第482話 『オリンピック男子体操団体決勝』 これに勝るエンターテインメントがあるだろうか⁉
昨夜は、男子体操団体の決勝でした。
standエフエム(またYouTube)では、BSでしか放送されないと勘違いした発言をしましたが、
実際は、なんと! 地上波でも観れまして、無事に会社のTVで、生放送を僕は堪能できたのです!(僕の職場ではTVを観て良い環境なのです)
◆結論
当事者にしか分からないことがあります。
外野が、とやかく言っちゃダメです。
これが、今日の記事で1番大事なことです。僕が1番伝えたいことです。
◆予選1位
日本は、予選を1位で通過しました。
2位が中国。3位はロシアオリンピック委員会でした。
予選のルールは、4-4-3制でした。(こんな言葉があるのかな?)
4人がエントリーし、
4人が演技し、
3人の得点で計算する(1番低い得点はカットされる)、
というものでした。
1人までのミスは、得点に影響しません。
逆に言うと、1つの種目で2人以上のミスは、得点に大きなダメージを与えてしまいます。
ここは、
決勝では、4-3-3制に、ルールが変わります。
4人エントリーして、
3人が演技し、
3人の得点が採用されます。
最初から1人は演技をしません!
そして演技する3人の得点は、すべてチーム得点に計上されます。
ミスはミスで計上されるのです。
「ミスは許されない」というプレッシャーが、選手を襲います。
◆ロシアオリンピック委員会
ロシア勢は、組織的なドーピング問題による処分のため、国としての参加ができませんでした。
ドーピング違反歴のない選手たちは、個人資格で出場しています。
「ロシアオリンピック委員会」というチーム名?での、参加なのです。
国旗を振れない開会式…。
表彰式で、国歌も流せません。
代わりに、ロシアの作曲家チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」が使われるそうです。
本当に国家が、組織的ドーピングを行なったのなら、
不名誉をまとって参加するしかなかったアスリートたちに、
心の底からの懺悔をしてほしいと思います。
◆体操の得点
体操は、DスコアとEスコアの合計点を競います。
Dスコアは「難易度」によって得られる得点です。
当然、難しい技ほどDスコアが高くなります。
2回宙返りよりは3回宙返りの方が難しいですし、2回ひねりよりは3回ひねりの方が難しく、Dスコアが高くなります。
また、高難易度の技を「連続」で行なうと、加点が付いたりします。
「え~っ⁉ あの技の次に連続でその技をやっちゃうの~!」という、
「連続」も評価されるのです。
世界トップレベルの選手で、Dスコア「5.5」くらいが平均でしょうか。
Dスコア「6.0」というと、世界トップレベルでも数人しか挑戦しません。
対して、
Eスコアは「完成度」によって得られる得点です。
10点満点から【減点】するのです。
Dスコア「0」という簡単な演技を、完璧に、一切の原点なく行なったなら、
Dスコア「0」、Eスコア「10.0」、合計10.0となります。
現実的には、ほんの少しの「足の開き」「姿勢」などで、必ず減点されます。
世界トップレベルの選手で、Eスコア「8.5」というのが平均の目安でしょうか。
Eスコア「9.0」以上は、ほぼノーミスの演技です。
世界トップレベルの選手は、
Dスコア「5.5以上」、Eスコア「8.5以上」、合計14.0以上の高得点を狙い、競います。
Dスコア「6.5」という超難易度に挑み、
もし、大きな失敗をすると、
Eスコアが「7.0」とかもあり得ます。
この場合得点は13.5となり、世界トップレベル選手は満足できません。
Dスコア「5.5」に落として、Eスコアが「9.0」であれば、14.5です。
こっちが良かったとなります。
がしかし、
Dスコア「5.5」の技でも、失敗はあり得るのです。
ここが難しいところなのです。
話しを簡潔にまとめましょう。
合計14.5は、世界トップレベル選手でも「高得点」です。
世界トップレベル選手が、得意種目で、最高の演技を、ミスなくすると、
15点台の得点が出ます。
今大会では、15点台は、本当にわずかしか出ていませんでした。
個人種目別の、メダル争いが15点以上と思ってよさそうです。
◆6種目
男子体操には、種目が6つあります。
・床
・あん馬(クルクル回るヤツです)
・つり輪
・跳馬(跳び箱的なヤツです)
・平行棒(女子と違って、段違いではありません。そろっています)
・鉄棒
の、6種目です。
「床」の特徴は、『着地が何度もある』ということです。
着地が「ピタ」「ピタ」決まるのと、何度も動くのとでは、Eスコアに差が出てしまいます。
「あん馬」は、バランス種目なのです。
わずかなバランスのズレから、即、落下があります。
「つり輪」は、力(ちから)アピール種目です。
お国柄なのですが、今回も日本チームは、このつり輪を苦手としています。
「跳馬」は、1発勝負です。
「途中で立て直した」ということが、あり得ない種目です。
「平行棒」は、僕の個人的な意見になりますが、
「独創性と美しさ」が「際立つ」という、そんな特徴を持つ種目です。
「鉄棒」は、主に、離れ業で『魅せる』という種目です。
落下という、大きな減点があり得ます。
◆ローテーション
この6種目を、ローテーションして、競技します。
こんな感じです。(うまく見えるか心配)
床 → あん馬 → 吊り輪
↑ ↓
鉄棒 → 平行棒 → 跳馬
日本は予選1位でしたので、予選2位の中国と一緒に、「床」の演技からスタートしました。
なので、日本の最後の種目は「鉄棒」になります。
3位の、ロシアオリンピック委員会は、「あん馬」からスタートです。
ですから、ロシアオリンピック委員会の最終種目は「床」になります。
予選を通過した、12の国やチームが、2組づつ6種目に別れて、順々にローテーションするのです。
◆米田さんの素晴らしい人間性
「一抹の懸念」という思い。
「勝利の女神」という言葉。
「僅差(きんさ)」という単語。
日本チームが、跳馬を終えて平行棒へ移動するときに、
僕の中のリトルじょーじが、ささやいたのでした。
実況アナウンサーの、
「日本チームは、予選で15.3を出した橋本を、この平行棒では出しません」
という言葉を耳にしたからです。
アナウンサーは、
解説者の米田さん(2004年のアテネオリンピックでは日本男子体操のキャプテンとしてチームを牽引し金メダルを獲得)に、質問しました。
「どうしてと、思われますか?」
橋本大輝さんの予選の、15.3は、確か全選手の中でも、かなりの高得点でした。
前々から、「ここで橋本を休ませる」と決めていたのか?
