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『マーダーボット・ダイアリー上』人間が苦手だけどちょっと好き…な元殺人機械がいい味出している

マーダーボット・ダイアリー(上)読みました。

初めはフィード?モジュール?といった用語に慣れず読みづらかったですが、慣れてきたらおもしろい!

本来なら人間の管理下におかれて、その命令を聞くしかない警備ユニットが、ハッキングでその管理下を抜け出しながらも人間に従う振りをして働いている。
スキあらば連続ドラマ鑑賞をしたがり、人間を興味深く見ている。
でも人間と対面で話すのは気詰まりで嫌がる。
非合理的な選択をする人間にため息をつきながらも、危険から身をていして守る。
息をするようにハッキングしてデータの改ざんをするけど、悪用はしない。

機械らしい合理的な考え方がベースにありながら、人間を憎からず思って、興味を持っている。
そのバランスが良くて、淡々とした中にも感情の揺れ動きがあって憎めない、いいキャラになっている気がします。

マーダーボット目線で話が進むのもいいです!
一人称が「弊機」で、へりくだっているけど全然卑屈なわけではなく、冷静に自分の立ち位置を把握している。
その冷静で淡々とした目線で非日常的な出来事を語るので、不思議な味わいがあります。
ダイアリーなんて平和なもんじゃない、わりと深刻な事態が起きるのに、語り方が淡々としているせいで事実を羅列した「日記」的な雰囲気になっていて、それが心地いい。

淡々と状況を話していた次の文章で人が死んでしまったりして、「急に場面動いた!」という唐突感もいいです。ちょっとびっくりしますが。
無駄に煽りの強い盛り上げ方ではなく、刺激がおさえられた展開の仕方が私好みでした。

次の巻も、淡々とした非日常を期待しています。

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