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クチだけの僕の心に品川さんの言葉が刺さり、真に上下のない世界観にデビュー

「職業に貴賎なし」

この言葉を僕が知ったのは、20代か30代の前半でした。
アニメ『名探偵コナン』のキャラクターの1人、灰原 哀はいばらあいが言い放った、

「教師ならば子どもたちに、まず『職業に貴賎きせんなし』を教えてしかるべき」

というセリフも、印象深く記憶しています。


僕は、この言葉の意味を”知って”いました。
妻のゆかりちゃんは、この言葉を知らないのに”実践”してくれました。

今日は、そんなことを綴ってみます。

◆職業に貴賎なし

・読み方:しょくぎょうにきせんなし

・意味

職業による貴賎の差はない、という意味の表現。一般的には、どのような仕事も社会に必要とされているものである、働くこと・職務を全うすること・労働をして稼ぐことは等しく貴いことである、人を仕事の内容によって差別すべきではない、などといった意味合いで用いられることが多い。

引用:weblio辞書


』は、身分や地位が高いことです。
とうとい、とも言います。

せん』は、身分や地位が低いことです。
いやしい、とも言います。

『貴』や『賤』は、職業にはありません。

職業には、貴いも賤しいもないのです。


僕が思うに、貴賎があるのは『その人の働き方』です。

政治家や医者、弁護士などは「先生」と呼ばれます。
立派な先生方がいるのは事実です。
しかし、賄賂ワイロを要求する政治家もいますし、医療ミスを揉み消す医者や、悪徳と呼ばれる弁護士もいたりします。これも事実です。


僕が、「職業に貴賎なし」というフレーズをしょっちゅう使ったのは、高校生の大学受験に携わっていた時でした。
保護者の価値観で、高校生の『夢』や『好きなこと』が潰されてしまうことを守るために引用したのです。


◆「属性」という言葉

「属性」という言葉があります。

・読み方:ぞくせい

・意味

ある事物に属する性質・特徴。「ゴムの―である弾力性」

哲学で、事物が本来具有する根本的性質。それなしには実体が考えられないような本質的な性質。

コンピューターで、ファイルのもつ性質。また、表示・印刷などの際に設定する特性。アトリビュート。

引用:weblio辞書


辞書にはこのようにありますが、僕の知る不動産業界では別の意味で使われていました。

「あのお客さんは属性が高い
「あのお客さんは属性が低い

このように言うのですが、このときの『属性』は、

職業、業種、役職、勤続年数などで、社会的に評価されるランク

という意味でした。

銀行の住宅ローンの審査が、通りやすいか否かは、この”属性”で判断されるのです。
住宅ローンの審査が通らないお客さんに、一生懸命営業しても時間のムダになりますので、「まず属性をチェックしろ」と口酸っぱく指導されました。


◆タクシー運転手

37歳で独立し、起業に失敗して、不動産営業マンを経由して、僕はタクシー運転手になりました。

(落ちるところまで落ちたなぁ)

と思いました。

乗務中、知人がお客さんとして乗車するケースを怖れました。

僕は「職業に貴賎なし」という言葉や、その言葉の意味を知っているだけでした。僕の心には、明確に”職業に貴賎”があったのです。


◆品川庄司、品川さんの言葉

お笑い芸人”品川庄司”の品川さんが、このようなことを言っていました。

「下とも同等、だから、上とも同等」
「下の人を見下しちゃうと、上の人にへり下ることになる」

僕は、一般的に『上の人』といわれるその属性を、あがめたり怖れたりしません。
その人の内面に目を向けて、耳を傾けようと、そのように心がけています。

『上にへり下る人間ではない』と、自分をそのように思っていたのです。
しかし僕は、自身の”タクシー運転手”という職業を下に見ていました。


品川さんのセリフは、

「じょーじさん、あなたは下の人を見下しているのだから、その本性は、上の人にへり下っているのですよ」

という意味となり、僕の胸を鋭く突き刺したのです。

しばらくして僕は、このnoteに”タクシー運転手”という経歴を書くことができるように変わりました。


◆最近の妻は、ときどき首をかしげる

ゆかりちゃんとは、僕が不動産会社の営業マンのときに出会いました。
約7年間の遠距離恋愛を経て、結婚しました。

不動産営業マン
ゆかりちゃんと出会い交際開始(遠距離恋愛)
  ↓
建築家(たくみ)を目指し工務店勤務
  ↓
タクシー運転手
  ↓
愛知県に引越し、ゆかりちゃんと結婚
タクシー運転手
  ↓
運行管理者
同じタクシー会社での職種変更
  ↓
脱サラ
現在、文筆家

このような変化を経て、現在に至ります。
結婚丸7年です。8年目に突入します。

ゆかりちゃんは、属性がどんどん下がる僕を許容してくれたのです。

ゆかりちゃんは僕と違って、「職業に貴賎なし」なんて、そんな偉そうな能書きを言ったりしません。

でも、「職業に貴賎なし」を、実践してくれました。
このような女性は、そうはいません。

日本で1人しかいない希少な女性に、僕は巡り合えたのです。
このことを話すと、最近のゆかりちゃんは首をかしげ、こう言います。

「あの頃の私、なんでだろう?」

真剣に考え込む様子は、まったくもってジョークには見えません。


◆〆

この記事は、過去記事の書き直しです。

過去記事のが面白いので、ここでもご紹介いたします。

僕は、出勤の準備を終えて珈琲を入れていた。時刻は6時36分。
土曜日だから、ゆかりちゃんはまだ寝ている。

僕は、くしゃみをした。

すると寝室のドア越しに、ゆかりちゃんが何か言い出した。

(ああ、僕のくしゃみで起こしちゃったかぁ、ごめ~ん)と思った。

「わたし今日、臭うから~、ここで~」

ドア越しに聞こえるゆかりちゃんの大声。でも意味が分からない。

僕は寝室のドアを開けて、「どゆこと?」と聞いた。

「ん? はっ!」
「寝てた~、夢見てた~」

と、ゆかりちゃんは言った。今日は臭うらしい。


僕はゆかりちゃんが大好きなのです。




おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第678話です

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