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情報の少ない帰国子女受験。非英語圏・低学年帰国の中学受験で、やってよかったこと・次に活かしたいこと

こんにちは。MAIです。いよいよ2月、受験シーズンですね。テレビドラマの「2月の勝者」も、受験生家族に気を利かせて(?)、12月と少し受験本番よりも前に終了しました。

我が家も小学6年生の娘がおり、今年中学受験に挑戦しました。非英語圏からの低学年帰国の帰国子女受験だったため、情報が少なく、試行錯誤しながらの受験でした。自分が情報収集にとてもとてもとても困ったので、助けていただいた先輩方の恩を次にGIVEする気持ちで、喉元すぎて熱さを忘れ去ってしまう前に、備忘録としてまとめておこうと思います!

※本記事に記載の内容は、2022年2月1日時点の情報です。帰国子女受験の概要や条件は毎年変わりますので、最新の情報をご確認のうえ、あくまで参考情報として読んでいただけると幸いです。

まず前提を整理しますね

帰国子女受験の場合、親を泣かせるポイントなのが、個別要因が大きく、それぞれの状況が異なるため、他の人の例が参考になりづらいところ。

我が家の場合は、小学校低学年で非英語圏から帰国、海外在住1年程度と短かったため、現地ではインターナショナルスクールに通っていたものの、英語力もあまり高くない状態でした。

その後、国内インターに通い、国語以外は英語で授業を受けてきました。国語は日本語で行うといっても、漢字の書き取り量や、作文の数、他の科目で日本語を使わないため、国語力、特に漢字と記述はとても苦手でした。

さらに、海外在住歴も短かったため、英語も帰国してから伸ばす必要がありました。3-4年生は、学校の環境に慣れることにフォーカスし、5年生の夏から、帰国生には有名な「帰国子女アカデミー(KA)」に通って、受験対策の英語を学び始めました。

ただ、英語への苦手意識があったため、受験は英国算または4科受験にフォーカスしようと思い、4年生から算数のみZ会を始め、5年生の秋から四谷大塚の4科コースに通い始めました。

以上が、我が家の場合の状況です。

<ポイント>
我が子の強み・弱みに合わせて、英語受験にするか、英国算受験にするか、4科受験にするか、早めのタイミングで決められると効率的。我が家の場合は、6年夏くらいまで、4科受験にするか、英国算受験にするか、決めきれなかったため、子どもへの負荷を高めてしまいました。

全体のタイムスケジュール

次に、全体の流れをみていきたいと思います。私はかなりギリギリタイプで(笑)、前倒しでいろいろ準備していませんでした。また、5年生のタイミングでは、新型コロナウイルスの影響で学校見学ができなかったため、4年生・5年生であまりリサーチできておらず、6年生になってから一気に情報収集しました。なので、5年生後半や6年生の帰国であっても、情報収集は間に合うと思います。

主な流れは、以下の通りです。

1. 情報収集(5年生〜6年生夏前まで)
2. 学校見学と出願資格確認(6年生夏〜秋)
3. 英検受検(6年生の5-6月と10-11月)←5年生からやっておいたらよかった 
4. 出願書類の準備(6年生9月〜12月)
5. 出願と受験(6年生10月〜1月)
6. 合格発表と入学金振り込み(6年生11月〜1月)

帰国受験の場合、一般受験の家庭より、全体の流れが前倒しなのと、現地校での成績や海外滞在証明など親が準備するものが多いので、自身でのタイムスケジュールの管理が重要になります(一般塾の先生や生徒が焦っていないときに、焦ったり緊張したり、ピークを迎えている)。あれっ、締め切りもうすぐじゃない!?と慌てるケースもありました。

以下、流れに沿って順番にふれていきます。

1. 情報収集(5年生〜6年生夏前まで)

5年生から、帰国子女受験に注力している学校の説明会にオンラインで参加しました。大体夏前くらいから増えてくるので、5年生の夏と6年生の夏に2回聞くと、忘れていたことや新たな気づきがあって参考になりました。各学校のパンフレットも説明会で集めました。

2. 学校見学と出願資格確認(6年生夏〜秋)

また、帰国子女入試の大変なところが、出願資格があるかを個別に学校に確認する必要がある点。特に我が家の場合、低学年帰国で海外在住期間が短いため、国内インター生の受験を認めている学校や、英検資格で受験できる学校、低学年帰国でも出願を認める出願資格の緩い学校がメインになりました。

これらの学校は、インターネットに記載されている内容だけでは、要件を満たしているか分からないため、個別に電話やメールで確認する必要があります。都内の女子校など、出願資格の厳しい学校は、出願対象外となることが多かったです。

