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猫に食べさせてはいけないもの

🧂塩気が強いもの

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猫は人間とちがい『汗』を出すことができません。
ナトリウムは尿として排泄するしかありませんが、塩分を摂りすぎて腎臓の濾過キャパシティを超えてしまうと、内臓に大きな負担がかかります。

内臓ダメージが蓄積すると、高齢になった際『慢性腎不全』を引き起こすリスクが高まります。

食塩以外では『うま味調味料(グルタミン酸など)』も塩分。
おやつ系はキャットフードより高めの塩分濃度で作られているものが多いです。

塩分濃度が高い方が食いつきがいいので『喜んで食べる姿がカワイイから』と気が緩みそうになりますが、摂取量には十分気をつけましょう。

パッケージに書かれている『摂取量の目安』は、塩分ではなくカロリーをベースに計算されているので、ライフステージや体調によって適量はかわります

🍟人間用の加工食品・料理

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ハム、ソーセージ、チクワ、カマボコ、お惣菜、お菓子、パン、おつまみ、スパイス類、干物、お酒など。
人間用の加工食品・料理・飲み物・調味料は総じてNG!!

塩分・糖分・油分・食品添加物・刺激・・・すべて人間基準なので、猫には内臓負担が大き過ぎるのです。

 チョコレート

強い香りに惹かれて欲しがる猫が多いですが、犬同様に危険です。
少量なら問題ありませんが大量・定期的に摂取すると中毒症状を起こします。

冷蔵庫などにしっかり隠し、見られないように食べましょう。バッグに入れっぱなしにしておくと、夜中に漁って食べられたりします。
猫の手で開けられない場所に隠しましょう。

パン

市販のパン(特に菓子パンや惣菜パン)は塩分・糖分・添加物が多いので内臓負担が大きいです。小麦粉は腸壁にこびりつきやすいので便秘や下痢のリスクもあります。

トースター横などに放置していると、袋を食い破りビニールごと食べたりしますので、猫の手で開けられない場所に隠しましょう。

牛乳

『猫=牛乳』というイメージがありますが、実は下痢をしてしまうリスクがあります。

牛乳に含まれる『乳糖』を分解するラクターゼ(加水分解酵素)が少ない『乳糖不耐症』の子が多いためです。(日本人も同様)

中には平気な子もいますが、高齢猫や子猫が下痢をすると命に関わる危険もあります。赤ちゃん猫には必ず『猫用ミルク』をあげてください。

また、肉食動物である子猫にとって、草食動物のお乳は栄養不足。成猫にとってはハイカロリーで肥満の元になります。

チーズ

人間用のチーズには(ハードタイプで高価なものほど)塩分が含まれています。
また、ハイカロリーでもあるので極少量に留めるかあげないようにしましょう。

プレーン(無糖&無添加)以外のヨーグルト

甘味料、香料、酸味料、安定剤などの添加物が多く、カロリーも高いのでNG。

無糖&無添加のヨーグルトは腸内環境を整え、口臭予防や腎不全の回復に効果があったという声があります。

ただし現時点での医学的根拠はなく、乳糖不耐症による下痢リスクもありますので、ごく少量から様子をみつつ試してみましょう。

🥑危険な野菜

ネギ類・ニラ・ニンニク

猫だけでなく、人間以外の殆どの動物とって有害です(ネズミすら食べない)。

辛味がありニオイもキツいので、食べたがる猫はまずないでしょうが、加熱調理された料理は食べてしまう危険性があります。食事中に席を離れる時は注意しましょう。

アボカド

『ペルシン』という殺菌作用が毒素となります。
少量なら問題ありませんが大量・定期的に摂取すると中毒症状を起こします。

ただし、ペルシンの含有量はアボカドの産地・種類によっても大きく変わります。
ペルシンが少ない場合は豊富なビタミンがメリットになる場合もありますので、手作り食に使う際はよく調べ、ペットの体調をみつつ与えましょう。

🐚巻貝アワビ・サザエ・トコブシ・トリガイ

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これらに含まれる『ピロフェオホルバイド』という成分が皮膚炎「光線過敏症」を引き起こし、そもそも毛の薄い耳は壊死する危険性があります。
炎症の過程で激しく耳を掻き毟るので傷が広がり、ひどいと完全に耳を失ってしまいます。

🐚二枚貝(牡蠣・アサリ・ハマグリ・シジミなど)

