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「ベルリン・天使の詩」①子どもには天使が見える

 これも偶然手に取った作品。初ヴィム・ヴェンダース監督にして彼の最高傑作とされる映画だった。
 1987年カンヌ国際映画祭最優秀監督賞受賞作品。舞台はベルリン。まだベルリンの壁が存在していた頃の話。(その2年後の1989年にベルリンの壁が崩壊する)

 最初から引き込まれてしまったわたし。ベルリンの街を見下ろす天使像の上に本物の天使が・・・。なんとコートを着たおじさま天使。

 今見るととても古めかしく感じるが、構図などカメラワークが素晴らしく、はっとする美しい場面がとても多いモノクロだが、ある瞬間にはカラーとなる。その意味は鑑賞しているうちに分かった。音楽も雰囲気があって素敵だ。

 縦糸としてのストーリーは天使ダミエルが、サーカス団で空中ブランコを演じているマリオンに恋し、天使を辞めて人間になりたいと願うお話。
 わたしは昔の女優さんの雰囲気も好きだから、マリオンのレトロな容姿やメイクも気に入った。

 ちょっと横道だけれど、なんとピーター・フォークが彼自身の役で出演していたので、驚いた。それも・・元天使だという設定

 さて、この映画は単なるラブストーリーではない。第二次世界大戦後、分断されたドイツ、壁で隔てられたベルリンが舞台だということで想像がつくと思う。

 鑑賞後いろいろと調べて分かったこともあるが、まずは最初にわたしが心射抜かれたシーンについて記録したいと思う。

①天使は大人には見えない

 街を見下ろすダミエルを見上げて指さす子どもたち。そこで流れるのはリルケの詩の1節。

子供は子供だったころ
いつも不思議だった
なぜ僕は僕で君でない
なぜ僕はここにいてー
そこにいない

時の始まりはいつ?
宇宙の果てはどこ?

この世で生きるのは
ただの夢?
・・・(略)

 子どもの頃、多分自我が芽生えた頃、同じことを考えた自分を思い出した。その頃、わたしには天使が見えただろうか・・・

 子どもたちがダミエルを見つけたシーンで熱いものがこみ上げたわたしだ。

 書きたいことを一気にまとめるエネルギーが残っていないので、1日1項目について記録することにする。無理はしないことにしよう。なにしろもう何週間も前に観たというのに、エネルギー切れで全然書けなかった。
 そして、珍しいことだけれど・・・どうしても手元に置きたくてDVDを購入してしまった。それだけこの作品には惹かれるものがあったのだ。