借金100万で自己破産の26歳夏#3


担当弁護士との面談が終わり、いよいよ今月から債務やローンの支払いが無くなることになった。仕事が早い。
自己破産の申請にあたって、返済ができなくなった僕の今までのストーリーを聞かれ、話しながらとてつもなく情けなくなった。仕事に就いたりもしたけれど結局上京してからほとんどがアルバイト生活、金が足りなくなり借入をする自転車操業。なんというペラペラな上京3年間。優しい弁護士さんだが、僕と同じくらい情けなさを感じていたと思う。
話すに至らなかったような細やかな記憶も蘇った。恋人の誕生日のために借り入れをしたりもした。やけ酒がしたくて借り入れしたりもした。タバコをやめられずに借り入れしたりもした。未来の自分がなんとかしてくれるとたかを括って現状を見て見ぬふりしてきた。必要のない借り入れが未来の僕を苦しめている。しかし昔の僕はそんなこと微塵の心配もしていなかった。結果が自己破産。別に面白くもない。笑えない。しょうもないだけ。
昨年のクリスマスに借り入れで予約したホテルとレンタカー、前日にサンタさんからノロウイルスをプレゼントされ全てキャンセルしたときにもうこんな借り入れ生活やめておくべきだった。あれはきっと見かねた神からのお告げだったのだ。
弁護士さんは二度ほど、もう借り入れはできないこと、闇金には手を出すなということ、自己破産は現状の立て直しの手段にしかすぎないこと、今後のことをよく考えて生活することを僕に諭した。僕の不甲斐ない人間性を見抜いて二度も口に出してくれたのだろう。もちろん僕のような客は少なくないだろうし、大多数の一人に過ぎないのだろうが、僕の未来なんて知ったこっちゃないはずの弁護士さんがわざわざ釘を刺してくれたことを忘れないで戒めて生きたい。もう今までのような簡単な逃げ道はないのである。26歳の夏で、キモい僕とオサラバしたい。




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