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これらに含まれる『チアミナーゼ』という成分はビタミンB1(チアミン)を分解してしまい「急性ビタミンB1欠乏症」を引き起こす危険性があります。

ホタテはウロを取り除いた『貝柱の部分』に限り、十分に加熱すれば食べられますが、あえて与える必要はありません。

 🐙生のエビ・カニ・イカ・タコ

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二枚貝と同じ『チアミナーゼ』問題の他、加熱しても消化に悪く、猫の食事には向いていません。

🐟大量の青魚(アジ・鰯・サバ・秋刀魚・ブリ・キビナゴ・マグロ)

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青魚は栄養豊富なものの、脂肪分が多め。

血液サラサラ効果で知られる『不飽和脂肪酸』は、過剰摂取すると『イエローファット(黄色脂肪症)』を引き起こします。

イエローファット(黄色脂肪症)とは?
不飽和脂肪酸は消化分解で『ビタミンE』を大量に消費します。
青魚を食べすぎるとビタミンEが不足してしまい、脂肪が炎症を起こすのがイエローファットです。

少量なら良い食材でもある

猫にも必須脂肪酸はあり、それは必要不可欠な栄養素です。
品質と適量を守るのであれば、青魚は猫の健康に役立ちます。

マグロなど大型魚介は水銀に注意

大型魚は自然界の水銀が生態濃縮されています。
人間でも妊婦さんは赤ちゃんへの影響を踏まえて、妊娠中の摂取量に制限が設けられています。
猫はカラダが小さいので、与える量・頻度はより気をつける必要があります。

魚介類の水銀濃度(高い順)
バンドウイルカ(6.62)、コビレゴンドウ (1.49)、メカジキ(0.71)、ツチクジラ(0.70)、マッコウクジラ(0.70)、キンメダイ(0.54)、メバチマグロ(0.54)、クロマグロ(0.53)、エッチュウバイガイ (0.49)、ミナミマグロ(0.39)、イシイルカ(0.37)

🐟淡水魚(川魚)

生は寄生虫だらけ、加熱しても小骨が多く可食部も少ないため、あえて選ぶ理由はありません。

 🐷生の豚肉

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生の豚肉には『トキソプラズマ』という寄生虫がいます。

健康な成猫であれば、まず感染しません(しても発病しません)が、子猫やシニア猫など抵抗力が低い状態だと死亡するリスクがあります。

十分に加熱した上で細かくカットして、消化をよくした豚肉は猫の健康に役立ちます。

生肉自体はNGじゃない

『鶏や牛ならいいの?生肉なんて細菌だらけで危険!』という声もありますが、猫はもともと肉食獣であり、人間とは比較にならないほど強い消化器官をもっています。

生肉は酵素や水分、非破壊の栄養素が豊富。ストレスを減らす効果もあり猫の健康に役立ちます。

生肉だけでは栄養が偏る

野生の猫は狩った小鳥やネズミを丸ごと食べます。
これは軟骨や内臓に含まれる栄養素、すべて合わせて『完全食』となるからです。

お肉(筋肉・脂肪)の部分だけでは栄養に偏りが出てしまいます。
生肉は主食ではなく補助食、おやつとして上手に与えましょう。

脂肪の少ない部位を与える

脂肪の多さは 牛>豚>鶏
圧倒的に鶏肉がヘルシーです。
特にササミの脂質は100g/1.1gとダントツ。
ムネ肉も100g/1.9gと優秀(さらに価格もお手頃)
※鶏皮は脂質のカタマリなので取り除く

牛肉はトキソプラズマのリスクが少ない肉ですが、脂質は多め。
一番ヘルシーな部位(ヒレ肉)でも、与えるのは極少量にしましょう。

🥬アクの強い野菜・飲み物

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『シュウ酸』を多く含む、アクの強いものを多食すると『尿路結石症』になるリスクがあります。
特にオスは注意しましょう。

シュウ酸を多く含む野菜
ほうれん草、たけのこ、キャベツ、レタス、カリフラワー、ブロッコリー、さつまいも、ナス など
シュウ酸を多く含む飲み物
お茶(玉露・抹茶・煎茶・番茶・ほうじ茶)、ココア、コーヒー、紅茶 など。
シュウ酸含有量は飲み物の方がずっと多いです。『コップの中のドリンク』を飲みたがる子は多いので、飲みかけの放置に気をつけましょう。

