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フィルムの良さを改めて考える/#114

フィルム写真はその柔らかな描写と色味が魅力的ですね。最近では雑誌や広告でも多く目にします。更にアプリで簡単にフィルム風の加工が施せるため親しみのある方も多いのではないでしょうか?そんなフィルム写真の良さについて改めて考えてみましょう。

曖昧な描写に想像の余白が生まれる

フィルム写真は独特のザラつきがあり解像度はそこまで高くありません。今の時代はスマホやカメラの解像度がとても高く写り込む全てが鮮明に記録されています。両者を比較すると良さそうなのは後者なのに惹かれるのは前者ですよね。それは一体なぜなんでしょうか。フィルムの曖昧な描写を好む人が多い理由。

それは限りなく記憶に近いからです。思い出すときパッと全てを鮮明に覚えている人は稀だと思います。どちらかと言えば断片的に覚えていたり、全体の何割かをぼんやりと覚えているものです。更に曖昧だからこそ他にあった出来事や思い出が引っ張り出されるように思い浮かびます。そんな余白すらあります。写真は撮って完成ではありません。撮った写真を見返して思い出すことで始めて写真になります。

フィルムで撮る行為が思い出を深くする

フィルムはアナログであるため写真を撮るまでに時間がかかります。スマホやデジカメはパッと構えてピピっと合わせてカシャっと撮れますよね。しかしフィルムカメラはフィルムを巻いて、絞りを決めて、シャッター速度を決めて、ピントを合わせて、やっと撮れる。どうしても写真を撮る時のスピード感は損なわれてしまいます。さらにその場では確認できないため現像するまでどんな風に撮れたか分からないのです。

フィルムで撮る時は必然的にシャッター回数が減ります。その代わり撮る時の集中力が高まります。どんな被写体なのか、どこに魅力を感じたのか、それを表現するためにどう撮るべきか。そうしてやっと写真が撮れる。そこから現像して写真が形になるまで時間がかかります。この時間が熟成期間としてワクワクが思い出に彩りを与えてくれる。フィルムは撮ってから写真が形になるまで一連の流れが思い出を深くしてくれると言えます。

写真の醍醐味を味わうならフィルムがオススメ

フィルム風はあくまでも写真の見た目も模したもの。フィルムで撮るときに得られる体験までは再現できない。撮って、その写真を発信して、みてもらう。その一連の流れを密度高く味わえるのがフィルム写真。難しいと敬遠されがちですが実は写真が上達する要素がたっぷり詰まっています。

以上、フィルムの良さを改めて考えてみました。これをキッカケにフィルムに興味をもっていただけると幸いです。


 SUBARU(マカベ スバル)
鳥取県在住 / なにげない日常をテーマに写真を撮っている / 出張撮影 / 写真イベント企画  / 鳥取のPR活動も行なっている。
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