シェア
竹野まいか
2021年7月26日 00:26
小塚ハルコは愛されたかった。 19になったばかりのハルコにはまだ愛するということがいったいどういうものか分からなかったが、とにかく自分を丸ごと包み込んでくれるような、そんなふうに愛してくれる人に愛されたかった。 それなのにどうして、知らない男の人が隣で眠っているのだろうか。カーテンの隙間から覗く夏の日差しに目を眇めながら、ハルコは心底不思議に思った。* 千葉のベッドタウンの片隅で育っ
2021年7月15日 10:36
ビルの隙間に照りつける強い日差しを避けながら、長財布とスマートフォン、コンビニのアイスコーヒーを片手に信号待ちをする。隣に立つサキが大きく伸びをした。「あー、暑くてやってらんない。早く帰りたいわぁ」「ほんとだねぇ」 タスク管理のアプリに残る未着手のマークのついた今日中に片付けねばならないあれこれを思い浮かべるとうんざりするが、長谷川ナツミは同期とのランチを終えた後のこの弛緩した時間が嫌いで