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『ホシノマチ暮らし』という移住者の暮らしがのぞけるサイトがオープンしたので"地方移住"について改めて考えてみた

2021年8月25日(水)に移住者の暮らしをのぞけるサイト『ホシノマチ暮らし』というサイトをオープンしました。

◯今回お話しすること
・サイトを作ろうと思った経緯
・ターゲットと潜在移住者層の話
・改めて考える『移住とは一体何なのか』

はじめに、私は何者?

私の自己紹介はまた別の記事で詳しく書こうと思っているので、この記事では簡単に自己紹介をさせていただきます。

私は『ホシノマチ団地』というところに2021年6月に東京から単身移住した人です。
1990年生まれの30歳です。

普段は個人事業主でWebエンジニアという仕事をしています。
個人事業主になって以降、仕事が完全リモートワークになったので、家やホテルに引きこもりながら仕事をしていたのですが、人と接することが全くなくなってしまった事に危機感を覚え、住民同士のコミュニティがつくれそうな『ホシノマチ団地』に移住してきました。

移住決断当時は、ただなんとなく勢いで移住を決めてしまったと思っていたのですが、いま思い返すと『ホシノマチ団地』のコンセプトである『多世代が暮らすコミュニティ団地』というところに惹かれたのが移住を決めたきっかけだったのかもしれません。

ホシノマチ団地とは?

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長野県佐久市の臼田地区という場所にある団地です。
佐久市という地名はあまり聞き慣れないかと思いますが、軽井沢の隣の都市といえば「ああ、あの辺ね」と、なんとなく場所の想像もできるのではないでしょうか。

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ホシノマチ団地はもともと市営の団地でしたが、部屋を一部リフォームしてシェアオフィスを併設した移住者向け団地として生まれ変わりました。
移住者向けなので、佐久市内にもともと住んでいる人は入居できません。
加えて、団地という名前ではありますが"年収◯◯◯万円以内"などの所得制限もありません。

2021年3月にオープンしたホシノマチ団地でしたが、実は入居者が思うように集まらず、存続の危機にあります。
しかし、万が一ホシノマチ団地が無くなってしまったとしても、団地が突然取り壊されるとかではないので、入居日から最低1年間は住めることになっています。
住まいを転々と変えるアドレスホッパーな住民が多いせいか、現在住んでいる住民達はそれをあまりリスクと捉える人が少なく、みんな"のほほん"と暮らしているそんな場所です。

◯ホシノマチ団地公式サイト
https://hoshinomachi.jp/

なぜ『ホシノマチ暮らし』をつくったのか

ホシノマチ暮らし』というサイトをつくろうと思ったきっかけはいくつかあるのですが、一番は移住の"リアルな暮らし"を発信したかったためです。

なぜ移住のリアルな暮らしを発信したかったのかというと、移住生活を発信することで、まだ本格的に移住を考えていない人でも移住後の生活がイメージしやすくなると思ったからです。

近年は、地方移住が盛り上がり、様々なメディアで"地方移住"が取り上げられてはいるものの、まだまだ移住した後の生活を想像するのは難しいように思います。

仕事のこと
生活のこと
近くにコンビニはあるのか?
スーパーまではどのぐらいの距離なのか?
どんな人が住んでいるのか?
どんな活動が行われているのか?
よそ者扱いされないだろうか?
子育てしやすい環境だろうか?
保育園の空きはあるだろうか?

移住に対する不安はまだまだ山積みです。

ググっても出ない情報って地方だと特に多いんですよね。
お試し移住や現地見学をして情報を集めるという手段もあるのですが、県境をまたいでの移動もなかなか難しい時代ですし。。。

そうした状況の中、移住の情報を『ホシノマチ暮らし』というサイトを通して見える化することで、まだまだ移住が"自分ごと"になりきれていない『潜在移住者』を掘り起こすきっかけにしたいと思ったのです。

『潜在移住者』というワードはこちらの記事から引用させていただきました。
移住マッチングサービス『SMOUT』のブログ記事です。
この記事では移住のターゲットを『顕在移住者』と『潜在移住者』の二つに分けています。

『顕在移住者』は移住に"前のめり"な方が多いので、こちらからアクションを起こさなくても勝手に向こうから移住相談やお試し移住をしにきてくれる人。

一方『潜在移住者』は、移住の動機が少なく、まだ移住が"自分ごと"になっていない人を指しています。
数としては顕在移住者よりも潜在移住者の方が圧倒的に多いので、潜在移住者にアピールしていきたいのですが、移住者を受け入れる側がその層にリーチするのはなかなかに難しく、非常に大きな課題となっているのが現状です。

