かなしいね、ちょっとだけ

どうしようも無く寂しい夜に君のことを思い出して泣いちゃうことはもう無くなりました。つらくないよ、大丈夫。でもあんなに好きだったのに時間がたてば平気になっちゃうの、それはそれでちょっとかなしかったりする。矛盾だね。愛してるのメッセージのスクショも、君のことを考えながら聴いていた音楽も、一緒に行こうねって約束したあの場所も。すべてが孤独を可視化させるのにはじゅうぶんなものばかりで、なんだか思い出のなかに永遠にとじこめられているみたいな感じがした。しあわせだったときのことを思い出してくるしくなるの、ちゃんと恋してたって感覚がして心地よかったのにな。ぼくはよわい人間だから、孤独には耐えられません。だから、孤独を可視化させるものはぜんぶ捨てた。スクショは消したし聴いていた音楽はもう聴かなくなった。一緒に行こうと約束した場所は絶対に行かなかった。避けていた。ぎゃくに意識しすぎて疲れたけど、それも時間の問題だった。つらいのもくるしいのもかなしいのもせつないのもしんどいのも、ぜんぶぜんぶぜんぶ時間の問題だと最近学んで、またかなしくなった。きっとこれも時間が解決してくれるんだ。そうおもいながら携帯とにらめっこする毎日。つまんない日常をときめきにかえてくれた君がいなくなって一年。ぼくは相変わらずつまんない日常をすごしています。君がくれたときめきは消費期限が切れてしまって、ぼくのつまんない日常に吸い込まれていきました。思い出は美化されるっていうけど、ほんとうにその通りだとおもう。でもね、今更やっと気づいたのは、ぼくがほんとうに欲しかったのはつまんないときめきだってこと。きらきらしていた毎日がゆううつの波に飲み込まれていく感覚は気持ちいいとはいえなかったのでしらないふりをしたよ。君はぼくのつまんない日常を覚えていますか、恋しくなっていませんか、もう一度、会いたいと思っていませんか。

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