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髙田唯が上海に行ったワケ


上海展は今思っても奇跡の連続だったと思う。

ことの発端は2016年。
ある女の子との出会いがスタートだった。

その時のこと、ぜひこのFacebookの記事を読んでほしい。

読んだかな?

私はこの彼女、‘リーヤ’のことはずっと忘れてなくて、いつか会いたいと思っていた。

次の大きなポイントは
ちょうど1年前、2017年9月のクリエイションギャラリーG8さんでの
髙田唯展 遊泳グラフィック」。
あこがれのギャラリーで個展ができるとなり、唯はもちろん、
Allrightのメンバー全員かなり興奮したのを良く覚えている。

会期中、来てくださる人の中に、中国や韓国の方が多いことに気がついて、急遽、プロフィールや説明文を 英語・中国語・韓国語に翻訳して貼った。

私はちょうどこの個展前に、唯に代わってAllrightの代表になろうと決意をしていた。それはなぜかと言うと、きっとこの個展を境にして、唯のクリエイションはもっともっと広がるだろうと思ったし、そのために会社運営は少し置いといてもらってできるだけ自由に表現活動ができる状態にしたかったから。
もちろん、この決断は唯のためだけじゃなくて自分のためでもあるのだけど、それについてはまた別記事で。

そしてなぜか私はこの頃、「海外、海外」とやたら連呼していて、展示設営中に「これだけエネルギーを注いだ展示を1ヶ月だけで終わらせるのはもったいない…。他でやれないものか…。」と思って、そうだ、上海にいるリーヤに聞いてみよう!と思って連絡したのだった。

『この展覧会を上海でやりたい。リーヤ、力になってくれませんか?もし、お力を借りれるようであれば近々髙田と上海に行きます。できるかどうかわからなくても、何かに繋がる可能性があれば行きます』

そしたらすぐ返事が来た。

『上海にくるなら、私はとても嬉しいです!自分は髙田さんの力になりたいです!』

彼女はすぐに動いてくれて、友達の力も借りてギャラリーを当たってくれたらしい。でも、彼女も自分の仕事があったり、私も代表交代のあれこれで忙しく…

そのまま年が明けて春になった。

そして去年の熱が薄れかけていた5月のある日、リーヤから連絡が入った。

「髙田さんはまだ中国で展示をする希望はありますか?」

ここから8月26日の開催までたったの3ヶ月。
そこからも中国の今のスピードが伺える。
最初は7月にやろう、大丈夫大丈夫、なんて言ってたのだから…
(こっちがついて行けないんですけど…)

そもそもこの時点で、8月頭の台湾・台中での展示が決まっていた。
唯は大学の教員でもあるから、海外の展示となると夏休みの8月か春休みになる3月しかチャンスがない。
上海チームはすぐにでもやりたいムード。3月はきっとありえないなぁ。。

8月に海外個展2つ。
普通はやらないよね。
しかも初海外だし。

たぶん、私たちはバカなんだと思う。

事実、台湾は良いとして(企画者の渡部先生が語学堪能で敏腕だし、会場の綠光+marüteは日本人オーナーが日本のアートを紹介するギャラリーだったのでコミュニケーションも問題なかったし、東京造形大のバックアップもあった)、
上海はなんら後ろ盾もなく、資金もなく、言葉も通じないし、コミュニケーションもうまくいかないし、まったく今年の夏はアホみたいに暑いし…

でも、それでも何でやれたのかっていうと、上海のギャラリーのアランを始めとするメンバーが一生懸命だったからだ。
デザインがとにかく好き。びっくりするくらい古い情報も調べてるし(父のことまで知ってた!)、何より中国と日本のデザイン・アート交流をとても真剣に考えていて、中国の美大の先生や、ベテランデザイナーとのトークセッションを企画してくれたり、とにかくこっちが引くくらい前のめりで必死に動いてくれていた。
おどろくことに彼らはまだみんな20代半ば。それでもこんなことに挑戦できてしまう中国の可能性に驚くばかり。(相手がバカ姉弟だからかもですが)
唯へのリスペクトも厚く、ジェントルな彼ら。

そして。なんということでしょう、私たちの危なっかしさを心配したのか、台湾展を企画してくれた渡部先生、台湾展ギャラリーオーナーの木村一心さん、そして通訳兼コーディネーターとして、髙田ゼミの中国人留学生、盛哲くんが一緒に来てくれると言ってくれた。どれだけ心強かったことか!!
上海集合で、それぞれのタイミングで向かってくれたものの、肝心の我々が遅れるというハプニングを超えて、無事(?)「髙田唯ソロエキシビジョン  潜水平面設計展」は開催となったのだった。

繋いでくれたリーヤはトークセッションの通訳としても力になってくれた。

展示もトークも驚くほど人が来てくれ、反応も大きく、興味をもってもらえることは単純にすごくすごく嬉しかった。
訳も分からず飛び込んで、今の中国のエネルギーを肌で感じたことは絶対やるべきことだったと終わった今心から思う。

上海との話が来て、ギャラリーと契約、ということになったとき、唯はそれを一人で決断し、一人で契約を結んだ。
きっと色々な思いがめぐったと思うし(海外、と連呼する代表のこととか…)、何より挑戦には常にセットの恐怖もあったと思う。慣れない海外のこととなればそれはかなりのものだったに違いない。

上海に向かう途中に、どうして最初から相談してくれなかったの?と聞いた。そうしたら、最初から頼ったら自分はきっと甘えてしまうだろうから、とひとことだけ言った。

途中から具体的にサポートに入った私は、最初から把握してりゃーこんな面倒もなかったのに、って思うことが度々あって先の質問をしたんだけど、ちょっと恥ずかしくなった。私の性格を知っている唯はそれも分かっていて、ひとりで進めてみることに挑戦したのだと分かったから。

軽々と新しいことを手がけているように見られる唯だけど、しずかに深く考え、迷いながら判断をしている。それは10年一緒に仕事をしてきた私はよくよく分かっていることだ。
裏をとった念には念を入れた検証をしない代わりに、自分の感覚を総動員して閃きを掴んで決めている。
だから出した答えはみずみずしく新しく映るのかもしれない。
私はその答えを楽しみにしてるし、とても信頼している。

!VICE中国に取材してもらいました!
写真をクリックすると映像に飛びます。
注)最初に広告が入るかも。

ジャーナリスト渡部先生の素晴らしすぎるレポートも絶対読んで!

上海レポート1
上海レポート2

台湾レポート1
台湾レポート2
台湾レポート3
台湾レポート4

#髙田唯 #上海 #台湾 #グラフィックデザイン #Allrightgraphics


わたしが、イイ…!!と思ったことに惜しみなく投資させていただきます◎