたりするだけの映画なのだが、非情にテンポよく物語がまとめられていて、飽きずに見ることができる。特にクライマックスのマイケル・ジョーダンとナイキの交渉のシーンでは、新聞記事などのモンタージュを巧みに入れることによって、感動的でドラマチックな場面を生み出すことに成功しており、演出の上手さにうならされた。

今作の大きな特徴として、現実世界の有名な商品(及びそれにまつわる話)を題材にしているため、最終的にどのような結末を迎えるのかを、多くの観客が鑑賞前に分かった状態でいるということがあげられると思う。
そして、この「わかっている」状態でいることが非常に重要なことで、だからこそ、マット・デイモンが最初にマイケル・ジョーダンの凄さに気づくシーンや、スニーカーが形づくられていく様、先ほど述べたジョーダンとの商談(意図せず韻を踏んだ)の様子に、「来たー!」とワクワクしたり、「歴史の裏側ではこんなことがあったんだ。」と感心できたりするわけである。
さらに、我々観客はマイケル・ジョーダンが偉大なバスケット・ボール選手になることを知っているわけで、その意味では、映画の中でジョーダンの才能の凄さをただ一人わかっている、マット・デイモンと同じ状態で映画を楽めるのだ。

現実の世界では、マイケル・ジョーダンのマの字も知らないその他大勢の一人ではあっても、映画を見ている時には、審美眼が確かな優秀なナイキ社員になったつもりで過ごせる。
今作を鑑賞するうえでの醍醐味のひとつだと思う。


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