2月の映画きろく
私にしてはたくさん映画を観た2月。昨年から公開が先延ばしになっていたものもあって、新作邦画ばかりをこんなに観たのは初めてかも。せっかくなので書き留めておく。
※長くなっちゃったので拾い読み推奨。何か映画観たいな〜何にしようかな〜というときの参考になれば幸いです。
Filmarksを昨年末から使い始めたのだけど、感想をメモしたりこうやって振り返ったりするのに便利!
新作と旧作別に、だいたい観た順で書く。
◆新作◆
哀愁しんでれら(2021年2月5日公開)
何しろ土屋太鳳と田中圭だからね、観ざるを得なかったんだけど。予告が面白そうだったから期待していた作品。胸糞エンドだけどハラハラドキドキというよりは何が正しいかなんて簡単に分からないよねと納得してしまった。田中圭が出ていなかったら観なかったテイストの作品ではあるけれど面白かった。長々と感想も書いた。
ちなみにまだムビチケを使えていない。田中圭の「疲れてるんだけどな」を観に行こうか。
花束みたいな恋をした(2021年1月29日公開)
もはや話題になりすぎて観に行くのやめようかとすら思った。観ちゃった。坂元裕二の脚本、ただのふんわり恋愛映画で終わるわけがない。若いカップルはデートで観るのはやめておけと声を大にしてお伝えしたい。隣にいたおそらく10代のカップルは無事だっただろうか。
幅広い世代の語りを引き出してしまうシャワーのような固有名詞たちと、麦と絹とがっつり同世代の私にはいろいろと刺さる、というか身につまされるような台詞が多くて映画が終わる頃にはノックダウン寸前。感想を聞かれたら「とてもよかった」と答えるけれど、2回目はまだ怖いのでもう少し大人になったらまた観たいと思う。
ヤクザと家族 The Family(2021年1月29日公開)
『新聞記者』の藤井道人監督と制作スタッフが再集結。予想を超えて(失礼)面白かった。社会の網からこぼれ落ちた人たちを排除するのは簡単だけれどそれだけで終わりでいいんだっけ?と問いたくなる。もちろん映画の中身もよかったんだけど、私が一番感情を引っ張り出されたのはエンドロールで流れる「FAMILIA」のここ。これがもう全部って感じ。
愛を知ってしまった その代償は計り知れないね
ちなみにイオンシネマのワンデーフリーパスで『すばらしき世界』と一緒に観たんだけど大正解。
すばらしき世界(2021年2月11日公開)
「今やっている映画であえて1本だけ観に行くならどれ?」と聞かれたら私はこれを選ぶ。ここ数年の邦画ベストかもしれない。そんなにたくさん観ていないから分からないけど。「すごいの観たなあ」と思って、家に帰ってからもずっとこの映画のことを考えていた。
三上(役所広司)は人生の大半を刑務所で過ごしてきた元殺人犯。心根は優しくて、でもこの世界で生きていくには真っ直ぐすぎて気が短くて危うくて危うくて、ずーっとハラハラしながら三上を見守るけれど、周りの人が手を差し伸べて社会に適応していくたびに少しずつ彼のかたちを変えていく。「すばらしき世界」はどんな空をしているだろうな。
あの頃。(2021年2月19日公開)
夢中だったあの頃、楽しかったね。でも今も楽しいよ。そうやって背中を押してくれる温かい映画。恋愛研究会。のキャストが本当に最高だった。
書きたいことは試写会の感想でだいたい書いたのだけど、2回目観たときはエンドロールで「もう終わっちゃう……」とちょっぴり寂しくなった。私も彼らの仲間みたいな気持ちだったから。
まともじゃないのは君も一緒(2021年3月19日公開)
試写会にて。御察しの通り成田凌が目当て。とにかくかわいい。主演2人ともかわいい。見終えた後の第一声は「かわいい〜!」。さらっとした後味の作品なので幅広い層が楽しめそうな作品。予備校の先生と生徒の設定とか拭えない唐突感とかいろいろ突っ込みたい気持ちはあるけれど、それはさておき面白かった。
大野(成田凌)も香住(清原果耶)もとにかく台詞の量が多い上に長回しのカットが多くて大変そう……だけど2人ともテンポばっちりで素晴らしかった。会話の内容はどこまでも噛み合わないのに、どこか似た者同士で「普通」になろうとすればするほどこんがらがっていく2人。観客も一緒に巻き込まれていく感覚を楽しめる。
公式のあらすじを読んで「普通」のゴールが結婚なの?と思っていたけれど、それを受け入れることもそうでない生き方を模索することも否定しないところには安心。映画の中で掘り下げがあるわけではないのだけれど、その余白を想像するところまでが体験のひとつかな。
◆旧作◆