この『ホシノマチ暮らし』というサイトが、そうした潜在層にリーチするきっかけの一つになれば嬉しいです。

少し余談ですが...開発秘話
ホシノマチ暮らし』に掲載しているストーリーは複数枚あるスライドを紙芝居のように読み進めていく形式になっています。
ただ単に、「ホシノマチ団地ではこういう暮らしをしていますよー」とページに載せるのではなく、本を読む感覚でホシノマチ団地や佐久市の特徴を理解し、サイト閲覧者が登場人物である移住者に"没入"してもらえたらと思いそのような形式をとりました。

"ストーリーを読み終わったら自然とホシノマチ団地や佐久市のことを理解している"

というのが理想です。
ただ、ストーリーをつくるのにはかなり苦労しました。
特に『家族4人移住編』と『老後に備えて移住編』は非常に苦労しましたね。
私30代の単身者なので。。。
周りの人にアドバイスをいただきつつ、なるべく主人公になりきってストーリーはつくったつもりですが変な感じになってないでしょうか。。。

サイトが完成した後に気づいたのですが、あの実写が背景にあって文字が流れてくる仕組みは『学校であった怖い話』という1995年に発売されたゲームソフトの影響を少しだけ受けているのかもしれません。
最近『学校であった怖い話』のゲーム実況を観ていたので。
移住とは全然関係ないゲームなんですけどね。

サービスに主人公をつくると見えること

『ホシノマチ暮らし』には全く異なった属性を持った4人の移住者のストーリーが掲載されています。

4人とも架空の人物ではありますが、ホシノマチ団地のリアル住民の属性に限りなく似せた属性の人もいたりします。

このストーリーに登場する人物はホシノマチ団地の『究極のペルソナ』だと思っています。
「ホシノマチ団地にはこんな人たちに来てもらいたい」という受け入れ側のエゴではなく、「自分がもしこの人だったらホシノマチ団地に移住するよな〜」と思える人を登場人物に設定しています。

ホシノマチ団地はオープン当初、50歳以上のサービス付き高齢者向け住宅でした。
当時はターゲットが存在していたのですが、入居者の年齢制限を撤廃し、全年齢に対象を広げてからは、ホシノマチ団地には明確なペルソナ・ターゲットが無くなってしまっていました。

ペルソナ・ターゲットがない状態では入居者を増やす取り組みが進みづらいのですが、『ホシノマチ団地』という物語に主人公をつくることで、主人公にあった違和感のない取り組み、設備、コミュニティづくりなど、周りの環境も固めやすく色々と議論が進むようになります。

本当は主人公は1人居れば十分なのですが、ホシノマチ団地の特徴は"多世代が暮らすコミュニティ団地"ということで今回は属性の異なる主人公4人にさせていただきました。

地方移住決断の一番の壁は仕事??...ではないのかもしれない!!

移住相談を受けている時によく耳にするのが「仕事が見つかれば移住したい」という意見です。

終身雇用が崩壊を迎えたこと、リモートワークする人が増えたことは働く場所の概念が大きく変化するきっかけとなるように思えたのですが、いまの仕事を辞めて移住するor移住先でいまの仕事を続けるという選択はまだまだ全然一般的ではないです。

終身雇用の崩壊自体がまだ現実問題として捉えている人が少ないということと、リモートワークは一時的なものでいつかはまた出勤する日に戻る可能性があると考えてしまう人が多いためです。

そもそも移住決断の壁となっているのは本当に仕事なのでしょうか?

本当の壁は
「どんな仕事でもいいからとにかくここに移住したい!」
と思える場所を受け入れ側がつくれていないだけなのかもしれません。

地方といっても選ばなければ仕事はありますからね。

まとめ - 移住とはいったい何なのか?

『移住』することが目的な人はほとんどいないです。
『移住はやりたいことを実現する、なりたい自分になるためのただのツール』なのではないかと思っています。

あなたが自分の家族に「移住したい」という意志を伝えると、「移住先で何をやりたいの?」と聞かれるでしょう。
でも、移住前に移住先でやりたいことがガチガチに固まっている人なんて本当に少ないと思います。
「移住先でやりたいことなんてないけどなんとなく移住したい」というのが普通です。

いまの暮らしにどこか不満がある。
もっと自由になりたい。
自分を変えたい。

そんな思いを抱いた時、自分が変わるための選択肢の一つとして『移住』があるのだと思っています。

環境が変われば人は変わる。

「自分が変われるきっかけがそこにはある」と思わせることが移住者を受け入れる側の使命なのかもしれません。

少し長くなりましたが、以上のことを気にしながら、これからのホシノマチ暮らしの取り組み・方針を考えつつ、町の発展に力添えできたらなと思っています。

『ホシノマチ暮らし』はこれからも新機能や隠しストーリーを追加する予定もありますので、今後とも見守っていただければ幸いです。


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