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もし、今でもこの検査があるのならば、患者は担当医に、終始満面の笑みで接するべきである!
この記事と、
この記事と、
この記事の続きです。
でも、今回の記事だけでも、内容が理解できるように書きます。
◆これまでのあらすじ
僕は、18歳から20年間、椎間板ヘルニアによる腰痛に悩まされ続けてきました。
38歳の8月には、手術の予定でした。予約をしてあったのです。
しかし、その春。ついに動けなくなり、救急車で藤沢市民病院に運ばれました。
椎間板ヘルニア手術を予約していた病院ではありません。
辛い痛みから1秒でも早く逃れたく、僕は手術をお願いしたのですが、担当医は「人体にメスを入れるのは最後の手段」という持論の持ち主だったのです。
その担当医も、万策尽きて、手術することを決めました。
◆最後の検査
「手術しましょう」と合意したのに、担当医は「最後の検査があります」と言いました。
そして、とんでもなく怖ろしいことを語ったのです。
「今度の検査は、手術するための検査です」
「レントゲンやMRIの画像で、はみ出ているヘルニアは確認できています」
「しかし、それは写真で確認できているだけです」
「手術は、背中を約1、2センチ切ります」
「そこから内視鏡を入れます」
「私はモニター画面を見て、はみ出た椎間板の除去を行ないます」
これは、すでに知っていることでした。
「はみ出ている椎間板が、本当に神経に触れている椎間板なのか」
「それを、念のため確かめる検査です」
「悪さをしていない椎間板を除去しては意味ないですからね」
(は~)という感想です。
「そこで、『ここの神経に触れている椎間板だろうな』という箇所の神経を触ってみます」
「今、感じている『痛み』や『脚の痺れ』を感じるところをハッキリさせるのです」
「で、そこに触れている椎間板を、手術のときに除去します」
(なんか怖いけど、は~)という感想です。
「じょーじさん、歯医者で神経に触れられた経験ってありますか?」
「はい」
「痛いと感じる前に身体が『ビクンッ』って反応します」
「で、メッチャ痛いです」
「そう、それです。そうなります」
「神経を触るので」
「安心してください。身体が反応して動き、神経を傷つけたら大変なことになりますので、身体は硬く固定しますから」
(安心できるか!)という感想です。
(なにが「そう、それです」や! ボケッ!)という感想です。
「ただ、神経に触れて確かめるので、かなり痛い」
「その覚悟はしてください」
「また、動かないように固定してあるからといって、動くに任せてはイケません」
「自分の神経を傷つけないように、痛くても動いてはイケません」
(反射は抑えられないんちゃうか⁉)という感想です。
「何か質問はありませんか?」
「この検査って、絶対に必要なのですよね?」
「そうです。必要です」
「分かりました。他には質問はありません」と僕は答えました。
(こんチクショーめ! 勝手にしやがれ!)という感想です。
思っただけです。
言ってもいませんし、顔にも出していません。
僕の神経をツンツンする男に、逆らっちゃダメに決まっています。
(だから最初から手術してって言っただろ)とか、
(ったくよ~)とか、
これまで心の中で文句を思ってしまったことを後悔しました。
そのとき僕の身体から【嫌な気配】【不快な気配】がモレていた可能性があるからです。
その気配を担当医が感じていたなら…。
ツンツン
と2回で済むところを、
ツンツンツン
と、3回にされるかも、です。
◆検査
鬼の所業検査日です。
記憶があいまいですが、確か、ぶっとい注射針を刺します。
その注射針の中を、細いワイヤ―か何かを通して、ツンツンするのです。
僕は、当然ですがうつ伏せです。
だから作業は見えません。
会話をするので麻酔はありません。
反応を見るためにも麻酔は一切なのです。
確か、幅のあるベルトで、身体を台にキツク括られました。
ベルトは3本だったかな。
そして、看護師が左右2人ずつか、左右で2人かで、僕の背中や腰を押さえつけました。腿もか? 3人3人の6人か?
すごく大げさでした。
だから、どんどん怖くなります。
「刺しますよ~」
「少し痛いですよ~」
「動かないでくださいね~」
僕の鼻呼吸が荒くなります。
痛さ以上に怖くて呼吸が荒くなるのです。
「では、準備できました」
「これから神経に触れていきます」
「ここはどうですか?」
「え?」
「あ、何も感じませんね」
「では、ココは?」
「ハウッ! い、痛いです!」
「脚に痺れは感じましたか?」
「痺れですか?」
「もう1度触れますね」
「ハウッ! ウグ、グ、痺れは感じません」
「そうですか。ここはどう…」
「ふぐっ! あ、痺れてます」
「そうか、ここは?」
「アグッ!」
あとは、ただただガマンです。
我慢、ガマン、がまんです。
脊髄の神経を守るために、1ミリも動かないように頑張りますが、やはり反射はどうにもなりません。
身体を固くして、反射の反動を小さくしようと必死でした。
この後、何を聞かれ何を答えたのか、記憶もあいまいです。
憶えているのは、
長くね?
と、ず~っと思っていました。
まだ?
まだ検査要る?
と思っていました。
鼻呼吸ではなく、口呼吸になっていました。
痛くない痛くない、気のせいだ気のせいだ、と念じていました。
この検査って、本当に必要なのでしょうか?
この検査って、どの病院でもやるのでしょうか?
もう18年も前のことですから、今では医療技術が進化して、不要になっているのでしょうか?
担当医は、
患者の態度によって、ツンツンを、
ツンツンツンツン
と、「ツン」を増やしたりはしないのでしょうか?
長くなったので、その5に続きます。
おしまい
※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1321話です
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