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【恋愛】沖縄で、カエルの唐揚げを食べながら、僕はどうするのが正解だったのだろうか

企画への参加です。
1番最後に企画をご紹介いたします。

30数年も前のことを書きます。僕が、たぶん22歳前後でした。
記憶が曖昧なのですが、その曖昧な記憶を、ただ、綴りたいと思います。

◆サヤカさん(仮名)

友人に連れられてスナックに行きました。
僕は、人生初スナックでした。

そのスナックで出会ったお姉さんが、サヤカさんです。
仮名なのはプライバシーに配慮してではなく、正しい名前を思い出せないからです。

5つくらい年上で、おっとりしていて、けっこう天然でした。純粋と言った方が正確かもしれません。
顔やスタイルは、磯山さやかさん似です。

友だちが、爆風スランプの『大きな玉ねぎの下で』を歌い、イイ曲だなぁと思いました。
そんなことを憶えています。


携帯電話のない時代です。ガラケーさえなかった頃です。

たぶん僕は、サヤカさんに電話番号を聞いたのだと思います。
サヤカさんが店にいる日かどうかをサヤカさんに確認した上で、僕1人で、そのスナックに行くようになりました。

その後、たったの2~3回でしたが。



「私、もう、お店やめるの」

お店でサヤカさんが、小声で言いました。

沖縄に帰る、と言うのです。
沖縄県出身と知って驚きました。サヤカさんは標準語でしたから。


「内地は合わないって、そう分かったの」

そういうサヤカさんは、少し寂し気でした。

僕は、西村京太郎さんの小説『幻奇島』を読んでいたので、そのことを話題にしました。



「ニライカナイって、小説で知ったんです」

それをキッカケに、沖縄トークで盛り上がりました。


「宝の味って書くの~」

って教えてもらい、(沖縄の男って、ロマンチックなんだろうなぁ)って思ったことを憶えています。


「僕、沖縄に、旅行に行きます」と言いました。

「うん、来て来て~、いろいろ案内してあげる」
「沖縄では、カエルの唐揚げ食べるのよ~」

そんな話もしました。


「沖縄には、電車がないのよ」
「私ん家は嘉手納なの。嘉手納基地って知っているでしょ」

などと教えてもらいました。

僕は、 嘉手納も嘉手納基地も知りませんでした。
どうせ使うことになるからと、僕はスグに、沖縄県の地図を買いました。


◆旅行ではなく、旅とも言えず

泳ぐにふさわしい時期ではありませんでした。

「沖縄の人は、あまり海で泳がないの」

とも、サヤカさんから聞いたような気がします。

僕は、サヤカさんと自由に会いたいので、ツアーではなく航空券を買いました。宿は、嘉手納になるべく近いペンションを探しました。
レンタカーを使うので、車を置けるのか、宿に直接電話で確認したのを憶えています。

人生初の飛行機でした。
1人で、なにも分からないのに、なんとかなりました。


到着した日は、「カエルの唐揚げが美味しい居酒屋に行こう」となっていました。

電車がないのに「駅のすぐ近く」とサヤカさんは言います。
よくよく聞いてみると、道の駅があると言うんですね。

駅が、ロータリーでした。

居酒屋が見つからない、なんてことのないように昼間に下見をしたのです。見つからなかったら、携帯電話がない時代です。大事件になっちゃいますから。

僕は夕方、ホテルからサヤカさんに電話しました。
到着を告げ、時間を確認します。

予定通りの居酒屋に、現地集合です。
ちなみに当時は、泥酔でなければ、車を運転することも許容される文化だったのです。

僕たちは無事、再会しました。

カエルの唐揚げも食べました。味は、鶏の唐揚げとほぼ同じです。
僕は、どうしてもビジュアルを思い浮かべてしまうので、あまり多くは食べられませんでした。


◆愛しさと切なさと、やせ我慢と…


「明日のことなんだけど」

サヤカさんが言いました。

「明日のことなんだけど、やっぱり案内できないの」


まさかのドタキャンです。

「友だちが、『その気にさせちゃダメよ』って言うのよ~」
「今日のことも、『会っちゃダメ』って言うのね」
「さすがにそれは申し訳ないから、こうして来たの」
「友だちが、『期待させちゃうからダメ』って」
「すごく怒られちゃった~」


僕は、どんな顔をしていたのか分かりません。

期待しているけど、それは言えない。
期待などしていない、とも言えない。


「明日、予定も入れちゃったの」
「なんか、ごめんね」


僕は、それが正しいのかも分からないまま、やせ我慢して、説得を試みませんでした。

困らせてしまいそうで、
嫌われてしまいそうで、
そこまでしか考えられませんでした。

僕は、変な、苦笑いをしていたのかなぁ。
仏頂面ではなかったハズです。


◆ドフリー

2泊3日の予定でした。

翌朝、24時間以上のドフリー状態に、僕は気が遠くなりました。

1つだけ決めました。
サヤカさんに電話しない、です。


車と地図しかありません。
車と地図はあります。

時間も有り余っています。

サヤカさんのガイドを当てにしていたので、沖縄の観光地さえ知りません。
何度も書きますが、カーナビもインターネットもない時代です。

ガイドブックを買うという発想が、浮かびませんでした。


この沖縄本島を、一周してみようか?

ふと、そう思い、ただ車を走らせました。
海が見れて、芝生が広がる観光地。たぶん、万座毛だったと思います。


ここに寄りました。
僕1人でした。


好きになりつつあった。
好きとは言えなかった。
好きになりたかった。
好きと伝えたかった。
好きになっちゃダメだったのか。


万座毛から見た海は、エメラルドグリーンではありませんでした。

空が曇っていたからでしょうか。
僕が曇っていたからでしょうか。


◆帰路

僕は、どこかでパイナップルを2個買いました。

どうやって食べたのか、味、もう1つは誰にあげたのか、これらを何も思い出せません。

憶えているのは、  オリオンビールの味です。


オリオンビールは、何杯でも飲めるような、そんな軽い味です。
青い空や眩しい日差しにピッタリ! そういう味です。

愛しさと、やせ我慢の味です。



◆企画のご紹介

今回は、チェーンナーさんの、この企画に参加しました。


【勝手にノッカリ企画】あなたの沖縄の「想い出」です。


チェーンナーさんは、この ↓


ひがちゃんの企画に乗っかっています。

僕は55年の人生で、沖縄を訪れたのは、この1度切りです。
他に、書くネタがありませんでした。


◆〆

今日の内容は、妻のゆかりちゃんに話したことのない想い出です。
出会う以前のことはいえ、ゆかりちゃんが不愉快にならないか心配です。


僕は、ゆかりちゃんが大好きなのです。




おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第691話です

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