複数リサーチした結果、我が家が出願要件を満たしていて、2022年度入試時点で、英語の取り出し授業があり、帰国生/国際生入試が可能な主な学校は下記でした(男子校を除く)。中学生になると、英語の授業が週6-7時間あるため、その時間に英語初級者向けの授業を受けるのは、娘の性格的に合わないと思い、「英語の取り出し授業」がある学校のみ、受験校として検討しました。

・渋谷教育学園幕張中学校(英語入試・英語面接)
 -日本の学齢で小学6年生であれば受験可

・渋谷教育学園渋谷中学校(英国算入試・英語面接)
 -海外在留2年以上、帰国後2年以内。この資格に近い状況の方は応相談
 -英検2級以上で、英国算入試受験可

・広尾学園中学校(英国算入試・英語日本語面接 / 国算入試・日本語面接)
 -英検2級以上で、インターAGの英国算入試受験可
 -海外在住1年以上、帰国後3年以内で国算入試も受験可

・市川中学校(英国算入試 / 4科入試)
 -小学1年生以降で、海外在住1年以上であれば受験可

・洗足学園中学校(英語入試・英語面接 / 英国算入試・英語面接)
 -日本の学齢で小学6年生の女子であれば受験可

・東邦大学付属東邦中学校(英国算入試)
  -小学1年生以降で、海外在住1年以上で帰国後3年以内 or 海外在住2年以上で受験可

・三田国際学園中学校(英語入試・英語面接)
  -保護者の転勤等に伴い、海外に継続して 1 年以上在住し、帰国後 3 年以内

・広尾学園小石川中学校(英国算入試・英語日本語面接 / 国算入試・日本語面接)
   -英検2級以上で、インターAGの英国算入試受験可
   -海外在住1年以上、帰国後3年以内で国算入試も受験可
 
・開智日本橋学園中学校(英国算入試・英語日本語面接)
   -海外在住1年以上、帰国後3年以内で受験可

・かえつ有明中学校(英語入試・英語面接)
 -日本の学齢で小学6年生であれば受験可

低学年帰国・海外在住1年でも受験できる学校や、「英検2級以上取得」を満たせば、海外在住経験がなくても受験できる学校は一定ありました。年々、英語を活用して受験できる学校は増えてきているようです。

学校見学については、コロナ禍の影響で、6年生のみに来校を絞っている学校が、受験検討校で多かったため、6年生の夏〜秋にかけて、数校見学にいきました。学校公開は、回数が少ない学校の場合、申し込み開始後にすぐ埋まってしまうこともあるため、スケジュール管理が重要です。

我が家の場合、ある中学校の学園祭申し込みと、別の中学校の学校説明会申し込みの開始日時が同じだったため、開始時刻直後に、学園祭を先に申し込みをしたら、その十数分の間に、学校説明会が満席になって申し込めなくなってしまったというケースがありました(順番逆にすればよかったです...)。

3. 英検受検(6年生の5-6月と10-11月)

うちは、のんびりしていて、英検を受け始めたのが6年生になってからでしたが、6年生の秋には、実際の帰国生受験が始まるため、5年のうちから受験しておいた方がよかったなと思いました(6年生での英検受検だと、6月の第1回英検に落ちた場合、第2回の英検は10-11月受検とため、出願する学校によっては、英検資格の提出が間に合わなくなります)。

帰国タイミングが高学年の方などでも、日本での生活に慣れることを優先していると、うっかりタイミングを逃してしまうこともあるため、英検は早めに計画的に受検しておいた方がよいなと思いました。

4. 出願書類の準備(6年生9月〜12月)

学校によっては、出願資格を確認するために、海外在留証明書の提出を求められます。以下がその一例です。海外のインターナショナルスクールの場合、スクールレポートも枚数が多かったりするので、かなりの枚数を印刷する必要があります。我が家の場合、家のインクジェットプリンターが古くて、綺麗にカラー印刷できなかったため、レーザープリンターを使うため、近所のコンビニに何度も通いました。

<出願資格確認書類の一例>
1.履歴報告書(本校指定)
2.海外在留証明書(本校指定)
3.成績証明書の写し
(海外の最終 1 年間分の成績表と現在通っている小学 6 年次の通知表または小学 6 年次相当の成績表)
4.出願資格確認のために求められた補足書類

レターパックで郵送OKな学校と、簡易書留のみ受付可能な学校があるため、書類を揃えて郵送する作業も、親の大事な役割でした。

一般受験は比較的、出願書類に必要なものが少ないケースが多いですが、帰国受験は、出願に複数の書類が必要な学校の方が多いので、親の準備もとっても大変だと感じました。

5. 出願と受験(6年生10月〜1月)

