「結婚」という都市における少子化のボトルネック
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「結婚」という都市における少子化のボトルネック

今回も都市経営プロスク読書部のテーマ「人口と財政」ということで、以下の記事の続きです。

今月は課題図書として「人口減少×デザイン」を読み解きながら、川崎市における少子化のポイントを考えていきたいと思います。

「結婚」は少子化の最大要因

さて本書によれば日本の人口減少の要因として、①既婚率の低下②夫婦あたりの出生数の減少③若年女性の絶対数の減少、この3つが挙げられています。

詳細は本をお読みいただくとして割愛しますが、このうち②の「夫婦あたりの出生数の減少」については、2015年でも夫婦の最終的な平均出生数(完結出生児数)は1.94人であり、実は意外と少子化への影響は限定的です。③についても、川崎市においては特に若年層の流入が多く、むしろ地方部からも吸い上げている側であると言えます。

つまり、川崎市のような都市における少子化のボトルネックは、①の「既婚率の低下」ということになります。

一方で、18歳~34歳の未婚者に対する調査では、およそ9割弱に結婚希望があるという結果も見受けられるなど、概ね「結婚したくないわけではない」という当事者の意向も見えてきます。

また、日本は婚外子の割合が非常に少ないという面も見られます。以下の記事に婚外子率と合計特殊出生率の相関関係をグラフにした図がありましたので、リンクを張っておきます。この図を見れば婚外子率が高いほど合計特殊出生率も上がっていく傾向にあるということが分かるかと思います。

このようにして見ると、少子化問題の本丸は、「結婚したいけどしない(できない)若者」と「結婚しないと子どもを産めない社会環境」にあると考えられます。

若年層の男女に降りかかる結婚のジェンダーギャップ

さきほどの内閣府報告書の再掲になりますが、「独身でいる理由」の調査結果では、「適当な相手に巡りあわない」というのが男女ともに50%程度で選択されている1位の理由になります。

私自身は26歳で結婚し現在32歳ですが、周囲も見ていると、この理由にはやや言葉にならない違和感も。「では若い男女のお見合い支援をしましょう!」で効果があるとはどうもイマイチ思えないのです。非常に規模の小さな自治体なら違うのかもしれませんが・・・。

「適当な相手に巡りあわない」というのは理由としては漠然としすぎていて、深いところにある本音の部分が表に出てきていないように感じます。

一方でリアリティを感じるのは「結婚資金が足りない」という項目で、男性が29.1%に対し、女性が17.8%と男女間で大きな差が出ています。

さらに同報告書を下にスクロールしていくと、「男性の従業上の地位・雇用形態別有配偶率」や「男性の年収別有配偶率」の図がありますが、正規従業員であったり年収が多いほど、男性は結婚率が高いことが分かります。

ここに女性の年収と生涯未婚率も合わせて考えてみたらどうなるでしょうか。そんな図が下記の記事にありましたので、リンクを張っておきます。

ここではずばり「年収300万円以下男性」と「年収500万以上女性」の生涯未婚率が高くなるということが見えてきます。(ちなみに記事中ではその両者のマッチングはナンセンスだとも触れられています。)

つまり、女性側が仕事と家庭の天秤という「選択を迫られる」ジェンダーギャップに苦しんでいる最中、男性側では家計の軸にならなければいけないという「選択することができない」ジェンダーギャップに苦しんでいる、といった社会の様相も浮き彫りになっています。

必要なのは社会の寛容さと生産性向上による所得増

さてこういった課題を踏まえてみたとき、例えば大きな政府支出を投入している保育園は"少子化対策として"有効と言えるでしょうか?

私自身も当事者世代なので言わずもがな"子育て支援"としては必須ですし、特に婚外子を持つ親などひとり親家庭への支援としても重要です。ただし、「保育園があるから結婚しなくても子どもを産もう」となるとまでは考えにくいですし、また結婚を促進するかと言うとそうではないでしょうから、保育園は少子化対策の切札とはまた違うのかもしれません。

一方で公共交通機関でのベビーカー問題など、日本が子育てに厳しい風土であるとはよく言われることでもあります。また、私自身ひとり親家庭で育っていますが、その点に関して社会の目がそれほど暖かいとは思えませんでしたし、まして婚外子を持つ母親に対する目線はいかがなものでしょうか。

また、公務員は概ね30歳くらいまで新卒採用枠となることもあり、元々バンドマンなどをやっていて夢を追いかけていたという同僚がチラホラいますが、「結婚するために」夢を諦めて公務員になったという男性の話も時折耳にします。

働き方改革も少しずつ進んできており、男性の育休取得なども以前に比べてしやすくなっているとはいえ、公民を問わず社会全体がより寛容さにあふれていかないと状況は大きく変わらないのかな、とも感じます。

もちろんあまり気持ちの問題ばかりにフォーカスしても解決しようがありません。現実的には都市の生産性を向上させて働き方改革を進めつつ若い男女の所得を増やし、またそれによる税収を子育て支援に投入することで、結婚と出産に向けたハードルを下げていかなければならないでしょう。

生産性向上の観点からすれば、現在のコロナ禍で進む公民を問わないDXの流れは逃せません。根強いデジタル化への抵抗感に忖度しない様々な習慣の改善が必要ですし、それを成し遂げ生産性を向上させるための二度と来ないチャンスではないでしょうか。

ただ、最後に改めて一つ言えば、都市の競争力を向上させるという観点からは「”結婚後”の子育てのしやすいまち」といったものを目指すような施策も当然重要でありつつも、あくまでも少子化対策としては「”結婚前”の状態にある人びとへのインパクト」がより重要である、とも考えられます。

やや「子育て支援」と「少子化対策」が混同されがちにも感じますが、それぞれ必要な打ち手が(重なっていることもあれど)微妙に異なっていることはしっかり認識した方がよさそうです。

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平成元年生まれ。生まれると同時にバブルが弾け、就職活動時はリーマンショックが来襲。趣味は哲学の本を読むこと、バンド(ba)、DJ(未経験)。都市経営プロスク公民連携課程5期生。妻と猫と暮らす行政マンです。