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やばい、まじやばい! 超人ボクサー レジ-・ストリックランド

やばい、まじやばい!
何がやばいって、レジ-・ストリックランド。
負け数が半端ない。276回も負けてるーーー! 
試合数も半端ない。363戦も戦ってるーーー!
こんなボクサーもう絶対出てこない!


え? ボクシングなんか興味ない?
ちょ、待てよ。冗談だろ?
この前のオレの試合の話で超盛り上がったじゃん。
で、今度オレがリスペクトするレジ-・ストリックランドの話するからって言ったじゃん。
そしたら、すっごく楽しみーって言ってたじゃん。

え? 冗談? 早く聞きたいの?
そっそうか。わかった。じゃあ話すよ。

とにかくすごいんだよ。レジ-・ストリックランド。

レジ-はさ、ジョー・ルイスとか、モハメド・アリとか、ロベルト、デュランとか、マービン・ハグラーとか、シュガー・レイ・レナードとか、ロイ・ジョーンズ Jr.とか、マニー・パッキャオとか、フロイド・メイウェザー Jr.とか、歴代のどんな偉大なチャンピオンも足もとに及ばない。
ってか、もう存在レベルが違いすぎてる。
完全に突き抜けてる。

え? 誰も知らないの?
全部偉大な世界チャンピオンだよ。ボクシングの。
ボクサーの端くれのオレにしてみれば神だよ。神。みんな。

そんなに強いのかって? レジーが?
めちゃ弱いんだよ。めちゃくちゃ弱い。とんでもなく弱い。
生涯で276敗もしてる。史上一番負けてる。

で、生涯成績が363戦66勝276敗17引き分け、4無効試合。
ありえなくない? この数字。
363回も試合してんだよ。

普通ボクサーってさ、生涯でせいぜい30試合ぐらい、多くても50試合ぐらいしかやらないんだよ。ボクシング危ないから。
一回試合したら、何ヶ月か間をあけるんだよ。
バチバチにパンチを撃ち合うから、試合のダメージから回復するのに時間がかかるんだよ。
世界チャンピオンクラスになると、年に2回ぐらいしか試合しないやつもいたりするぐらいだ。

でもレジ-はそんなの全然関係ない。
多い時は、年に42試合とかやってんだよ。1年でだよ!
月に9試合とかやってた年もあった。
試合やった翌々日に試合するなんてのはしょっちゅう。
試合やった翌日でも試合することが時々あった。
もう頭おかしいなんてもんじゃない。

パンチドランカーにならなかったのかって?
てか、死んじゃうよ。普通のボクサーなら。そんなに試合したら。
でも、レジ-はぜんぜん気にしない。
もちろんノーダメージじゃないだろうけど、それでも戦えちゃう。
もう超人。アベンジャーズクラス。

現役時代の試合のビデオを見たけど、身体めちゃ鍛えあげてるって感じは全くしない。むしろ見た目はスリムな普通のボクサー。
レジ-は身体が頑丈だったんじゃくて、ディフェンス技術が超優秀で、パンチをまともに受けることがほとんどなかったんじゃないかと思う。

とにかくパンチをかわす技術が半端ない。
相手のパンチを受けないつもりなら、多分ほぼ全部かわせる。
距離感もいいし、目もいい。ステップで相手のパンチを余裕でかわす。
パンチが届いてもスウェーして威力を殺して受けるとかしてる。
相手に打たせる時は、基本通り両手で頭やボディをしっかりガードして、相手のパンチをみんなガードの上から受ける。

桁外れに多い試合数の割にKO負けがすごく少ないのも、ディフェンステクニックがとりわけ優れていたからじゃないかとオレは思ってる。

ブラジルで世界チャンピオンと対戦した時なんか、レジ-はチャンピオンを格下みたいにあしらってたよ。
チャンピオンの動きを完全に見切ってて、チャンピオンのパンチが全然当たらない。レジ-、余裕でかわしてた。
パンチも速いし、フットワークもすごくいい。

結局、その試合は最終ラウンドでKO負けしたんだけど、ビデオで見ると相手のパンチがレジ-にまともに当たってない。
なのに効いたふりしてダウンしてた。
チャンピオンがレジ-が倒れて、あれ?なんて顔してた。

レジ-は勝つ気がなかっただけで、本気出したらホントは強かったんじゃないかってオレは思ってる。

じゃあ、なんで本気でやらなかったのかって?

