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自分の店のコンセプトがわからなかった話

私がコーチングを仕事にしたいと思うようになった理由を書いてみようと思う。

2012年から7年半、パン屋を経営した。
パンを焼くことが好きで、それを喜んでくれる人がいるのが嬉しくて、「私、パン屋になりたい!」ただその気持ちだけでスタートした。
結果、7年半の間ずっと、私は自分の店のコンセプトが分からなかった。

ホームページをつくるときや、イベントに出店するときには店の説明文を求められるのだけど、毎回「えーっと…」と迷っていた。
日々のインスタグラムの投稿なども、今日はこんなパンがありますよ!という「お知らせ」ばかりで、自分の考えや日々感じたことは書けなかった。

コンセプトがいつまでも分からなかった理由は、今ならわかる。
私が、店主である自分自身のことをわかっていなかったからだった。

だから、コンセプトは、と聞かれたら
「なるべく体に良い材料を使い、製法にこだわり、心と体が喜ぶパンを…」みたいな、まぁなんともありがちな、どこにでも転がっていそうな言葉しか並べられない状態だった。

私という人間が、何が好きでどんなことに喜びを感じるのか。
どんな価値観を持っていて、何を大切にしていてどんな人生を歩みたいと思っているのか

それが分かっていないのに、目の前の日々やるべきことや売り上げを上げることに追われて、日々迷ってばかり、ブレてばかりだったなと思う。

だからそのうち自分がどこに進むべきなのかもわからなくなって、やりがいも感じられなくなって、店を続ける意味も見失ってしまった。


自分で店をやってみようと思ったら、まずは自分のことをとことん知ることがめちゃくちゃ大事だと、今となってはすごく思う。

自分自身を深掘って深掘って、自分でも気づいていなかった価値観に気づき、どんな人でありたいのか、どんな人生を歩みたいのかが分かれば、そこから、どんなお店にしたくてどんな商品をどんな人に届けたいのかがわかってくる。自分にしか提供できない価値も見えてくるだろう。

店を売却して4年ほど経って、やっぱり自分はパン屋でありたいと気づき、自分にぴったり合うパン屋の形を探し始めた。

起業塾やドリアンパン学校(焚火を囲んで眠る学校)でコーチングを受けたとき、ああこれだ、と思った。
コーチングは、何かを教わったり助言を受けたりするのではなく、コーチからの質問に答え続けていく中で、自分の中にしかない、だけど自分では気づいていない想いや、制限をかけているものに気づいていくというもの。

思いがけない自分の想いに気づいて驚いたり、知らないうちにずっと我慢していた自分に気づいて号泣することも少なくない。


道に迷って迷って出口が見えず疲弊していたあの頃の自分がコーチングに出会えていたら、今ももしかしたらあのお店は続いていたかもしれないなぁと思う、まぁ、今さらなんだけど。

だから、これを学んで、これからお店をはじめようとする誰かの役に立てたり、今まさに迷子になっている人をその人なりの正しい道に導く助けになることができたら、あの頃の自分の、失敗と挫折の経験を生かすことができるなと思った。

そう思えたとき、ただただ隠したくて恥ずかしかった私の「失敗と挫折の黒歴史」は、大切で唯一無二の「価値のある経験」という宝物になった。

過去の人生に起こった出来事は変わらない。だけど解釈は変えられる。
これもコーチングを学ぶ中で分かったこと。

もちろん自分で自分を深掘って自分自身を知ることもできる。でも、コーチングを受けてみて、学んでみて、人生にコーチがついていれば、無駄な回り道をなるべくせずになりたい自分に最高速度で近づけるし、さらにもっともっと遠く先の、自分だけでは見えなかったゴールまで見えるようになるし、難なくそこまで行けるんだと知った。

自分が信じる自分自身よりももっともっと高いところまでいけるんだということを、自分以上に心から信じていてくれる人の存在は、すごい。

まだまだ勉強中の身だけど、私もそんな存在になれるよう、これからもたくさん学んで実践していきたいと思う。


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