Thank you Daniel !!!No Time To Die 007
ネタバレ注意⚠️
本作のヒロインマドレーヌが、裏切りを疑ったボンドに汽車に乗せられ「これまでだ」と告げられるシーン。咄嗟にお腹に手を当てるマドレーヌ。
「ああ、マドレーヌ妊娠してるんだ」
衝撃だった。
来年60周年を迎える長寿シリーズ007の最新作。6代目ジェームス・ボンド、ダニエル・クレイグの最後のボンド。全5作のストーリーがつながっており
宿敵義兄プロフェルドを倒し、敵の殺し屋の娘マドレーヌ・スワンと共に生きることを決めたボンドは前作スペクターでMI6を辞め、愛車アストンマーチンにマドレーヌを乗せ共に去っていった。
本作はそこから始まる。
ボンドシリーズでセクシャルなシーンは扱われても生々しい妊娠などは蚊帳の外であったはず、ボンドは男性の理想でどれだけブレイボーイでもそんなことにはいたらない不可侵な領域であった。
「そこまでやるのか」
グレイグ版ボンドはどこまでも人間、ボンドを描いて終わるのだな。と改めて突きつけた。
綺麗に終わったし、ダニエルもこれで終わりって言ってるし、と思っていたスペクター。
ぼんやり、ふわっと終わらせる気はなかったのだ。
そして帰ってきた、ボンド。
すっかり引退して過去の人、新米CIAエージェントキュートなパロマの辺りではスマートだったはずのジョークはオヤジギャグ扱い。そんなもんです。
もう コンテンツとして007はおじさんおばさんのもの。だからこそ、監督やダニエルなどのインタビューを読むと、随分様々なシーンにメタファーやオマージュを入れているようだ。もちろん気づいたものも「そうなんだへ〜」というもの、両方ある。
それらは昔からのファンへサービスもあるだろう、けれど、作るなら徹底的にやってやろう、ということか。その気概は随所に感じられた。
さて、困ったのは敵設定、ブロフェルド以上の最恐最悪な悪役を持ってこねばならない。役者は文句ないが、設定が問題だ。
敵設定、それがボンドシリーズが長く続く理由でもある。時代に沿っているからだ。
今の時代テロリストになってしまうのは仕方ない。
原作は冷戦時代なので特に問題はないけれど、とっくに冷戦は終わり、脅威はコロコロ変わる。その都度、敵はその姿を変え、ボンドは変わらなかった。
その点ダニエル版では上手く時代とあわせる形で推移していた。前作スペクターで陰謀論の温床になりそうな怪しげな組織を国際的に張り巡らせ、国の枠を超えた悪の組織スペクター、その存在はスパイの存在意義を辛うじて保ち、且つ全ての悪役は義兄ブロフェルドを頂点にして全てが集約するという設定、最初からそうだったのかどうか(知らないだけで)後付けでも上手くハマった。
特にスペクターでボンドが潜入した謎会議、あれは昨今の陰謀論にピッタリハマる演出だった。
求められるのは、それ以上の悪役だ。
今作のサフィンは盗んだ兵器を改良し前作までの悪役スペクター一味を一掃してしまう。
何やら、かなり統率の取れてる組織だけど国際的スペクターに気がつかれずに下克上?若干細かく突っ込むとボロが出るけれども、そこは今にはじまったことじゃないのでスルー。
大事なのは悪役サフィン、破滅願望を併せ持ってることだ。
悪役はなんだかんだ言ってお金が目的であってほしかった。しかも彼の細菌兵器はナノボット、遺伝子によって滅ぼす相手を選択できる。行き着く先は地獄、そこまでやっても構わないヤケクソ気味なのだ。
今までの映像作品の細菌兵器は無差別であった。命の選択が可能とは、無差別の方がまだマシだ。特定の民族を攻撃出来ることが現代の欲望なのだ。引き合いが来ている描写もある。
正しく時代に沿った悪役をだった。
世界はいま、分断されている。
これは去年公開される予定だった。ウイルスを扱うのも予言めいている。
映像作品に今、向かうべき敵が描かれている。
破滅への願望と分断だ。
テロリストで破滅主義者、テクノロジーを持ち、選択的細菌攻撃が可能、そしてマドレーヌに執着をもつ。お膳立ては揃った。
違和感なくマドレーヌを再登場させられる。ボンドの因縁でなく、マドレーヌとの因果だ。
