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ぱっとみ真面目な中間管理職の私が、芸人に憧れて芸人を諦めるまでの10年間(5)

今年ディズニーランドと一緒に40歳アニバーサリーを迎える、見た目も平凡、人生も平凡、中間管理職が天職の私が、18歳から28歳まで芸人になりたくてくすぶっていた話。そして、きっぱりあきらめた話。

日常会話でボケてる人なんているの?

当時すでに東京にも、お笑いの芸人所属事務所が主催の芸人養成所がいくつか存在していました。
しかし、ラーメンズをはじめとした当時の東京の人気芸人には、「大学のサークル出身」という出自が発生しはじめており、私のような芸人志望上京大学生にとっては、憧れだったのです。

あこがれを胸に向かったサークル室。
そこには、なぜか距離を置いてコの字型の机にパラパラと座る数人の男性。
ここで、私はネタができるだろうか。
私には"相方"ができるだろうか?

コントをやりたかった私にとって、相方が見つからなければ即ゲームオーバー。
場所を見つけても、ネタができなければ、待っているのは大学以外で相方を探す修羅の道。
だというのに、いつまでも誰も挨拶以外は話し出さない。
ずっと変な空気の部屋。

しばらくして、「昨年まではたくさん部員がいたんだけどね、いろいろあっていっぺんにやめちゃったんだよね」という気さくな先輩の登場に少しほっとする。私のほかにも一年生は数人来ていました。
※後から聞いたら、このサークルの評判が大学内で地の底に落ちていたらしく、あまり人が来てなかったそうです。("いっぺんにやめたひと"たちの仲が悪かったのが原因らしく、すでに2年生は一人しか在籍していませんでした。残った人たちは全員とても温和でした。)

「不定期で大学構内でライブをしています。。」というような、言葉少ない説明を行ったあと、
よくみたらイケメンなのに、妙にモジモジしている部長。
部長の隣には、明後日の方向をみている、妙なタイミングで話し出す、妙な先輩が同じく座っていました。
しかしその二人は、口を開けばずっとボケ合っている。周りに物があればなんでもボケる。
日常生活で、ボケを言う人なんて、私はリアルで見たことがありませんでした。
北海道にはそんな人いなかったんじゃないかと思います。マジで。
不器用で人見知りで、ボケでコミュニケーションをとっているような変な空気感が、私には新鮮だった。

そして、「女の子は裏方でいいんだよ」という、先輩からのいらない気づかいの言葉に傷つきながら、私は意を決して先輩に切り出します。

「私、ネタをやりたくて、書いてみたんで、見てもらってもいいですか?」

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