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CAから広報へ異例の転身。なぜ、セレッソ大阪広報・松本裕太は、スポーツ業界にたどり着いたのか

<トップ:©︎2024 MAISHIMA PROJECT>

舞洲に拠点を置くプロスポーツ3チーム、大阪エヴェッサ、オリックス・バファローズ、セレッソ大阪で働くクラブスタッフへのインタビュー特集企画「舞洲を支える人々」。クラブに関わることとなった経緯やチームへの思い、舞洲にまつわるお話などを伺います。

今回登場するのは、株式会社セレッソ大阪 広報グループ 松本裕太さん(まつもと・ゆうた)さん。

航空会社で客室乗務員(CA)の経験があるという異色の経歴を持つ松本さんは、2021年にセレッソ大阪に入社。昨年より、大学時代に培った韓国語のスキルを活かしてヤンハンビン選手のサポートも担当しています。CAから広報にキャリアチェンジをした背景やセレッソで働くに至った経緯、現在の仕事内容や印象に残っている施策など、様々なお話を伺いました。

韓国語のスキルが最初のキャリアにつながった

ー以前はCAとして働かれていたと伺いました。セレッソに入社されるまでのキャリアについて教えていただけますか?

最初に大韓航空で地上職員として働き、次にLCCのPeach Aviation(以下Peach)へ転職しました。転職後は未経験からCAとして働いたのち、社内制度を利用して広報に転向。Peachでの6年間の勤務を経て、2021年にセレッソへ入社しました。

ー新卒から航空業界だったんですね。

それが違うんです(笑)。大学卒業後は1年ほどフリーター生活を送っていました。大学時代に韓国留学をしていて、帰国後は「韓国語のスキルを活かしてバリバリ働くぞ!」と意気込んでいたものの、気付けば就職先が決まらぬまま大学を卒業…。さすがにこのままでは良くないと思い、近所の語学教室で韓国語のアルバイト講師として働き始めました。

そんな中、大学の後輩から大韓航空の地上職の採用募集があることを教えてもらい、ダメ元で応募してみたんです。その結果、ありがたいことに採用されました。入社後に中の人に聞いた話によると、どうやら韓国語を話せるという理由だけで採用してくれたそうです(笑)。

ーそんな経緯があったんですね。もともと韓国語に興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?

大学の第2外国語の授業で韓国語を選択したのが全てのはじまりです。軽い気持ちで取った授業でしたが、受けてみると韓国語の先生がすごく面白くてユーモアのある方でした。今でも交流が続いているくらい深い付き合いになったその先生との出会いが韓国語の勉強にのめり込んだきっかけです。先生の授業を受けるなかでもっと語学勉強をしたいという意欲が湧き、留学に至りました。


天職だったCAから広報にキャリアチェンジした理由

ー地上職からCAにキャリアチェンジした経緯について教えていただけますか?

大韓航空で地上職員として働いていた頃から、いつかCAになりたいという夢がありました。飛行機の中で働くことに憧れがあったんです。当時は外資系、日系の航空会社のCAの募集を見つけては何度も応募をしましたが、なかなか採用には至りませんでした。でも当然といえば当然です。今でこそ、男性CAの採用は増加していると聞きますが、当時はまだ少なく狭き門だったように思います。地上職の経験はあっても、CAとしては未経験ですからね。

転機となったのはCAの知り合いからの「LCCもCAを募集しているよ」という一言。それをきっかけにPeachの求人を知り、実際に応募したところ内定をいただきました。結果的にCAとしての勤務期間は3年でしたが、とても楽しくやりがいのある仕事で、私にとっては天職だったと思います。

ー天職だったCAからなぜ広報に職種を変えられたのでしょうか?

やはり「いつまでもできる仕事ではない」という思いが個人的にありました。多いときは1日4便勤務(当時)など体力も必要ですし、30代が近づくなか「このままでいいのかな?」と漠然と将来について考えることもありました。

そんなモヤモヤを抱えていたときに、CAとして韓国で開催された旅行万博イベントにアサインされたんです。のちに広報部の上司となる部長さんがいらして、そこでキャリアについて相談させていただきました。そしてイベントから数カ月後に「広報のポジションが空きそうだから、良かったら社内制度を使って受けてみたら?」と声をかけてもらったのが、のちに広報になったきっかけです。

そもそも自分が広報になるとは想像もしていませんでした。当然未経験ですし、資格もありません。それでも上司からは「現場経験があるから大丈夫、仕事はやりながら覚えてくれたらいいよ」と言われ、CAから広報に職種を変える決意をしました。上司の言葉があったからこそ、広報としての一歩を踏み出せましたし、今もこうやって広報という仕事を続けられているのだと思います。

セレッソの広報として働く上で意識していること

ー長年在籍した航空会社からセレッソに転職された経緯を教えてください。

20代のキャリア全てを航空業界に捧げたので、30代を迎えるにあたって新しい挑戦をしたかったんです。広報としてより成長できる場を求めて転職活動を始めたので、まさか自分がプロサッカークラブで働くことになるとは想像もしていませんでした。セレッソに入社したのは本当に偶然です。たまたまセレッソの求人を見つけて応募したところ、採用に至りました。

ー松本さんは大阪出身とのことですが、もともとセレッソとの接点は?

