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3月の映画きろく

年度末、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

今月は映画館よりもおうちで観たものが多め。相変わらず邦画多め。図らずも春の成田凌&高良健吾まつりになりました。なお来月はここに若葉竜也が加わります。

映画館とおうち、それぞれだいたい観た順に並べます。

◆映画館編◆

あのこは貴族(2021年2月26日公開)

いい。めちゃくちゃいい。女が喧嘩しない、分断が分断を呼ばない女の話。

いいんだけどいまいち点数を高くつけられないのは私の個人的な感情によるものが大きい。水原希子演じる美紀にどうしても感情移入しすぎてしまうから。内部生・外部生の話とか「東京は棲み分けされていて、違う階層の人とは出会わないようにできている」という台詞に心の奥がキュッとなった。

とりあえず、大学は中退する前に奨学金を申請しよう。給付型も結構、あるからさ。

春の高良健吾まつりはここから始まった。

燃ゆる女の肖像(2020年12月4日公開)

映像が全部油画のようで綺麗だった。それと同時に浮き彫りになる描く/描かれる(=見る/見られる)ことの生々しさや残酷さを、映画を観て観客が経験するというのはちょっと皮肉な構造だ。

女たちマリアンヌとエロイーズの限りある恋人たちの時間はひとつでも間違えたら一瞬で壊れてしまいそうに儚いけれど、それが絵の中に閉じ込められている。ヴィヴァルディの「夏」がぴったりだった。

フランス映画らしくたくさんのメタファーが登場するのだけれどリテラシー低くて全部キャッチできなくてごめんな……というのが率直な感想。もう少し人生経験積んだら分かるだろうか。

まともじゃないのは君も一緒(2021年3月19日公開)(2回目)

後味さわやかな怒涛の会話劇。成田凌×清原果耶=大勝利。泉里香と小泉孝太郎のキャスティングが絶妙。『おちょやん』のヨシヲ役で話題の倉悠貴くんも出ています。

初回は2月の試写会にてだけど公開したから一応記録。感想はこちらに書いた。2回目は3/20の舞台挨拶にて。まさかのチケ運を発揮。2021年、来てます。呑み書きの日だったので余韻に浸りながら書いたnoteがこちら

ノマドランド(2021年3月26日公開)

いやー、渋い。めっちゃくちゃ渋かった。でも好き。

リーマンショックの煽りを受けた企業が倒産して街が消えた。住む場所を失ったファーンはキャンピングカーで移動しながら暮らす"ノマド"になった。彼女は夫を失った寂しさと喪失感を抱えながら旅を続け、同じくノマドの人々と出会い、交流しながら生きていく。大きな起伏のある物語ではないけれど、印象に残るのは空の色、朝の陽射し、虫や鳥の声、風の音、草を踏む音。それから強烈なまでの孤独感。

私はこんな暮らし耐えられないだろうな。身も心も成熟した大人になったころにはこうやって孤独を噛み締めながらひとりで生きていく覚悟ができるんだろうか。

◆おうち編◆

リトル・ダンサー(2001年1月27日公開)

とてもよいです。好き。なぜ今まで観てなかったのかと思ったストレートな名作。さまざまな障壁を乗り越えて夢を追う人も、それを影で支えたり見守ったりする周囲の人もみんなかっこいい。

ラストの袖からのカットは本当に鳥肌がぞわりと立った。アダム・クーパーが神々しい。家で観てこれだからスクリーンで観たらたぶん泣いちゃう。

『ミッドナイトスワン』はこの映画をかなり意識した演出だったな。

望み(2020年10月9日公開)

加害者でも生きていてほしいと望むか、被害者でも罪を犯してほしくないと望むか。どちらにしてもつらい結末だった。マスコミと周囲の手のひら返しには心底うんざりだ。そしてここにも清原果耶。演技力おばけ。

