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フィルムを始めて良かったこと/#200

写真を始めた頃、何となく知っていたフィルムという存在。当時は良さそう、面白そうと思っていたけれど敷居の高さを感じていました。その理由のひとつが写真を直ぐに確認できないこと。けれどフィルムで写真を撮る人の多くが揃えて口にするのは「直ぐに確認できない所が良い」ということ。言葉の意味が理解できなかったのを今でも思い出す。

きっと同じような心境の人は多いと思っている。写真を撮る時は写っているかどうか不安になるものです。だからこそその場で直ぐ確認したいし出来れば撮り直しもしたい。だからこそ、その場で確認できることの価値はずっと高い。今でもそう感じています。

けれどフィルムで写真を撮る側になった今、「フィルムの良さは?」と問われた時に「直ぐに確認できないこと」と答えている。写真は見返すことで価値が膨れる。その場で確認する以上に時間を空けてから写真と向き合う時間が強制的に確保されているのがフィルム。写真は振り返ることで、その思い出に彩りが生まれる。薄らしていた記憶がパッと鮮明になるイメージです。だからこそ撮ることの意味や残すことの価値に気づけたと言える。

フィルムを始めて良かったことは、大切なものに気づけたこと。自分自身の価値観や大切にしているものや人を再認識できた。それはフィルムという限られた枚数でしか撮れないかつ、その場で確認できない不便さから生まれたもの。デジタルに比べると1枚にかける思いや時間はグッと深いもの。ワンシャッターの重さがあるとも言える。デジタルでも同じように向き合えるかもしれない、けれど物理的にそれができないフィルムは強制的に向き合うしかなくなるのだ。

フィルムで撮り続けることで写真を振り返る。その中で見えてくる共通点。それがあなたの軸となるものだ。僕の場合は「なにげない日常」であり、なんとなく過ごしている日常に感謝している。だからこそフィルムというもので撮りたいと思える対象が日常だったのだ。フィルムを始めたからこそ気づけた視点。これは一人一人違っている。だからこそフィルムで撮った時にあなたに見える世界を知って欲しい。そこにはあなたが大切にしている思いや考えがきっと現れます。それが人生の価値観を変えることだってある。興味があれば直ぐにでもフィルムで撮り始めて欲しい、今の自分が最も若いのだから。


 SUBARU(マカベ スバル)
鳥取県在住 / なにげない日常をテーマに写真を撮っている / 出張撮影 / 写真イベント企画  / 鳥取のPR活動も行なっている。
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