さっきの跳馬の着地が、少し腰に負担があった感じだったので、そのために休ませるのか?
そもそも、3名のエントリーは直前なのか?
(直前での変更が可能なのか?)
僕は、さまざまな可能性を考え、そして妄想しました。
だから、僕の耳はダンボになりました。
が、
米田さんは、「きっと考えがあってだと思います」と、そのような感じで、当たり障りのないコメントをしていました。
米田さんは、さすがです。
不確定なことを、憶測で語るようなマネはしませんでした。
外野が、要らんことを言っちゃアカンのです!
選手にしか分からないこと。
監督にしか分からないこと。
コーチにしか分からないこと。
そのタイミングでなければ分からないこと。
当事者でなければ、分からないことが、たくさんあるのです。
◆この時の得点状況
1位のロシアオリンピック委員会が、3.0ほどリードしていました。
日本と中国は、ほぼ同点。
平行棒と鉄棒という種目を考慮すると、日本が有利でした。
今回の中国チームは、鉄棒を少し、苦手にしているのです。
きっと、中国には勝てます。
問題は、ロシアオリンピック委員会です。
しかし、その差は3.0・・・。
残り2種目だから、1.5づつ追い上げればいい。
1.5は、3人で割ると、1人0.5です。
超~~~僅差!
「ない」と言ってもいい差です。
最終種目は、日本の鉄棒も、ロシアオリンピック委員会の床も、ともに得意種目です。
どちらに、勝利の女神が微笑んでもおかしくありません。
金も銀も、どちらもあり得ます!
◆0.103差
日本の最後の演技者は、若きエースの橋本大輝さんでした。
完璧な演技でした!
涙が出ました。
着地を決めた瞬間に、ガッツポーズと雄叫びが出ました。
勝ったと思いました。
ロシアオリンピック委員会の、床の最終演技者の、得点発表待ちになりました。
ロシアオリンピック委員会のメンバーがアップになりました。
4人中3人目には、涙が浮かんでいます。
ドーピング問題で、出場が危ぶまれ、国旗も振れず、国歌も流れない。
「だから、せめて!」と、祈る表情です。
僕は、一瞬、
ロシアオリンピック委員会の選手たちの涙に、
その表情に、
「『ならば』って、神さまが思いそう」
と、
0.000001秒だけですが、思ってしまったのです。
結果は、
0.103差で、ロシアオリンピック委員会、金メダル!
日本は、銀メダルでした。
◆日本の敗因
男子体操団体。
日本チームの敗因は、僕です。
僕が、ロシアオリンピック委員会の選手に、その不遇な立場に、一瞬、同情したからです。
彼らなら、母国に帰って、
「ほら! ドーピングなんて要らないんだよ!」
って言うんじゃないかな・・・。
言わせてあげたい、って・・・、
勝負を決するその瞬間に、そんな思いが、僕の脳裏をよぎってしまったのです。
それが、0.1 足らなかった原因です。
残り、0.003は、
愛する妻が、男子体操団体決勝ではなく、
男子バレーボール(決勝ではない)を、観戦していた・・・
という、
夫としての不甲斐なさです。
ゆかりちゃんは、一切、悪くありません。
僕です。
僕が、ゆかりちゃんにもっと愛されていたならば、
日頃の言動が、もっと愛に満ちていたならば、
ゆかりちゃんは、きっと自発的に、
男子体操団体の、日本の金メダルを強く願い、
生放送を観ながら、金メダル獲得の念を送ったのです。
自発的にです。
だから、僕のせいなのです。
◆必ず僅差になる
「不断の努力を結集した者同士の戦いだ。必ず僅差になる」
どのマンガだったか忘れてしまいましたが、そんなセリフを憶えています。
だから、
最後は、運でも、念でも、応援でも、声援でも、
どんな小さなものでも搔き集める『執念』のようなものが必要になると思うのです。
それが、1位と2位の差、だったりします。
長年シルバーコレクターをしていて、初めて『優勝』というタイトルを得たときに、僕は実感しました。
「1位と2位は僅差に見えて、実は僅差ではない」と。
『執念』という面では明らかに、ロシアオリンピック委員会の選手たちが、上でした。
◆1番言いたい『結論』を、もう一度
冒頭の、◆結論 を、コピペします。
当事者にしか分からないことがあります。
外野が、とやかく言っちゃダメです。
これが、今日の記事で1番大事なことです。僕が1番伝えたいことです。
僕のような外野が、とやかく言っちゃアカンのです!
なので、ここまで読んだ方は、すみませんが、この記事は、
すべて、忘れてくださいませ!
◆〆
「すべて忘れて?」
「なら、書かなきゃええやん!」
「私に、0.003 の責任~?」
「は~~~⁉」
と、ゆかりちゃんは、今、吠えているだろうか?
それとも、
「おもしろい記事だわ~」
と、思ってくれているだろうか?
とにかく僕は、ゆかりちゃんが、大すきなのです。
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