レジ-に言わせると、関わったプロモーター、マッチメーカーがみんな最悪だったらしい。
みんな自分の行う興行優先。
目玉となる有名選手、有望選手、地元の人気選手なんかのマッチメークができないと興行が成り立たないから、いつでも、誰とでも試合が可能なレジ-は便利に使われたんだと思う。
不渡りの出る小切手を一切信用していなかったレジ-は、現金で前払いにすれば、どんな無茶なオファーでも受けてくれたからね。

レジ-もボクシングは興行だってどこかで割り切ってたんだと思う。
体調が万全でなくても、多少怪我しててもリングに上がり続けてたらしいんだよね。それでも十分戦えちゃうから。

だから、レジ-はどこででも、誰とでも、どんなに急なオファーでも応じて試合をしてた。
晩年にはヘビー級の選手と戦ったりもしている。
まともなマッチメークじゃないよね。完全に。

もしレジ-が若い時に良いプロモーター、マッチメーカーと出会っていたら、世界レベルで戦うボクサーの一人になっていたとオレは思ってるよ。

レジ-のブラジルの試合を見てみたい?
わかった。YoutubeのURLを後で送るよ。
楽しんで!

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レジ-・ストリックランド(Reggie Strickland)
1968年9月4日生まれ。
アメリカのオハイオ州シンシナティ出身。
2005年に引退したスーパーミドル級の伝説のボクサー。

生涯成績
363戦66勝(14KO)276敗17引分4無効試合

1987年      8戦   1勝 (1KO)    7敗(4KO)
1988年   1戦  0勝      1敗
1989年 15戦  1勝       14敗 (4KO)
1990年 15戦  2勝    13敗 (1KO)
1991年 12戦  1勝    10敗 (1KO)    1無効試合
1992年 15戦  2勝 (1KO)  20敗 (2KO)
1993年 41戦  10勝    29敗             2引分 
1994年 35戦  10勝    21敗 (1KO)   3引分  1無効試合
1995年    25戦   6勝            16敗 (1KO)
1996年 19戦   4勝             14敗              1引分
1997年    27戦   3勝             22敗 (1KO)    2引分
1998年 42戦 6勝 (3KO)   32敗 (3KO)    3引分  1無効試合
1999年 22戦 3勝     18敗 (1KO)    1引分
2000年 14戦 4勝    9敗          1無効試合 
2001年 11戦 3勝 (1KO)  8敗
2002年   7戦 2勝 (1KO)  5敗
2003年 22戦 6勝 (5KO)   16敗
2004年 18戦 2勝 (1KO) 14敗    2引分
2005年   7戦   0勝     7敗

ストリックランドは、276敗という史上最高の生涯敗戦数に注目が集まり、「史上最弱ボクサー」という不名誉な称号をつけられ紹介されることが多い。
しかし、彼が行った空前絶後の試合数こそ注目されるべきである。
彼は卓越したディフェンス技術を持った史上最もタフなボクサーである。

これは1995年にWBF世界チャンピオン、ルシアーノ・ホラシオ・トーレスとブラジル、サンパウロで戦った試合。
レジ-・ストリックランド(ブルーのトランクス)が、世界チャンピオンを余裕であしらっているようにしか見えない。
これが史上最弱のボクサーの動き?


これはその続き。
レジ-・ストリックランドがノックアウトされる場面。
相手のパンチはレジーの巧みなディフェンスで、ボディーにも顔面にもまともに入ってない。
倒れ方も嘘くさい。一度起き上がってからの再ダウンはまるでコント。
試合後、まったくノーダメージでけろっとしている。


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