宮古島日記10:導かれたように外の世界で友達ができる

私のアパートは飲み屋街や観光客がよく来る西里という繁華街と近いところにある。
内地から移住した人たちがカフェやレストランをたくさんオープンさせているのだが、その中の1つに、関西からきた移住夫婦が開いた食堂がある。


会社からの帰り道、いつもなんとなーく看板が気になっていた。
Googleのレビューで神戸出身のご夫婦が営んでいると書いてあり、同じ地元民で興味が湧いたと同時に、なんとなく、ここに行くといいことがありそうな予感がしていた。
早速、ある休みの日にランチに行ってみた。
そう、私は職場で、若者たちに圧倒され、リーダーには嫌われ罵倒され、友達がいない中で何とか生きようとしていた時だった。


お店の店内はアジアンテイストな雑貨や、南国風な雑貨が並べてある
なんとなく食べようと決めていた、宮古そばを使ったそばめし定食を注文する。
そばめしは、焼きそばとご飯をミックスした食べ物で、神戸の長田区では定番のソウルフードだ。
これまた地元では定番の、ちょっぴりピリ辛などろソースを使ったそばめしを食べると、普段はなんとも感じない神戸の地元が懐かしく感じられる。


味は、宮古そばがそばよりもしっかりとした固さと太さのある麺なので、ボリュームがあり、すぐにペロリと平らげてしまった。

おかんとお父さんはとても気さくで、気軽に私に色々と話しかけてくれた。
ちなみに他のお客さんにも気さくに話していた。
普段人見知りな私も、こういう会話は嫌いじゃない。

自分も神戸からきたと伝えると、神戸のどこ?という話になり、なんとご夫婦と地元がとても近いことがわかった。
神戸からとても離れた宮古島で、地元が近い人と出会えるなんて・・!
なんだかここに来るといいことがある、という直感が当たった気がした。

食後、お父さんがおもむろに観光の雑誌を持ち出し、張水御嶽に行くといいよ、と勧めてくれた。
御嶽とは、内地でいう神社みたいな場所。
いや、神社よりも神聖な場所で、お祭り以外の特別な行事がない限り、入ってはいけない場所が多い。
しかも男子禁制らしい。

ただ、張水御嶽は宮古島でも数少ない、誰でも自由に入ることができる御嶽。
宮古島に来た者はここで神様に挨拶をし、また出ていく時も神様に挨拶をするのだそうだ。
お父さんがなぜ御嶽を勧めてきたのか不思議な感じもしたが、なんとなく神聖な場所に行った方がいいような気もしたので、ランチの後、神様に挨拶に伺った。


張水御嶽は飲食店を過ぎた路地に入るとすぐに立派な鳥居が出てくる。
その奥にはキャバクラが見えるのがなんともカオスだ。

遅ればせながら神様に挨拶をし、木をなんとなくさすっていたら、雨。
足早に退散したけれど、お父さんが私が何も伝えていないのに、御嶽を勧めてきたのは、偶然とも言えるし、なんだかお父さんを通じて神様に挨拶するよう、必然的に誘導されたようにも思える。

いずれにせよ、会社の軍隊のような環境に息苦しさを感じていた私にとって外の世界の知り合いができたことはとても刺激的だった。


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