舞鶴から世界へ すべての人にアートとデザインを 合同会社VONTEN
合同会社VONTENは、舞鶴市の人気観光スポット「赤れんがパーク」に拠点を構えるデザイン会社です。「赤れんが」という場所を、 自社のオフィスとしてだけでなく、誰もが気軽にデザインやアートに触れられる空間にしたいという想い、クリエイターたちの活動拠点をつくりたいという想い。
「この場所でなければやっていない」
CEOの金田研人さんは今日までの日々を振り返り語ってくれました。
クリエイターたちの活動拠点をつくりたいという想い
赤れんがパークに活動拠点を置くことになった経緯を教えて下さい。
祖父の代から続く家業の建設会社で働く傍ら、自身でデザインの仕事を手掛けていたのですが、その際、得意の空間づくりを中心に、あるイベントに携わることになりました。
その打ち上げの席での、クリエイター仲間との会話がきっかけでした。当時、イベントに携わったクリエイターたちは、個々に活動をしており、活動拠点や横のつながりを築ける場所が、舞鶴にはありませんでした。
そのような拠点を求める仲間たちの声をうけて、「僕が赤れんが倉庫の中にクリエイティブな拠点をつくる。」そう決意しました。
当時28歳、もともと30歳までに起業したいと考えていたこともあり、「絶対にやりとげる」と意気込んだものの、赤れんがパークの管理をしているWOODY HOUSEの志摩社長とは面識がない状態からのスタートでした。知り合いをたどって、なんとか仲介してもらい、お会いすることに。
必死に準備をしてプレゼンに臨んだところ、志摩社長からは「いいね!やろう!」と快諾いただきました。
そこからオープンに向けての動きは、想像以上にスムーズでした。WOODY HOUSEの志摩社長に快諾をいただいたのが7月。会社は11月7日「いいな」の日に設立、オープンは4月と、わずか1年以内のできごとです。
行政も新しい分野への創業に大変協力的で、ワクワクしながら進めてくれましたし、金融機関の申請も怖いくらいにスムーズに進み、トントン拍子で事が進んでいきました。
その間、志摩社長をはじめ、様々な方々からサポートや応援を受け、オープンの日を迎えることができました。
VONTENの拠点となるクリエイティブスペースが生まれた瞬間でした。
世界に通用する会社、会社名に込めた想い
社名の「VONTEN」の由来について教えて下さい。
社名の「VONTEN(ヴォンテン)」という音は、創造の神である梵天様が由来となっています。ロゴの蓮の花は梵天様が台座にしている花で、キャラクターのVONちゃんも、梵天様の傍らにいる鳥をイメージして生まれました。
社名の表記は、日本の感覚だと、「BONTEN(ボンテン)」と表記されるところですが、世界でも通用するように、「VONTEN(ヴォンテン)」としています。
常に世界を見据え、VONTENが世界進出をすることで、舞鶴をひっぱりあげていくことができると考えています。
かけがえのないメンバー
合同会社VONTENはどのようなメンバーで構成されているのですか?
創業メンバーは、僕を入れて4人です。デザイナー、エンジニア、事務兼サポーター、それぞれの役割を果たしてくれています。うち2人は、当時勤めていた会社を辞め、VONTENとして活動してくれることになりました。立ち上げの一番苦しい時期をともに乗り越えた仲間たちは僕にとってなくてはならない存在です。
デザイン・アートとの出逢い
金田さんのデザインやアートとの出逢いはいつ頃ですか?
建築・土木業に関わる家庭に育ち、幼少期から建築に興味を持っていました。高校は建築を学べる学校へ進学し、大好きな建築の授業、なかでも図面を書くことに没頭する日々でした。そのような折、高校で教鞭をとっていた芸術大学の教授との出会いが、デザインへの興味を与えてくれました。
大学では、設計やデザインを学び、卒業後は京都市内で2年間、建築現場の仕事や店舗の内装に関わる仕事に従事。その後、舞鶴の実家に戻り、父とともに家業に携わることになりました。
現場の仕事も好きでしたが、その間も「やっぱりデザインの仕事がしたい」という想いがあり、かけもちで店舗の内装やグラフィック、アパレルなどにも携わってきました。そこでの出逢いが、今にも繋がっています。
センス(感性)は磨き上げるもの その底上げをしていきたい
VONTENの今後の方向性、金田さんの今後の目標を教えて下さい。
『舞鶴で「センス」を一緒に育てたい』と思っています。センス(感性)というと、生まれながらの特別な能力のように思われがちですが、センスは自分の中での簡単なルール決めで、「育てる」ことができます。
僕が生まれ育った舞鶴は、歴史も自然も豊かで素晴らしいまちですが、文化や芸術の面において、まだまだ伸びしろがあると思います。
舞鶴の歴史的建造物である赤れんがに拠点を置くことにより、文化や芸術、アートやデザインの発信基地としての役割を果たすとともに、まち全体の関心や「センス(感性)」の底上げに尽力していきたいと考えています。
VONTENの最終目的は、そのフィールドでひとり勝ちし、収益を上げることではありません。
どんどんまちの中に出向き、みんなで感性を磨き合いたい、中でも地域に向けての「デザインの授業」がしたいと思っています。
例えば同じものを見ても、その人の「感性」によって全然違うものに見えます。「より良いものをより良いと思える」、見る視点の違いを、養ってほしいので、「触れる」機会を設けて、デザインやアートに興味を持てるきっかけづくりをしていきたいです。
これまでもずっと、考えるより先に行動し、「やりたい」と思ったことに愚直に挑戦してきた金田さん。
「舞鶴から世界へ」
ポストイットのひとつにも書かれているこの言葉は、金田さんにとって初心を思い起こさせるものなのかもしれません。
舞鶴から世界へ飛び立つクリエイターを輩出することに挑戦するのだ、と誓ったあの日の想いを。これからのVONTENの躍進に目が離せません。