ながら見になってしまったので、終始緊張して観られる環境だったら少し感想変わるかもしれない。しかし映像の色味と音楽の煽りすぎ感にちょっと冷めてしまったのが残念。

きみはいい子(2015年6月27日公開)

無意識だったけれどがっつり高良健吾。

タイトルのストレートなメッセージをがつんと受け取った。子供だって大人だって「きみはいい子」って抱きしめられたい。子役たちの演技が素晴らしすぎて、虐待のシーンは直視するのがつらかったので苦手な方は要注意。

永い言い訳(2016年10月14日公開)

西川美和監督作品。結構前に観た記憶があるけれど『すばらしき世界』があまりにも良かったので。やっぱりこれも好きだった。人間はみんなどこかしら欠落していて、その欠落を探し求めて他者と関わり続けるのかなと思った。

弥生、三月-君を愛した30年-(2020年3月20日)

成田凌が観たかった。お調子者のサッカー少年は素の成田氏ではないかと思います(偏見)。以上。

震災の扱いとラストシーンでどうしてもスンッ……となってしまう。

彼らが本気で編むときは、(2017年2月25日公開)

『かもめ食堂』の荻上直子監督の作品。邦画がトランスジェンダーを描くと悲劇になる……というのをひっくり返してくれたと思う。あったかい映画だったな。

カツベン!(2019年12月13日公開)

なんかね、勿体ぶって観てなかった。成田凌の映画初主演作。そしてやっぱり高良健吾もいたよ。

周防監督作品で観たことがあるのは『それでもボクはやってない』、『舞妓はレディ』。どちらも面白かったからこれも好きだろうなと思ってたけど面白かった。ドタバタコメディど真ん中!義理と人情の日本版ニューシネマパラダイス。成田凌の弁士っぷりも見事。声が通るイメージはないので相当練習したんだろうなと思うとなんかぐっとくる。おちょやんで活きてたなあ。

アイネクライネナハトムジーク(2019年9月20日公開)

原作が好きだったなあ、観てなかったなあ、と思って。あんまり今泉監督っぽくないのでは?と疑問だったけれど、ちっちゃな世界で人が行き交う空気がやっぱり監督だなって思った。斉藤和義の音楽が最高。

◆試写会編◆

たまたまオンライン試写会が続いたので。3つ。

水を抱く女(2021年3月26日公開)

水の精霊ウンディーネの神話を基に、現代ベルリンを舞台に描く哀しい宿命をもつ女の物語。不思議な世界観だった。水の音と電車の音がすごく印象に残っている。ベルリンの街の無機質な雰囲気が感じられる作品。

ゾッキ(2021年4月2日公開)

全然期待していなかったけれど(ごめんなさい)面白かった。竹中直人、山田孝之、斎藤工の3人の監督による作品。いくつかの短い物語が小さな田舎町ですれ違う。すっごくへんな映画でずっとアホだった。斎藤工が監督の伴くんパートははちゃめちゃにアホなのにほろっとしてずるい。ここだけもうちょっと観たい。

騙し絵の牙(2021年3月26日公開)

これ、予告で損をしている気がする。何回騙されたかなんてどうでもよくて、ビジネスの駆け引きとして面白い作品だと思った。某半沢が好きな人はきっと楽しめる。出版業界のあれこれはなるほどね〜という感じ。

【今月のいちおし】

さわやかな気分になりたい方、あるいは朝ドラ俳優コンビが気になる方(おちょやん:成田凌/おかえりモネ:清原果耶)におすすめしたい『まともじゃないのは君も一緒』。

じっくりひとりを愉しみたい方におすすめしたい『ノマドランド』。

アマプラに入っている人が観るべきなのは『永い言い訳』。

以上、2回目のもあるけど14本。

来月は成田凌&高良健吾&若葉竜也まつりが激アツです。

【4月に劇場で観る候補】
ホムンクルス/街の上で/くれなずめ/14歳の栞 etc...

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