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宮古島日記9:宮古島でいくえみ綾の漫画に再会する

宮古島で行きつけのカフェができた。

このカフェは店主の趣味でいつもレゲエが流れていて、真夏に合う。レゲエなんて特に普段聞かないけれど、真夏になるとなぜかレゲエを聴きたくなる。
そして若者のみならず、地元のおじーやおばあもここで井戸端会議をしていたりするのが面白い。

このカフェには本棚があり、その中に私好みの漫画がいくつか置いてある。ジョージ朝倉や東村アキコ、旅行の本など文化系の人が好きそうなジャンルの中に、いくえみ綾の漫画が置いてあった。

いくえみ綾・・懐かしいなぁ。

高校生の頃、いくえみ綾の漫画にハマり、よく集めていた。特別に絵が上手いわけでもないんだけど、あの独特の空気感と、セリフの行間、作者の言葉選びに惹かれた。
不満と劣等感だらけの10代に突き刺さり、何度も読み返して共感したものだ。

大体の作品の主人公は、いわゆる、学生時代のクラスで言う、”主流の人たち”、周りから一目置かれる存在だったりするんだけど、周りに合わせているふりをしていて、実は浮いていたりするのがたまらない。
妙に人に対して冷めていたり。劣等感が強かったり。愛された経験がなかったり。自分に当てはまるものが多くある。

大人になっていつの間にか漫画を読まなくなり、集めていたいくえみ綾作品はほとんど売ってしまった。惜しいことをしたと思っている。

このカフェで出会った漫画は「あなたのことはそれほど」。
既婚の主人公が小学校時代の初恋の男に偶然再会し、そこから不倫に陥るストーリー。過去にドラマ化もしていたそうだが全く見ていなかった。

10年ぶりくらいのいくえみ綾はやっぱり独特の空気感で、大きな展開はない。でもやっぱり登場人物たちの不安や寂しさ、わがままな本音が言葉に溢れていて共感を覚える。この心地よさって何なんだろう。。

特別な夢物語や叶いそうにない恋愛漫画より、残酷なほど辛い日常。日常を切り取って、突き刺さる言葉で表現できるのは本当にいくえみ漫画以外見たことがない。

カフェで続きを読みたくて、この間行ってみたら、コロナの感染拡大の関係で今は残念ながらテイクアウトのみになってしまった。とても残念。

ここを去る前に、またあの至福の時間を味わいたい。






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