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家族を撮るということ/#020
フィルムカメラを始めた頃にさかのぼる。
当時、デジタル一眼レフを購入し来る日も来る日も出かけては写真を撮りワクワクしていた。
いつも通りSNSを開きスクロールする、1秒も経たないうちに写真が流れていく。
目に止まった写真に反応したり保存をする。そんなある日に1枚の写真に引き込まれた。今までとは比べ物にならないほど胸の奥がキュウっと引き締まる。
それは家族で過ごす日常を捉えた写真。
どこにでもありそうな瞬間だけど、温もりがあって自然と口角が上がる。
今まで見てきた煌びやかで綺麗で美しい世界とは違った写真、ピントが甘くて、傾いていて、ザラついて不明瞭。
だけどスッと伝わるものがそこに写っていた。
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調べてみるとそれはフィルムカメラで撮られた写真らしい。それがフィルムの世界と出会ったキッカケだ。それからフィルムカメラを手にするまで時間はかからなかった。ピントも露出もマニュアル、ISOを変えられない、36枚しか撮れない。不便だと感じるフィルムカメラであった。けれど、いざ撮るとなると何を撮れば良いのか分からずなかなか撮れない。
1枚の写真を撮るのに物理的な時間がかかる。それがフィルム。けれどそれが1枚に対して向き合う時間を作り出してくれる。今思い返すとそれが一番の魅力であり大切なことに気づくキッカケでもあった。
悩んでいるときに最初に出会った写真が頭をよぎった。自分がフィルムを始めようと思った家族を撮った写真。
そうだ、家族を撮ろう。
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そこから家族を撮るようになった。なぜか家族を撮るときはフィルムカメラを手にする。フィルムの質感が家族とマッチしていて心地よいのだろう。改めて面と向かって喋ったり写真を撮るとなれば急に気恥ずかしくなる。お互いたどたどしくて、その姿を見て余計に恥ずかしくなる。最初こそは皆んな乗り気ではなく撮られることに抵抗を示していた。
そんな家族にプリントした写真を見せたとき、家の中が明るく感じるほど家族の表情が豊かになるのを感じた。撮りときは嫌がっていたのに写真を手に取るなり自分から話し出していた。「このときはこうだった、あのときはどうだった」など次から次へと写真からエピソードが湧き出る。まるで泉のうに煌びやかに見えた。
写真のもつ力を身をもって体感した出来事で今でも忘れない。それからというものの、何の気なく家族を写真に納めている。そこに写るものは間違いなく自分が愛している人たちだから。
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SUBARU(マカベ スバル)
鳥取県在住 / なにげない日常をテーマに写真を撮っている / 出張撮影 / 写真イベント企画 / 鳥取のPR活動も行なっている。
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