小学校から高校までサッカーをやっていましたし、自宅から最も近いプロサッカーチームがセレッソだったので、友人らと長居に試合を観に行くことはありました。


ー現在、セレッソの広報としてどういった業務を担当されていますか?

主な業務はメディアコミュニケーションで、具体的には取材の企画提案と調整をしています。他にはウェブサイトやSNSの管理と投稿などがありますが、これらの業務は自分だけでなく、他のメンバーと協力して進めています。入社3年目を迎えた2023年シーズンからは様々な経緯がありヤンハンビン選手(2023年加入)のサポートをさせていただいてます。彼は日本語の早期習得に意欲的だったので、ベッタリ隣につくスタイルにはせず、取材対応やチームミーティング、私生活面など、サポートは要所のみとしています。プロ通訳の実績がない自分がアスリートのサポートをするということで不安で必死でしたが、統括部と自分を受け入れてくれたハンビン選手には感謝しています。

ー今も韓国語のスキルが活きているんですね。セレッソの広報として働く上で意識していることはありますか?

私が意識してるのは、セレッソを全く知らない人が見ても分かるような発信です。例えば、初見の人が見ても分からない呼称は単体で使わないようにしています。

あとこれはセレッソに限ったことではありませんが、チームの広報業務は意識しないと同じ作業の繰り返しになりがちです。もちろん日々のルーティンワークをおろそかにしてはいけないので、それに関しては片手でできるようにしながら、常に右手はちゃんと空けてアンテナを張ることを意識しています。


サッカー雑誌以外にも積極的にアプローチ、新規ファン開拓へ

ーセレッソに入社してから一番印象に残っている施策は?

『anan web』に上門(知樹)選手と北野(颯太)選手のインタビュー記事が掲載されたことです。私は以前から新規ファンを開拓するため、サッカーとは直接関係のない媒体へ積極的にアプローチしてきました。メディアの方々と日々やり取りするなかで、選手の資料を添付するなど地道な活動を続けたことが、『anan web』での記事掲載につながったと思います。

この記事が公開されたことで、普段はサッカーを観ないような方々にも多少はセレッソを知ってもらえたと思いますし、なにより選手の新しい一面を世に出せて良かったです。今後も女性誌に限らず、様々なジャンルの媒体に掲載されることを目指しています。

ー今回、女性向けのメディアに取り上げてもらう際に気を付けたことなどはありますか?

サッカー要素を薄めるように気を付けました。彼らはサッカー選手なので、サッカーに関する話題を完全には無くせないものの、『anan web』の女性読者の興味を引くにはサッカー以外のネタは必要不可欠です。2人にはプライベートな話題を用意してもらったり、取材には私服で来てもらったりと色々と協力してもらいました。

ー選手の協力もあって成り立っていた記事だったんですね。なかには取材に対して消極的な選手もいるかと思いますが、メディアへの露出についてどのように説得や理解を促していますか?

例えば「この取材を受けてくれないかな?」とストレートにお願いをすると、選手たちも構えて考えてしまうと思うんです。なので依頼する際には、その取材がセレッソに来た理由、なぜ取材対象として選ばれたのか、その取材に応じることによる効果をできる範囲で説明します。

選手は個人事業主ですし、イメージも非常に大事です。そのため、取材を受けることが選手自身の価値向上につながることも必要に応じて伝えています。ただ幸いにも、ほとんどの選手が協力的なので、広報としては非常に助かっています。

ー最後に、セレッソの好きなところを教えてください。

好きなところはファミリー感ですね。現場スタッフ、選手との日頃のコミュニケーションもまるでヨーロッパクラブのような感じ。すごく大きな声で「おはよう!」と言って、目を見て挨拶し合ったり、それが外国籍のコーチや選手だったら、絶対に握手やハグから始まります。入社当初、転職組の自分にとってかなり新鮮でした。そういう親しみやすさやフレンドリーなところは、セレッソに限ったことではないかもしれないですが、セレッソのいいところですし、一体感があるところはチームの強みだと感じています。



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