モネ展に行ってきた。
「この人には、光の一粒一粒が見えているのだろうか」
モネの絵を見ていると、なぜか風と温度を感じる。
たぶんこの景色は秋なんだろう、となぜかわかってしまう。
風と温度だけじゃない。
サラサラサラ…
ザワザワ…
葉が擦れるざわめきも聞こえる。
怖いほど五感に訴えてくる。
こんな風景の前に立ったことがあるような気がしてくる。
パリやロンドンなんてなんて行ったこともないのに。
大阪中之島美術館のモネ展に行ってきた。
モネの絵は好きだったものの、これまでしっかり鑑賞したことはなかった。
日傘をさす女性の爽やかな絵を描く人、ぐらいのイメージだった。
今回見た展覧会は、モネの風景画の連作を展示していた。
モネは、同じモチーフでも描き方を変えて何枚も描いていた。
味わいが違ったけど、そのどれも光と風と温度と音が聞こえてくるかのように思えた。
点々と置かれた絵の具たちで構成されているとは信じがたい。
それほどリアルな手触りがそこにあった。
光というのは、違う波長の一粒一粒の粒子からなる。
モネの絵は筆跡が見えるほどに粗いタッチで描かれている。
それにも関わらず、目に見えない光の粒の一粒一粒をとらえているのでは、と感じる。
その不思議さが、人の心をとらえて離さないような気がする。
美術の教科書で見ても気づかなかった。
実物の前に立ってみて、初めて不思議さを肌で感じとった。
美術館に足を運ぶ意味がある。
そういう絵画鑑賞体験をした。
モネ展は5/6まで。
みなさんもぜひ足を運んで、モネの描く光の不思議さに包まれてほしい。
《おわり》
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