上記書類を揃えたら、いよいよ出願です。帰国生入試は、11月頭から受験が始まる学校があるため、10月頃には出願が始まります。

一般受験と異なり、11月から1月にかけて、帰国受験は行われるため、受けようと思ったら、たくさん受験できてしまいます。ただ、入学金を全額すぐ払わないといけない学校も多いため、予算面も含めて計画が必要です。

また、帰国受験の場合、面接やエッセイの内容も重視されるため、模試の筆記テストの結果だけで、合格可能性が測りづらい悩みもあります。英語のレベルは、英検結果やKAのKAATテスト(レベル判定テスト)、エッセイの添削などを参考に判断しつつ、国算については、大手塾の模試を受けて、国算2科の帰国受験の偏差値を参考に、受験校を選びました。

さらに秋頃だと、4科塾の説明会では、少し先の話として、保護者向けに受験に向けてのサポートなどを話されますが、帰国生の親としては直前期なので、そわそわし始めます。周りの一般受験生と受験のピークが違うのは、リズムと緊張感を保つという面でも、親にとっても、受験生本人にとっても難しいなと感じました。

こんなとき、帰国子女アカデミー(KA)で、志望校別直前講座を開いてくれたり、KAの先生方が応援メッセージをアップしてくれたことは、本人が受験に向き合う上でも、とても助けになりました。受験直前期になると、4科の塾の先生から帰国受験向けにもらえるアドバイスは少なくなるため、我が家の場合は、6年生の秋に4科塾はやめて、模試だけ受けるテストコースに切り替えました。そして、その代わり、KAの英語の直前講座を多めに受講しました。

我が家の場合、英語より算数の方が得意だったため、こういう方法を取りましたが、英語が得意で国算が苦手の場合は、別の勉強スタイル(もっと国算に集中するなど)になると思います。直前期の取り組み方も、子どもの得意不得意に合わせて、勉強の仕方を変えていく必要があるのが、帰国受験の難しいところだと実感しました。

受験当日は、不慣れな場所に行くこともあるため、30分以上余裕をもって着くようにしました。それでも、大雨でバスが30分近く遅れたりと、ギリギリになったケースもあったので、1時間前着くらいの余裕があると、より安心できるのかなと思います。特に私は方向音痴のため、事前に学校見学に行ったにもかかわらず、受験当日に、焦ってターミナル駅の最寄り出口が見つけられず、到着がギリギリになってしまった受験校もありました。

一般受験に比べると、帰国生受験は、受験生の数が少ないため、受験会場の雰囲気に圧倒されるなど、子どもの精神面での負担は比較的小さいのかなと感じました(説明会の動画などで見た、幕張メッセなどでの受験と比較して、ですが)。

6. 合格発表と入学金振り込み(6年生11月〜1月)

合格発表は、受験の翌日もしくは、週末を挟んだ月曜日、といったケースが多かったです。帰国生入試の場合、合格発表後すぐに、入学金を全額もしくは、半額振り込む必要がある学校が多かったため、複数校合格した場合、どこまで入学金を払うかは悩ましいところです。一般入試だと、数万円払って2月1週目まで、残りの入学金支払いを猶予してくれる学校も多いため、これも帰国生入試の特徴だなと感じました。

心の準備が十分できないまま、数日で振り込むか決める必要があるため、事前に合格した場合の優先順位を家族で話し合っておくことは大事だと痛感しました。我が家はこの点が甘かったため、合格発表から振り込み期限の数日の間に、KAや4科塾の先生や知人などに相談したり、学校への通学ルートを実際にたどってみたりと、慌てて判断を迫られたケースがありました。

やってよかったこと

こんなふうに、長かった2年間がようやく終わりました。振り返ってみて、帰国受験をやってよかったなと思っています。いろんな思い出がありますが、特によかったと思うことは以下の通りです。

1. 本人に進路を決めさせたこと
何よりもよかったのが、小学6年生というタイミングで、娘が自分の進路を決められたことです。親としては、こっちの学校の方がよいのでは?と思う学校もありましたが、最終的には、本人の意思で進路を決めました。

自分で自分の道を切り開く、という経験を12歳でできたことは、今後の人生においても、大きな手応えとなったと思います。これは、第一志望に受かるとか、受からないとかではなく、得られた結果の中から、自分の意思も含めて道を選択するという経験に、価値があると思ったからです。

