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優しい人に、人はついてゆく
このところ、フォロワーさんが突然、増えたのは本当にありがたくて、にも関わらず、鬱の波がまた来ていた。ちょっと、頑張りすぎてまたメンタルがドンと落ちたのだ。
それで、せっかく近所の整体の、空き時間にほぼフルコースで予約を入れていたたのに、その時刻まで部屋で半眠りで倒れていた。目を、覚ますと予約1分前だった。スヌーピーが、「すみません」とうなだれているスタンプを打ち、LINEをしたけれどもお返事はなく、結局通話を思い切ってしたら、整体のお姉さんの心配そうな声がした。
「だいじょうぶですか?」
「ごめんなさい!急に、体調を崩して部屋で寝てました。15分くらい遅れますけど、まだ空き時間残っていれば、足つぼマッサージだけでもお願いします」
「いえ、いいんです」
「?」
「立ち上がれないくらい、具合が悪いときはゆっくりしているのが一番ですよ。またのおいでをお待ちしています」
LINE通話はそこで切れて、私はスマホを握りしめてありがとう、ありがとうとつぶやいてちょっと涙ぐんでいた。
昔の偉い人は、「お客様は神さまです」と言った。それは、現代つまり、大企業が同じような店をいっぱいつくって、そして機械で接客をさせる時代には、もうそぐわない言葉になった。でも、たぶんこの辺りの、個人商店が並ぶ商店街ではこの言葉はまだ力を持っている。
私は、実際メンタルがまだ回復途上なので、こういう大事な約束が守りづらい。それで、行けなくなったお店もあるし、こういう厄介な客に対してペナルティの意味で、例えば二日前の予約キャンセルは50%、前日の予約キャンセルは75%、当日キャンセルは100%の支払いをお願いします、というお店もだんだん増えている。それは当然のことで、どうしようもない。普段は、なるべく明日の予約に合わせて、他の予定を入れないようにしたり、ゆったり部屋で休んだり、当日はがんがん頭痛がしていても、頑張って美容院の椅子でしかめっ面をして座っていたりもする。でも、それは結構つらいししんどい。
もちろん、この優しいお姉さんも、商売なので案配を見計らっているのは確かにあるだろう。この店はまだ、固定客がそんなにはついていない。その中で、私はこれまでドタキャンをしたのはこれが初めてで、しかも開店以来、かなり細い長い客になっている。だから、というのはあると思う。
でも、私は他よりもちょっと割高のこのお店の整体だけに、もうしぼって行くことにした。何よりも、ここの店は窓が明るくって、整体の手があたたかくて変な感触がしない。お姉さんが、私の体を心配していてくれるのが、いつも伝わって来るのだ。そしてインテリアがとてもお洒落に統一してある。
優しい人に、人はついてゆく。
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