そして駅での別れから5年の歳月を経て再び出会うボンドとマドレーヌ、彼女はブロフェルド暗殺に利用される。マドレーヌには効かないがブロフェルドには致命傷、脅迫され(愛する人を盾に)これを手に塗り毒を仕込んでブロフェルドに対峙する。ボンドの握手を拒んだのは彼を危険に晒さないため、気が利かないボンド、マジ鈍感。恐ろしさから土壇場で逃げてしまったマドレーヌの腕をつかんでしまうボンド、その後期せずしてブロフェルドを死に追いやる。義兄だからボンドには毒は効かない、それでも毒(ナノボットの)に汚染されてしまう。
直接手を下さず済んだが、殺し屋が父親であり、00エージェントが元恋人と言うだけの普通の人、マドレーヌがマジ気の毒。
そして、マドレーヌの家を訪れるボンドは手に銃は持ってるし最悪「私をうつの?」と迎えられる。だよね。
さらに不意に現れたマドレーヌの娘マチルダにうろたえ、「あなたの子じゃない」と言われてほっとした。いま、ほっとしたろボンド!絶対ほっとしたよね。このシーン「あんたの子以外あるわけないだろうよぉぉ」と心で叫んでいた。「いや、目が青かったから」じゃないよ!全く百戦錬磨のボンドくんも「子供」には狼狽えるわけですよ。人間です。はい。
マドレーヌとの誤解は解け、ほっこりしたのもつかの間、すぐさま敵の襲撃にあい、逃亡劇を繰り広げる訳だが、マチルダを抱えて銃を構えるボンドに衝撃!『今私は何を見せられているのだ?ボンドが子供を抱えて銃撃戦?有り得ない』従来の007なんか壊してしまえ!どこまでも新しいボンドを描くのだ、戸惑いながらも目が離せない展開にあれよあれよと物語は進む。さらわれた二人をおって細菌工場である島に乗り込む。ここまで観ていて帰還出来るものと信じていた。ここまでは。
救い出した二人を新007エージェント、ノーミに任せてキスを交わし「家族だ」と戸惑いながら紹介する。
この辺りでおやおや、これは帰還出来ないのか?フラグか?ソワソワしてくる。
細菌工場を破壊するための準備は出来たが、ボンドサフィンに撃たれる。致命傷なのは観ていてわかる。マジか。これはボンド帰還出来ない?ここに来て帰還出来ない可能性に私、狼狽える。
さらにサフィン、ボンドの生きて帰る希望を奪う。事前に用意してたマドレーヌ由来の遺伝子情報を持った毒でボンドを汚染、帰還できてもマドレーヌとマチルダを抱きしめることも叶わない。永遠に。
なんと残酷な!
ああ、帰還できないボンドなんだ。
ダニエル版はどこまでもあたらしいことをやるのだ。
マドレーヌとの最後の交信でマチルダの青い目はあなたの娘だからとあかす。
死ぬときではない。
そうだ、死んだらダメなんだよ。待ってるじゃん家族が。家族持ちのボンドなんだから。ジェームズボンドでしょ!ミッションやり遂げて帰るのがボンドじゃん。
工場を吹き飛ばすミサイルの閃光がボンドを包む。
涙が止まらない。
前作からマドレーヌに感情移入していたので最初から最後まで彼女を思って胸が塞がれる。ハネムーンからの別れ、子どもをひとりで産み育てる。和解そして永遠の別れ。「隠し事の上手い女」じゃないよ、隠したくて隠してた訳じゃない。やっと和解したのに永遠の別れ。せめて、別れずに5年だけでも過ごせたらな~と思ったけれど、子育てしていたボンドであってはそれこそダメなのだ。
たった一日親子として過ごしただけで永遠の別れこそボンドに相応しい。
エンドロールが終わるまで結構人が入っていた映画館、誰一人立たなかった。
エンディング、ルイ・アームストロング「時間は十分にある」泣ける。
みんな初日に観に来るくらいだもの。好きだよね。そして今立てないよね。
主題歌Billie EilishのNo Time To Dieタイトルの意味が染みる。
ダニエルが6代目ボンドに就任した時、金髪碧眼についてとやかく言われた。
それを最後に持ってくる訳だよ。
「僕の青い目だ」
虚実織り交ぜて迎えたダニエル版ボンドの到達点、新しい挑戦、15年の間に脚本家のストやらコロナやらいろいろあって大変だったかもしれないけれど完走、やり切った。
お疲れ様ダニエル😭ありがとう。
次はIMAXで観ます。
James bond will return.
だけどM、あんた細菌兵器作っといて奪われた挙句なかなか本当のこと喋らなくてアメリカ、ロシア、日本に迷惑かけてボンドに尻拭いさせて「ジェームスに」献杯!
じゃないよ。辞任くらいしてよ。いちばんの悪役。
彼は戻ってこなくていいかもね。
#ジェームズ・ボンド #007 #ノータイムトゥダイ
#NoTimeToDie #レア・セドゥ
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