2. 苦手なエッセイを諦めなかったこと
娘はエッセイが苦手で、一時期は、エッセイのない一般入試の方が合っているのではないかと悩みましたが、最後までエッセイに取り組んだことは、論理的思考力を磨き、自分の経験や価値観を言語化する上で、とても意義深いプロセスでした。

KAの宿題のエッセイはかなりさぼって提出できませんでしたが、授業内で取り組んだエッセイや、出願時に提出するエッセイの作成などを通して、自分の経験の少なさと、語れることの少なさに気づいたようで、中高生になったら、いろんな活動に挑戦したいと本人も言うようになりました。

そして、エッセイ作成のプロセスを通じて、海外で苦労したことや、初めて英語でコミュニケーションを取れたときのうれしさ、お互いが歩み寄って理解し合おうとする経験の大切さを思い出し、言語化することができたのは、親子両方にとって貴重な時間でした。

3. 学校説明会や見学会に実際に足を運んだこと
実際に足を運ぶと、やはりウェブサイトや資料で見るのとは違った、先生方や学校の雰囲気などもわかって、子どものモチベーションアップに繋がりました。うちは比較的、あまり訪問できていない方だと思いますが、それでも希望度の高い学校については、事前に訪問しておいてよかったと実感します。先生や生徒の説明に加え、壁の掲示物や図書館の司書さん、警備員さんなどの様子からも、学校の雰囲気が伝わってきて、百聞は一見にしかずだと感じました。

4. おおたとしまささんの「中学受験必笑法」を読んで心を落ち着ける
中学受験をはじめる前に、最初に読んだのがこの「中学受験必笑法」でした。紹介文にも「第一志望合格かどうかにかかわらず、終わったあとに家族が『やってよかった』と笑顔になれるならその受験は大成功。他人と比べない、がんばりすぎない、子供を潰さない、親も成長できる中学受験のすすめ。」と書かれています。この本に出会えたことで、親子ともにやってよかったと思える受験を経験できました。これから受験勉強に取り組む友人に相談されたときは、まずこの本をおすすめしています。

次に活かしたいこと

1. 親が焦りすぎない
情報量の少ない帰国生入試だったため、私は6年生の前半頃は、かなり焦ってしまいました。勉強をなかなかやらない娘に、きつい言葉を投げたりして、後悔しました。6年生の夏から秋にかけて、学力も高まっていったので、もう少し焦らず見守ればよかったと思います。直前期に色々相談にのってもらったKAの先生方にも、もっと早くから相談しておけばよかったと感じました。

2. 5年生のうちから英検受験や学校見学にいっておく
6年生になる前からできることは、もっと早くやっておけばよかったと思います。特に英検受験は、6年生の6月に合格したのでよかったですが、もし落ちていたら、受けられなかった学校があったかと思うと、ギリギリすぎました。また、学校見学も時間がかかるので、可能な範囲で5年生から足を運んでおけば、本人のモチベーションももっと早くアップしてよかったなと思います。

3. 塾の宿題を親が間引いて調整する
英語塾と4科塾両方に通う帰国受験生の場合、両方の塾の宿題を真面目に全部やっていると、子どもがパンクします。うちはなかなか、受験科目を絞りきれなかったこともあり、4科塾から「これはマストでやってください」と言われた宿題をこなすのは、オーバーワークでした。英語塾の宿題も、あまりちゃんと取り組めてはいなかったと思います。最初は焦ってやるように言っていましたが、最終的には、本人ができる範囲だけ宿題をやって、その代わり、授業は集中して学ぶスタイルに落ち着きました。

トップ校を目指すには、この方法だと甘いかもしれませんが(というかトップ校の帰国受験は英語重視のため4科塾不要ですね)、それ以外の学校は、この方法でも目指すことが可能だと思います。

受験を終えた今、思うこと

以上が、この2年間で我が家が取り組んだ、帰国子女受験の概要です。受験を終えた今、強く思うのは、中学受験はゴールではなく、中学生活のスタートにすぎないということです。

どんな学校で、どんな学びと生活を送りたいのか、それを12歳で選ぶことができるということが、いかに恵まれていて貴重なことなのか、娘には繰り返し伝えてきました。これからは、周囲のサポートもあって得られたこの機会を活かして、よりよい世界の実現に貢献できる力を身につけて欲しいと思っています。

目の前の受験という通過点に気を取られ、親も近視眼的になってしまいがちですが、なんのために受験するのか、その先の未来を子どもと話しておくことが、中学受験をゴールにしないためにも、大切だなと実感しました。

我が家の経験が、これから帰国子女受験を検討される方の参考に、少しでもなれば幸いです!


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