パンとバスと2度目のハツコイ(2018年2月17日公開)
恋愛映画なのにムズムズともキュンともしないところが今泉監督って感じ(私見)。そこがいい。ふみ(深川麻衣)の素朴さに惚れた作品。たもつ(山下健太郎)はずーっとズレていて正直イライラするけれど、山の上で叫ぶシーンはバカバカしくてつい笑っちゃう。
ひとつだけ言わせてほしい。「恋愛こじらせ女子」って言っているけれど、ふみはこじらせてないと思う。
スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼(2020年2月21日公開)
1作目は田中圭メインだったので劇場で観たけれど2作目のこちらはまだ観ていなかった。続編は千葉雄大演じる加賀谷を中心にストーリーが展開される。ちなみにこっちにも田中圭が出ていて結婚式挙げてた。この人『哀愁しんでれら』でもソナーポケットのMVでも結婚式していたぞ。まあ、タキシード似合うから仕方ないよね。
1作目同様、展開はだいたい読めてしまうのだけれどとにかく見所は浦野(成田凌)。どう考えても気持ち悪いし関わってはいけないタイプの人間だけど、だんだん浦野が可愛く見えてくる。加賀谷と浦野の微妙な関係がよかった。サイコサスペンスとかホラー感は1作目よりだいぶライト。どこかで続編やるんだろうなと思う。
ビューティー・インサイド(2016年1月22日公開)
韓国映画、ほとんど観たことないなと思って。すごくよかった。イス(ハン・ヒョジュ)の美しいことよ。
目が覚めるたびに見た目が変わってしまうというとんでもない設定。だけど、123人の役者がウジンとしてお芝居をする。それできちんと説得力のある映像になっている不思議な感覚だった。人を好きになるのに、内面と外見を完全に切り離すのは不可能だと思う。それでもあなたにいてほしいって言えるかしら……。
82年生まれ、キム・ジヨン(2020年10月9日公開)
映画を観ながら感動という意味ではなく辛くて苦しくて涙を流すってなかなかない。けれどもこれはぼろっぼろに泣いた。ジヨン(チョン・ユミ)を通して自分を見ているような気持ちになってしまったから。でもこの息苦しさを飲み込む時代は終わりにしないと。
舞台は韓国だけど、関しては現代日本でも同じような構造あるよね。女性が直面する理不尽さや世知辛さの描写に容赦がない。容赦がないだけに、本当にこの作品のメッセージが届いてほしい人には「説教くさい」って言われちゃいそうで心配になった。
はちどり(2020年6月20日公開)
なんて繊細な作品なんだろうか。この映画を作った人はどれほど真摯に世界を見つめているのだろう。主人公は14歳。まだ小さな世界に生きているころ特有の閉塞感を思い出す。小さくてせわしなく、それでも力強く羽を動かすはちどりは主人公そのものだ。
ウニ(パク・ジフ)の置かれる状況にやるせなさがこみ上げた。ウニの世界のなかで漢文塾のヨンジ先生の言葉だけが希望だ。一番好きなのは「相手のことを知らないから同情できない」かな。人の心なんて簡単には分からないものだ。この映画の中でも説明台詞やモノローグはなく、ウニが何を考えているか観客は想像することしかできない。
いくつか意図を読み取れなかったシーンがあり、まだまだ勉強不足と人生経験不足だなと感じて反省。
CUBE(1998年9月12日公開)
アマプラでの配信が2月末までだったので観てみた。
サスペンスホラー?みたいな感じ。CUBEに閉じ込められた6人が脱出しようとする話。序盤がグロめ、そこを乗り切ればあとは心理戦。ホラー苦手だけどギリいけた。理由も意図も分からない、というのが人間にとって一番の恐怖なのだなと思った。
菅田将暉主演でリメイクされるんですってね。
(追記)個人的におすすめしたい
新作はやっぱり『すばらしき世界』。いろんな人に観てほしい。役所広司はもちろん仲野太賀も存在感がすごかった。いい六角さんも見どころのひとつ。
旧作は迷うけど『ビューティー・インサイド』。やさしい気持ちになれる。ファッションや部屋のインテリアも素敵。キム・ジヨンもはちどりも推したいところだけど、なかなか観られるチャンスがないんだよなあ……。
*
以上、12本。
ちょこっとでも感想を書き留めておくとストーリーも記憶に残るというのを実感できた。毎回毎回考察はしていられないけれど、何かしら残すのは続けたいな。
【3月に劇場で観る候補】
燃ゆる女の肖像/天国にちがいない/痛くない死に方/あのこは貴族/ノマドランド etc.
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