🍇ブドウ・レーズン

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実はブドウがNGな理由はまだハッキリとわかっていません。
果実より皮の方が毒性が強いそうです。

犬の場合は腎機能障害を起こし、死亡したケースがあります。
肉食獣の猫がブドウを食べるメリットもありませんので、あげないようにしましょう。

 🐶ドッグフード

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猫は完全肉食、犬は雑食です。
必要とする栄養素、消化吸収できる栄養素が異なるため、当然フードの成分も違います。

長期にわたってドッグフードを主食にすると、タウリンやビタミンAが不足して目や心臓に障害を起こす危険性があります。

また、ドッグフードには使用が許可されている『プロピレングリコール』という酸化防止剤は猫にとって有害なので、キャットフードへの添加が禁止されています。
(しっとりしたセミドライ系のドッグフードによく使われている)

犬と猫が同居する家庭では、犬の食事場に猫が入らないようにする、残したフードをそのままにしないなど、盗み食い防止の工夫をしましょう。

🔴大量のレバー

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レバーは非常に栄養価の高い食材ですが、食べすぎるとビタミンAの過剰摂取となり、骨の変形など栄養障害のリスクがあります。

ビタミンAの適量は?

猫が必要とするビタミンAの量は 333IU 。
安全上限は 33,333IU とされています。

FEDIAF (欧州ペットフード工業会連合)による栄養ガイドライン
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/12/2/12_81/_pdf/-char/ja

ビタミンA含有量(100gあたり)

牛レバー:1,100 IU
豚レバー:13,000 IU
鶏レバー:14,000 IU

牛レバーのビタミンA含有量は、鶏・ブタの1/10。
過剰摂取を避けるのであれば、牛レバーが安心です。
牛レバーの場合、1日に30gまで(330 IU)が適量になります。

 🥜ナッツ類

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マカデミアナッツに中毒性があるとの報告がありますが、まだ詳しくはわかっていません。
アーモンド、くるみ、カシューナッツ、ピーナッツなど、いずれも脂質が多く消化も悪いです。

肥満や嘔吐の原因になるので、あげないようにしましょう。
(塩が添加されているものは言わずもがな)

🥚生卵の卵白

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生の白身に含まれる『アビジン』という抗菌タンパク質が問題です。
アビジンは黄身を保護する作用をもっていますが、それが『ビタミンB群 ビオチン』の吸収を阻害してしまいます。

生の白身を多量摂取すると『ビタミンB群 ビオチン欠乏症』となり、被毛がボサボサになったり、皮膚疾患などを引き起こすリスクがあります。
これは人間も同様なので『ロッキーのマネは病院送り』になります(古いか!)

アビジンは熱に弱いので、ゆで卵・温泉卵など『加熱された白身』は問題ありません。
また、卵黄は栄養豊富なのでおやつとしてあげても問題ありません。
(ただしカロリーが高いので量には注意しましょう)

🦴魚や肉の骨

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嘔吐だけでなく、ノドに刺ささると非常に危険です。
細い小骨程度でも、長さがあると体内に貫通してしまうことも。
『鯛の骨』は特に硬いので、人間でも死亡例が少なくありません。

犬と違って硬い骨をかじる習慣もなく、もともと非常に消化に悪いものなので食べさせるメリットはありません。

🙂あとがき

猫が食べてはいけないもの、意外と多いんです!
SNSなどで、あげてはいけない物を与えて『かわいい〜』のコメントが殺到している投稿をいくつも見てはため息をついてきました。

中には丁寧に注意している方もいますが、『知らない方・かわいければ何でもいい方』は予想以上の多さで・・・一人一人に声をかけるのには限界があると思い知りました。

問題が起きた後ではなく、起きる前に防ぎたい。健康被害をうけるのは飼い主ではなく猫達なのですから。

🐾🐾🐾

当マガジンでは『猫飼育の超基本』をリスト形式で掲載していきます。
あくまでマニュアル・実用的な内容なので、エモい部分はありません。

おやつを買い与える、おもちゃを買い与える、そうしたプラスアルファの愛情を注ぐ前に、まずは『してはいけないこと』を知って欲しい。
後悔先に立たず。
愛情が毒にならないように。

🐾🐾🐾

『これもダメだよ!追加して!』というNGフードがありましたら、是非コメント欄にお願いいたします。

自然栽培・オーガニック食品の生産者に還元します