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人との出会い②

①では病院での経験をだいぶ省いたが、がん患者との出会いが多い病院だったので、残念ながら亡くなってしまう方もいた。
まだ20代前半だったのもあるが、仕事を覚えるので精一杯だったように思う。きちんと患者さんに向き合ってはいたと思うが、身体的な苦痛以外の辛い部分をとってあげれていたのか、自分の関わりがほんとに正しかったのか、疑問に思うことが三年くらいしてくると自問自答することが多くなったように思う。
ちょうどそんなころ、隣の県の国立大学大学院の説明会のフライヤーが病棟に届いた。学生時代、きちんと勉強しなかった心残りもあり、研究にも興味があった。そこの大学院では、私のしてみたい研究領域を専門にしている准教授がいることがわかった。これも何かの縁かなと勝手に思い込み、その説明会に参加することにした。

説明会に参加し、お目当ての先生と話をすることができた。先生と話してみると、挨拶もそこそこに『うちにきてもいいけど、試験に受かってから、詳しく話しましょ』と笑顔で言われた。えっ?!まだほとんど話してもいないのに…。果たしてほんとに大丈夫なのかと不安にもなったが、その先生こそが、私の修士、博士と5年間お世話になることになった、指導教授との出会いである。当時私が25、先生が49であった。

仕事をやめて、26歳の春、晴れて再び学生になってしまったが、希望に満ちあふれていた。まぁ現実的なことをいうと、前年度の所得に対しての住民税や年金などの支払いが無職になった大学院生には、辛い出費だったが。

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