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わたしはまるい


といっても、名字が丸井なわけでも、某デパート(OIOI)が大好きなわけでもない。

まるいのは、顔である。


小さなころから、家族、ことさらに母からは

「マイミは顔がまるいねぇ」

と言われて育った。

かくいう母も、そしてその母(祖母)も顔がまるく、骨格も似ているので明らかに遺伝だとわかる。

自分の子どもが生まれて、赤ちゃんや小さな子どもをみていてわかったけれど、子どものまるさというのは格別にかわいい。

ぷにぷにしたまぁるいほっぺをずっと観察して、ときおりさわって…を永遠に繰り返せる自信がある。

母の場合も、「まるくてかわいいねぇ」の意味だったのだと思う。

さらに、「母に似てまるいねぇ」という、子どもの中に自分のDNA探しをする楽しい時間だったんだろうな。


けれど、そんなふうに思えたのは、つい最近のはなしで、当時は「まるい」と言われるのがものすごーくいやだった。

子ども時代に顔がまるいのはあたりまえとして、おおきくなれば、おねえさんになれば、きっと少しずつ顔が長くなるはず…と期待していた(父は顔が長い)。


けれど、そのあわい期待はもろくもくずれさることになる。

小学生になっても顔はまるいままだった私は、知り合いのおじさんに、

「マイミの顔は、あれだ、ほら、まんまるお月さまがわらってるイラストににてるよ」

なんて言われたりした。

笑うと目が「柿の種」みたいな形になるから、なおさらそうみえたらしい。


中学生になっても、高校生になっても、大人になっても、いっこうに父の顔長遺伝子は発動せず、まるいままだった。

ガラスの少女だった私は、顔の両端にいつも髪をスタンバイして、ぱんぱんのほっぺを隠して過ごしていた。

なんでこんなに顔がまるいのがいやなんだろうと考えたら、たぶん「太ってみえるから」だ。

同じ体重でも、顔がまるいひとと、そうじゃないひとがいたとしたら、絶対顔がまるい方が太ってる認定される。

顔がまるくても、小顔ならいい。

残念ながら、私は小顔じゃなく大顔の丸顔なので、残念なのだ(残念なので2回いった)

学生時代は雑誌を読みこみ、丸顔にみえない髪型とかメイクとか研究した。

前髪は、長めでななめに流し、おでこをちょいみせするのがいいらしい。チークは横長にのばしたらいけない。


さらに極めつけは、大学時代に付き合っていた元彼が「からかうのが好き」なひとだったこと。私と顔を合わせれば、まじまじと顔をみられ、

「まるい」

と言われた。

当時、繊細な乙女心をもっていた私は、その部分は触れてほしくないと何度も告げたけれど、結局最後までわかってもらえなかった。

いま思えば、母と同じで「かわいい」と思って言っていたのかもしれない。

好きな子はいじめたいタイプだったのかもしれない。

「マーちゃんは顔だけじゃなくてすべてがまるいんだよ」

などと言われた気もするんだけど、丸顔をコンプレックスとしてしかとらえられなかった私の胸からわだかまりが消えることはなかった。


だけど今は、自分を丸ごと受け入れようとしている。そう、それは文字どおり丸ごと。

あれだ、チャーミングポイントととらえようと思っている。

だってほら、地球とか、惑星とかだって丸いし、シャボン玉だって丸い。

球体っていうのは、いろんな方向からの力にも強いし、だけど、人々を安心させるやわらかさ、しなやかさも兼ね備えている。

世界のあらゆるものは、まぁるくなって安定したいと思っている。


正直、まるい顔は一生なおらない。

たぶん痩せても顔だけは細くならない。

だったらそれを悲観して、隠そうとして生きてもつまらない。


丸顔先輩の母が言っていた。

年を重ねると、丸い顔の方が若くみえるわよ、と。

たしかに、60代の母も80代の祖母も、同年代の方々よりシワなどが目立たない気がしないでもない。それは、ほっぺがぱんぱんだからなのか。

つまり、私の時代はこれからである。


ちなみに、夫は私のまるい顔についてコンプレックスだったのを知っているので、あえてふれてきたりはしない。

私がたまに自分からふれると、

「え、でもかわいいのに」

と、さらりと本気で言ってくれる(と思う)。

いまは、息子たちも「かっかは、かわいいよ~」とまねっこして言ってくれる(言わせてるわけじゃないよ。きっと今だけ限定だからかみしめる…)。

とげとげしていたコンプレックスのとげを、少しずつ、さりげなく溶かしてくれたのは夫なのかもしれない。

このひとと一緒に、ほっぺだけじゃなく、心もまぁるく生きていきたい。



そんなわけで、note酒場当日の目印は「まるがお」になります。

空前絶後のまるさをご披露いたしましょう…!

(いまはコンプレックスを克服してますので、ガンガンいじってもらってだいじょうぶでーす)


本日の、薬にも毒にもならないお話でした。

〈おわり〉

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